資金調達したスタートアップがやるべき最小限必勝法「Minimum Winning Game」とは?

Robert Siegel氏はXSeed Capitalのジェネラルパートナーで、担当投資分野はエンタープライズソフトウェア、コンピュータ技術を自動化や会社業績改善に役立てる事業オペレーション、ビジネスと消費者両方の行動に影響を与えるコンピューティングプラットフォームなど。Stanford Graduate School of Businessで教鞭もとる。XSeed以前は、GE Security、Pixim(Sonyが買収)、Weave Innovations(Kodakが買収)、Intelでで上級管理職を歴任した。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “liz west“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

XSeed Capitalでは、500を超える新規スタートアップ案件が毎年持ち込まれ、私たちはこれら企業のうち150から200と直接面談するか話をしている。その際、ベンチャーキャピタルにピッチする際にCEOや経営陣が犯してしまう「最大の誤り」が何かについて、質問されることがある。いくつか思いつくものはあるが、特にいかに経験豊富な起業家でも、次の単純な質問に答えるのに苦労することが多い点に私は今でも驚いている。それは「今回の資金調達ラウンドであなたは何を達成するつもりですか?」という問いだ。

予期しないほどたくさんの会話や会議の中で、投資家は測定可能なマイルストーンではなく、「やること」リストを起業家から渡されることが多い。エンジニアを雇う、最初の製品をローンチする、売上げを立てる、何かのマーケティングをやるなど。

スタンフォードの同僚のRobert Burgelman氏と私が2007年に著書にした考えにおいては、各ステージに分けられた資金調達ラウンドの世界では、起業家が各資本注入で何を達成すべきか、そして調達すべき金額の大きさについてどのように考えれば良いかという方法論について触れている。それが「Minimum Winning Game(MWG)」、すなわち「どうしても落とせない勝負」である。

当初、我々は「Minimum Winning Game」を次のように表現していた。

「最初の主要な市場機会を定義する。市場は十分に絞られていて短中期的な技術・製品開発に対して明確な目標を示さなければならない。同時に市場は長期的な企業発展の基礎となるべく十分に大きくなければいけない。」

この方法は「Maximum Winning Game」、つまり最大限勝ちにいく勝負とはかなり異なる。最大限勝ちにいく勝負とは、5000万米ドル~1億米ドルの売上げを一定期間の内(通常5~7年)に達成することを目標とする勝負である。

スタートアップの文脈で、どうしても勝たなければいけない勝負という考え方は、起業家がそれぞれの投資ラウンドで達成したいゴールをどのように設定するかという点に関係する。通常スタートアップには後に続く投資ラウンドが必要なので、起業家はそれぞれの資金調達ステージを通じた様々なリスクを軽減し、先に進むにつれて、より大きな評価額で次のラウンドに進みたいと考えるものである。

良いマイルストーンの例には以下のものがある。

  • 具体的な日付までにある程度の売上げを達成する
  • 四半期末に最低限確保すべき有償顧客の数
  • 重要な役職の採用(経営陣を含む)
  • 資金調達ラウンド末で目標成長率を達成する
  • 目標設定した日に、特定の機能を実装したバージョンの製品をローンチする

テック系スタートアップが直面するリスク要因はいくつかあるが、一般的に以下の3つを挙げることができる。テクニカルリスク(それは開発できるものなのか?)、達成リスク(このチームでそれを開発できるのか?)、マーケットリスク(消費者はそれを購入するのか?)。

起業家は、各カテゴリーごとに測定可能な目標を真剣に考え、その目標を達成するために資金準備が必要になる。スタートアップにとって今後の投資ラウンドでの資金調達は、ある意味、どうしても落とせない勝負であるとも言える。事業をさらに成長させるため、投資家がさらに資金提供したいと思えるよう、完成度の高い製品を開発してマーケットで成功を収めることが必要なのだ。

登山家らが世界で一番高い山に登る際に利用する「ベースキャンプ」を各投資ラウンドだと考えると、各資本投入は、高度が上昇する度に設営するベースキャンプみたいなものだ。そこは、物品を補給(従業員の増員)し、登山を続ける上でのリスクを検討(戦略の調整)し、旅を続ける上で次のステップの準備をする(企業が直面する多くの課題に対して精神的に準備をする)場所だ。

新しい営利企業が直面する課題に対して、これら各ステップは、どうしても落とせない新たな勝負のように、とても大事である。なので、ベンチャーキャピタルが起業家に次の投資ラウンドで何を達成するのかと聞くときは、起業家は非常に良い機会を与えられているに等しい。なぜなら、目標達成のために、次に勝たなければいけない勝負が何なのかを考えたり、その勝負に勝っているかを測るためにどんなマイルストーンを使って点数を付けていくのべきか考えるからである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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