「他の会社に行っていた意味を証明したい」ーー隠れたキーマンを調べるお・ベーシック有賀氏インタビュー

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

2004年に創業し、Webマーケティングポータル「ferret」などで知られているベーシック。最近ではゲーム特化CPI広告「GAME FEAT」やゲームアプリ「マッチに火をつけろ」などスマホアプリ領域のサービスを拡大しています。その中心人物がベーシック取締役の有賀之和氏。今日はその有賀氏に話を伺ってきました。

大柴:今日はベーシック取締役、フルセイル代表取締役の有賀さんにお話を伺いたいと思います。初めまして。よろしくお願いします!

有賀:よろしくお願いします。

大柴:有賀さんはベーシックにいつ入社されたのですか?

有賀:2011年7月です。実は以前にもベーシックで働いておりまして・・・2008年12月から1年4カ月ほど在籍していました。その後、楽天に転職し、再び復帰という形で2011年7月にベーシックに戻ってきました。

大柴:そうなんですね!それではその辺も含めて有賀さんの経歴を伺いたいと思います。

有賀:はい。新卒ではアスキーに入社しました。就職活動のタイミングで骨折しまして。骨折が癒えた頃には各社の選考が終わってしまっていて・・・。焦って悶々としているその頃に「100台のコンピュータ」という本を読んだんです。とても感銘を受けまして、インターネットに興味を持ち、ネット系企業を受けてみようと思いました。

大柴:ほうほう。

有賀:ゼミの友達がネット系企業に就職が決まったんです。その友達がデジハリに通っていたので、自分も通うことにしました。そんなことをしている時に偶然アスキーが求人を出しているのを発見しまして、「これは俺のための求人だ!」と思ったんです。そしてめでたくアスキーに就職が決まりました。

大柴:おぉすごい!

有賀:アスキーではECを担当していました。しかしその後わりとすぐに部署ごとライブドアに売却されまして・・・。当時はまだオン・ザ・エッヂという社名でしたが、移籍直後にライブドア買収などがあり、社名もライブドアに。

大柴:激動の時代ですね。

有賀:そうですね。入社後しばらくしてポータルの事業が立ち上がり、ブログのサービスなどを担当していました。そこでブログを書籍化しようというような動きがあって、その事業に就いていました。

大柴:ブログの書籍化、ありましたね。有賀さんは、いつまでライブドアにいらしたんですか?

有賀:2007年3月です。

大柴:あ、じゃあ事件の頃も・・・。

有賀:そうですそうです。その後しばらくライブドアにいましたが、知り合いがアパレル関係の会社を始めて、その会社に誘われて転職しました。そこには2年くらいいました。

いろいろあってその会社を辞めた頃、ライブドア時代の知り合いを介して秋山(ベーシック代表取締役の秋山勝氏)に会ったんです。

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大柴:秋山さんとは初対面ですよね。どんな印象でした?

有賀:そうですねー、なんというか「まとも」だなぁって(笑)。

大柴:まとも(笑)。

有賀:いや、その頃に会ったベンチャーやアパレル系の社長の中には変わった人もいたりして(笑)。秋山は一緒にちゃんと仕事ができそうな感じがしました。言っていることも理にかなってるし、会社の業績も堅実に成長してる。

大柴:なるほど。その頃のベーシックのコーポレートサイトって創業ストーリーのマンガが掲載されてましたよね(笑)。

有賀:よく知ってますね(笑)。僕もそれを読んで「この会社は良さそうだ」って感じて入社しました(笑)。

大柴:入社当時のベーシックは何人くらいでしたか?

有賀:30人いないくらいですかね。事業部もなくて、プロジェクトごとに集まるみたいな。僕は多い時で5サイトくらいを担当していました。比較サイトとWebマーケティングツール「ferret」などです。「ferret」が始まった頃でしたね。今のオフィスにも移転したのもこの頃で、すごく成長していました。

大柴:会社も成長しているし、充実した日々を送っていたと思いますが、転職してしまいます。

有賀:はい・・・楽天に転職しました。ちょうど「楽天24」という新プロジェクトが準備されている時期で、その立ち上げ担当として誘われたんです。「大きなことができそうだ」と思って転職を決めました。自前倉庫を持ち、日用品などを早く届けるというサービス。

大柴:なるほど。

有賀:すごく良い会社だったし、充実感もあったのですが、もう少し自分には小さな組織の方が向いてるのかも・・・って少し考えたり。たまに食事に行っていた秋山にも無意識にそういう話をしていたのかもしれません。

それを受けてか秋山も「戻ってくる?」と言ってくれたり。でも当時は自分も「いやー」みたいな感じで。でもどうしようかなって次第に真剣に考えるようになっていきました。そんな時に東日本大震災が起きました。

大柴:2011年3月11日ですね。

有賀:はい。自分たちのサービスは日用品を早く届けるものです。毎日少しずつ配送ルートが回復していき、被災地に日用品を届ける。存在意義も増し、使命感も帯びてきました。僕達ががんばらないといけない!と。その後、徐々に落ち着きも取り戻してきたので、一つの機会だと楽天を辞め、ベーシックに復帰することにしました。

大柴:復帰して感じた印象って何かありますか?

有賀:オフィスは増床してたし、社員も倍くらいになっていました。雰囲気などは変わってなかったし、すんなり復帰できたかなと。ただなんていうか、他の会社に行っていた意味を証明しないといけないというか。単なる復帰ではなく、成長したところを見せないといけないなと強く思っていました。少し気負っていたかもしれません(笑)。

大柴:なるほど。復帰した後はどういう職務をおっていたのですか?

有賀:事業責任者として、既存事業の強化もしましたが、主に新規事業をメインにやりました。新たなサービスをいろいろやってみようという雰囲気でしたね。

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大柴:その中で「マッチに火をつけろ」ができたんですね。

有賀:いろいろやっていく中でアプリ事業者向けのサービスが良いなって思っていくつかサービスを作りました。でもこういうサービスやっているわりに自分達ではアプリ作ってないなって思って。やるならゲームかなぁということで初めて作ったのが「マッチに火をつけろ」でした。

大柴:すごく話題になりましたよね。その後の広告効果測定の記事もバズってた記憶があります。

有賀:アプリ広告って安いらしいと言われてたのですが、いろいろ最適化すれば結構稼げる。そういうのをまとめた記事ですね。「マッチ」のあとにもいくつかリリースして、それぞれそこそこダウンロードされ、ゲームを作れる体制ができてきました。

大柴:そして2014年、アプリ領域事業を行う子会社フルセイルが設立され、代表に就かれますね。

有賀:アプリ以外にもいろいろな事業をやっていたのですが、徐々に自分達のやる事が絞られてきて。やはり自分達はWebマーケティングで問題解決するのが得意だし、そこに集中するのが良いと。その中でアプリのマーケティングなどに特化した子会社を設立しました。

ベーシックは去年ジャフコさんから資金調達もしましたし、自分達のやるべき事業を成長させるフェーズかなって思います。スピードを失わずにこれからもやっていこうと思います。

大柴:最後にいくつか質問を。秋山さんの第一印象は「まとも」だったと仰っていましたが、それから長い年月を共にして、わかった人物像などお聞かせください。

有賀:そうですね。僕もそうですけど、秋山もアイデアが多く出てきて、いろんなことをやりたがる性格といいますか。ただ秋山は今やるべきことにフォーカスできる能力がある気がします。バランス感覚が優れているというか。でも「いいからやってみようよ」というのはありますね。僕はだいたいそれに乗って「いいですね、やりましょう」って(笑)。

大柴:なるほど。有賀さんの今後の目標をお聞かせください。

有賀:ベーシックは創業から10年。これまではいろんな事業をやってきましたが、大きな成長をのぞめる分野に集中してきたところです。改めて大きな目標に向かいだしたところ。この変化の時期を楽しみながら、会社全体として一体感を出していきたい。現場へのマインドの浸透が僕の役目の一つかなって思ってます。当面の目標はそこですね。

大柴:なるほどです。今日はありがとうございました!

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