SaaSスタートアップの買収を進めるMicrosoftの次のターゲットとして注目される3社とは?

著者の Michael Cullen 氏は、SaaS 業界に関する記事を主に扱うオンラインメディア SaaScribe の共同設立者である。ツイッターアカウントは @michaelcullen87


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ここ数週間の出来事から、Microsoft と同社 CEO の Satya Nadella 氏が買収戦略を進めていることは明白である。我々は同社の買収ターゲットに Salesforce があるのではないかと4月に推測し、それが事実だったことが判明した。報道によれば Salesforce の Marc Benioff 氏が付けた700億米ドルの値札は Microsoft からすれば高すぎたようだが。

その後、Microsoft は 6Wunderkinder(タスク管理アプリWunderlistの開発元)の買収を発表し、最近の AcompliSunrise の買収により勢いがついてきている。これらの買収からMicrosoftの買収戦略全体について分かることは何か。そして次にSatya Nadella 氏のショッピングリストに載るのは誰なのか。

Microsoftの買収戦略

Accompli や Sunrise、以前買収したSkype、そして Salesforce 買収の試みを見るに、Microsoft の買収行動にはパターンがあり、先々の行動の予測が可能である。第一に、Microsoft は人々が虜になるような非常に優れたソフトウェアを持つスタートアップを買収している。

The Verge は Sunrise をベストカレンダーアプリと評しており、Business Insider は Accompli をベストメールアプリ(後に iPhone の Outlook アプリになった)と評している。また、両社とも熱心なファンが急速に増えていた。特に、Microsoft は既に自社で取り組んでいいるものの苦戦していることを断然良くできている会社に飛びついている。

Microsoft Outlookのカレンダー、タスク管理、iPhoneアプリはうまくいっていないのか? Sunrise、Wunderlist、Accompli を並べてみよう。これらのアプリはMicrosoftに組み込まれ、その才能と革新が既存のアプリケーションに使われるのだ。

一方で、レドモンド本社の Microsoft はブランドの買収、統合ビジネスも行っている。Salesforce.com の名前を剥いでDynamics CRM と名付けるのが馬鹿げているように、Skype を Lync の名前でリブランドするのもありえない。Skype も Salesforce もそれぞれビデオ会議システム、ビジネスCRMの代名詞となっており、Microsoft 製品がそれらに及ばないなかで、今回の決定はプロダクトを開発することよりもむしろ買収することを目的としている。

最後に、そしておそらく最も重要なこととして、Microsoft は自身のモバイルファースト・クラウドファースト組織を目指すという目標につながる企業を買収している。それにより自身のOffice 製品の生産性、連携展開の強化につなげ、かつユーザーの体験とデザインを重視する企業としてのMicrosoft のイメージを強めていく動きだ。では、Nadella 氏のショッピングリストには次に誰が挙げられているのだろうか。

Slack

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メッセージ機能やチームコミュニケーション機能の点でいえば、今SaaSの領域でSlackほど熱いものはない。Acompli、 SunriseやWunderlistと同じで、忠実なユーザーを増やしている( SaaScribe を含む)、ユーザーは同社のユーザーエクスペリエンスとコラボレーションを促進する居心地の良さを愛しているのだ。

活気に満ちたSlackの雰囲気と同様、同社は多くの特徴や機能性、そしてMicrosoft’s Office 365 collaboration suiteへの刷新的なデザインを提供できるだろう。そして、その魅力がMicrosoftに注入されるのは悪くはないというのは、皆が同意するところではないだろうか。

3月に、Slackは同社のWindowsネイティブのアプリケーションを発表したが、これはMicrosoftがもし買収を真剣に考えているならば確実に必須なものだろう。前述している基準を踏まえると、Slackは確かにMicrosoftが既に行っていることをやってはいるが、しかしながら多くの点でMicrosoftよりはるかにユーザーフレンドリーであり、よりモバイルに特化している。28億米ドルの値札は正当だろうか。

また、Microsoftに合うプロダクトとなるだろうか。一ユーザーとしてあえて言わせてもらうと、Slackの見た目や雰囲気は、Office365というよりも、Googleアプリに似ている。しかし、Microsoftのメインとなる生産性ツールプラットフォームにおいて、間違いなく特徴的な機能が収束しつつある。Slackの買収はMicrosoftのこうした方向性を押し進める次のステップとなるかもしれない。

Docusign

docusign-logo
SaaS界に現れたもう一つの期待の星で、Microsoftと抜群に相性がよいと思われるのは、電子署名を専門とするDocusignだ。今週初めにロンドンで開かれたDocusign Momentum 2015の冒頭の基調講演で、CEOのKeith Krach氏は、Microsoftが最近、Docusignの資金調達ラウンドに参加したことを発表した。資金調達額は2億3300万米ドルにのぼり、評価額は倍増して30億米ドルに達したと見られる。

そこで、10万社に渡って5000万人はいるユーザーは別として、Docusign買収がMicrosoftに何をもたらしたのだろうか?まず、MicrosoftがDocusignの単なる出資者というだけではなく、長期的な戦略パートナーであるということは注目に値する。Docusignは、Microsoftのアプリケーションとの統合と「Outlook、Word、SharePoint、Dynamics CRM、 Windows 8、そして Windows Phone向けの強固なアプリ」を試作すると豪語している。

ドキュメント管理は、Docusign同様Microsoftにとっても中核のものだ。そしてそれは、署名を登録するだけでなく、暗号化や権限付与、ビジネス文書に関係するコンプライアンスの問題まで登録できるもので、そこではMicrosoftが提供するものにDocusignの特別な知識や技術が導入されるだろう。

こうした目的を共有している点から考えれば、両者は相互の人員移動が可能である点とあらゆるデバイスの生産性ツールを開発するという点で、これ以上うまく協調できる組み合わせはないだろう。ゆえに、これはMicrosoftにとって戦略的に良い組み合わせであり、Nadella氏の次のターゲットであると思うのだ。

Dropbox

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これについてはよく書かれてきたが、最近のSalesforce買収を見るとDropboxへのアプローチについても同様のことが言えるだろうか。この2社はMicrosoftの視点からすると似た者同士リストの全てを持ち合わせている。

Dropboxがストレージなら、SalesforceはCRMだ。DropboxもSalesforceもMicrosoftと共にプラットフォーム統合の道を辿ってきた。Dropboxは特に、Officeと一体となってプラットフォーム統合に向け全力を投じている。顧客の使用しているストレージの大多数がOfficeのファイルで占められていることからもわかる。同様に、DropboxとSalesforceは両社とも、膨大な数の顧客をMicrosoftとシェアしており、クラウドとモバイルでの生産性を可能にするという目標も全く同じだ。

DropboxとSalesforceが、OneDriveやDynamicsよりもきわめて優れており、莫大なユーザー数で業界のデファクトスタンダードとなったことは間違いない。Dropboxは現在、帳簿上で3億人以上のユーザーと8万8000の有料メンバー企業を抱えている。こんなに共通点が多いのに、なぜMicrosoftがSalesforceにしたのと同じようにDropboxに入札しないのかが分からない。

なお、MicrosoftはDynamicsよりもOneDriveのポテンシャルに自信を持っているようだ。また、ストレージ市場はCRMよりも商品化が進んでいることは間違いなく、SalesforceはDynamicsには真似しにくいサービスで差別化を図ろうとしている一方で、OneDriveがユーザーエクスペリエンスの観点からDropboxに追いつくことも十分ありえる。

しかし、MicrosoftがDropboxを避ける理由はSalesforce買収が失敗に終わったときと同じ理由になりそうだ。Dropboxは現在約100億米ドルの価値があるとされ、MicrosoftのARRの約25倍の額になる。Microsoftにとってそれだけプラスになるに値するだろうか。私ははっきりしたことは言えないが、これまで意外なことがいくつも起きてきたし、ナデラ氏は今まさに大金をつぎ込んでいるところだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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