個人旅行者向けに、旅先の現地の人との交流をテーマにしたアクティビティ・マッチング・プラットフォーム「Travee(トラビー)」を運営するトラビーは今日、サイバーエージェント ベンチャーズ(CAV)とウィルグループインキュベートファンドからシードラウンドで資金調達を発表した。CAV からは Seed Generator Fund からの拠出。また、ウィルグループインキュベートファンドは、人材派遣業などのウィルグループ(東証:6089)が設立しフューチャーベンチャーキャピタル(東証:8462)に運用を委託するファンドで、トラビーはこのファンドからの初の投資先となる。また、トラビーはこのラウンドで調達した金額を明らかにしていない。
Travee は東南アジアに来ている個人旅行者を対象に、現地の人(ホスト)との交流を意図して、ホストが企画したアクティビティー・プランを購入できるサイト。これまでに、タイ・バンコクを中心に約100件ほどのアクティビティー・プランが集まっている。プランに参加するには、ユーザはPaypal を使って、事前に代金を決済する必要がある。この際、Travee はユーザから10%、ホストから20%の手数料を徴収する。

トラビーの共同創業者で CEO の池田賢一氏は Travee 開設までの背景について、次のように語ってくれた。
大学では観光学部で学び、ツアーコンダクターの仕事を務め、バンコクによく通っていました。そのときの縁で、ASEAN 相互支援協会という NPO の理事を今でも務めています。
インターネットや LCC(ローコストキャリア)、Airbnb などの普及により、旅の手段や価格は変わってきました。しかし、目的は以前から全然変わっていない。個人旅行者のある一部の人たちだけが、わかっている旅の楽しみ方がある。(観光名所などだけでなく)現地の人こそ最大の観光資源だと考え、現地の人との交流をテーマにしたアクティビティー・プランのマッチング・プラットフォームを開発しました。
池田氏によれば、バンコクを訪れる外国人は約1,500万人で、うち8割が旅行者。日本は東京だけでなく全国を訪れる外国人の総和が年間約1,300万人であることを考えれば、バンコクがいかに外国人旅行者にとって人気の高い都市かがわかる。
日本人を対象にしたサイトを構築すると、想定ユーザとなる旅行者の母数が少なく(約200万人)、アクティビティー・プランを日本語で提供できるホストも人数が限られてしまうため、Travee は英語で構築され、欧米人をターゲットとすることにした。池田氏と、共同創業者で CPO(Chief Project Officer)の石井穣(ゆたか)氏は、2014年の秋にプロトタイプを完成させ、11月と12月の2ヶ月間にわたりバンコクに滞在、現地でシステムの開発改善のほか、マーケティングやネットワーキングを行った。
サイトを立ち上げて以来、欧米人ユーザが自然流入で Travee を訪問してくれています。Travee でアクティビティー・プランを掲出した場合、東南アジアの現地の給与水準を考えると、比較的高い収入を得られるということもあって、バンコク以外の地域や他の国に拡大しても、比較的ホストは簡単に集まると思います。
東南アジアでナンバーワンになるのは当然かつマストで、その後は中国や韓国など東アジアに拡大していきたい。(池田氏)
この分野の競合には、2013年11月に Donuts Bangkok に事業譲渡された Meetrip が存在する。また、1997年創業で昨年 TripAdvisor に買収された Viator は、個人のホストではなく企業が開発したアクティビティー・プランのみをキュレーションしているという点で、また、アメリカの Peek は今のところアジア進出の兆しは見えないので、住み分けができていると言えよう。
Travee ではこれまでの自然流入に加え、ユーザ獲得を加速すべく、航空券やホテルの手配サイトなどとのアフィリエイト連携を模索している。
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