IPOを目指すスタートアップが上場前に知っておくべきこと

Ben Holmes氏は、Index Venturesのパートナーで、主に扱っている分野はゲームとeコマースである。彼はKingやPlayfish(EAにより買収)、Mind Candyへの投資など、同社のゲームポートフォリオで指揮を執ってきた。彼が関わってきたその他の投資には、iZettle、Just Eat、Notonthehighstreet、Rebtel、Secret Escapes、Shapeways、Trustpilotなどがある。

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冷えきった10年間を経て、アメリカやヨーロッパではテック企業のIPOラッシュが起こっている。Index VenturesはArista Networks、Criteo、Etsy、Hortonworks、Just Eat、King、Zendeskといった企業への投資を通じて、このような状況を間近で見ることができた。

数週間前のことだが、スタートアップから上場した数多くの企業と、彼らのアドバイザーを当社ロンドンオフィスへ招待して、彼らの経験やベストプラクティスを次世代企業とシェアさせてもらった。金融、経営、通信コミュニティに従事する者といったメンバーで、CFOや法務担当役員だけではなくロンドン証券取引所や主要投資銀行の実務家、法律事務所、PRアドバイザーからも最上級のコツを教えてもらった。

私たちはそこで得た学びのいくつかを、IPOを考えている、あるいは積極的に計画中のすべての人たちに共有したいと思う。

IPOに向けて

株式公開は結婚のようなもの

結婚式は実際に大切なイベントではあるが、結婚そのものの方がはるかに重要だ。同様に、IPOにおいて最も重要なのは取引ではなく、以後上場企業として生きていくことだ。

本業をおろそかにしない

IPOは一つのイベントだ。最も効果的なIPOとは、経営陣がIPOを一つのプロジェクトとして捉え、決して本業から目を離さないことだ。

IPO以前から上場企業のように行動し始めるべきだ

IPOについて、あまり先までは考えられないものだ。すぐに市場の用意ができたとか、逃したくないチャンスがあるとかいう理由で、市場に慌てて飛び込む人が多過ぎる。むしろそうした取引を始める前から、時間をかけて準備をして、上場企業のように行動し始めるべきだ。全社員がそうする必要はないが、経営陣や会計士、信頼できる1、2人のアドバイザーは確実にそうする必要がある。早めにIPOの準備を始め、財務諸表をごく明瞭にしておき、そしてできるだけ早く監査委員会を作っておこう。

実際の手続きに入る前に、銀行家や選り抜きの株式投資家と知り合いになる

早い段階で銀行家に話をしよう。何人かの銀行家と良好な親交を築いておくのが重要だ。2年ほど前にしておくとよい。買い手側は時間をかけてあなたの会社の業績を見ることができるので、しっかりとした信頼を得ることができる。と同時に、選択の余地を残し、早くから特定のシンジケートの一員になろうとは思わないことだ。

だが、やり遂げようとする自信がないのなら、市場と「ダンス」はしないこと。動き始める前に、自分がIPOへの道を辿っている途中だということはわかっていなければならない。わずかながら、市場に踊らされてばかりで前進しない人がいる。投資家はうんざりし、時間の無駄だったと感じる。そして、次にあなたが正気に戻ったときには、投資家はまじめに取り合ってくれないだろう。

IPOの手順

慎重なアドバイザー選びがカギ

すべてのプロセスの中で最も重要なファクターのひとつに、良いアドバイザー(まずは弁護士、次いで銀行家)を慎重に選ぶことが挙げられる。アドバイザーに何を求めるのかをごく明確にしておこう。たとえば、テック経験をもち、業界に深い理解のある弁護士が必要なら、選択範囲はかなり狭められてくる。そして、アドバイザーにも相性というものがあることを忘れずに。あなたが選んだアドバイザーとは仲良く付き合う必要があるのだ。好きでもない人と一緒に夜遅くまで働きたくはないだろう。

良いアナリストの存在は銀行選びと同等に重要

あまり認識されていないが、銀行選びの重要性に対し、アナリスト選びはさらに重要だということだ。彼らこそが売り手側であるのだから。現場を知らないアナリストだけは避けたい。なので銀行選びの半分は、良いアナリストからのサポートを受けられるかどうかを確かめることにある。

株式公開すると、KPIとの愛憎関係が生まれる

アナリストに情報を渡せば渡すほど、彼らからの承認が得られるように感じ、それ自体は良いことだ。双方が快適な状態だと感じるからである。ただ、KPIの悪い点は、高い目標を設定すればするほど、目標達成できない可能性が高まる、という点だ。大概、あなたのビジネスに良い示唆を与えるちょうど良いバランスというものがあるので、彼らはよいモデルを作れる。しかし、あまりに無条件に受け入れ過ぎると、失敗へと転げ落ちてしまうかもしれない。

IPOでどう行動したらいいか株主と話し合っておこう

特に終盤、IPO前の投資ラウンドで資金調達するなら、契約書もしくは握手のみのやり取りにすべきかは別として、他の株主がIPOにどう参加してくるかということについてある程度の同意を得ておこう。これによって、数が価格に左右されるのか、それとも価格が数に左右されているのかという堂々巡りの議論を避けることができる。

公開初日のトレードの出来が投資家たちの指標となる

だが、より重要なことは公開後最初の決算発表時に株価がどう動くか、また株価がIPO当時のものと比べその時にどのあたりにいるかということである。株主は公開初日に多少の消化不良が起きても、その後に株価が上昇し、企業業績が約束通りであれば納得する。しかし業績が伴わなかった場合のダメージは大きく、回復は困難になる。

上場企業としての在り方

ルール#1「常に約束は低く、結果は過達すべし」

もし上場企業として高い約束をして結果が未達成となると、経営幹部が信頼を失っていく事態に陥ってしまうだろう。しかし、公約を低くしておいて結果を過達させれば逆の効果が発生し、長期に渡る信頼を築いていくことになる。

上場企業を経営する上で最も重要な3人の人物

まず、インベスターリレーション(IR)のトップ。アナリストが話すコード化された特殊な意味合いを持つ言葉で彼らとコミュニケーションができる。次は、非常に優秀な社外のコーポレートPRアドバイザーだろう。投資家メッセージをプレスメッセージに変換できる。プレスの捉え方は投資家への影響が非常に大きい。第3に、少なくとも信頼できるアドバイザー(おそらく証券会社の人)で、内輪として何でも話ができる人が1人は必要だ。

社外のことに煩わされる時間を制限する

上場企業を運営していると、多くの時間をアナリストや株主のために費やすことになる。そのため、早いうちから時間のルールを決めておくのがよい。四半期決算や半期決算など、重要な局面では1年のある時期を社外の人に話す時間にあて、この数週間以外はこうした社外の人と会わないようにする。

経営陣以外で戦略的なレベルで助けてくれる人を見つける

あなたが必要としている人は、仕事をチェックをする人ではない。業界のことをよく知っている、経験豊富な人だ。以前業界にいた人で、落とし穴が近づいてきた時に手助けをしてくれる人だ。何より、そうした経営陣以外の人物は、ほかの役員を補完するためにも必要だ。自身が持ち合わせているスキルや知識を確認したうえで、埋めるべきギャップがどこにあるか問うてみるとよい。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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