軍隊が最大のインキュベータか——スタートアップ大国イスラエル、その成功の理由とは

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ピックアップ | 5 reasons behind Israel’s startup success

世界のスタートアップシーンの中心というと、まずシリコンバレーを思い浮かべる方が大半だと思うが、それに負けず劣らず注目を集めている場所といえばイスラエルだ。人口800万人でありながらも、6000以上のスタートアップがあり、一人当たりのベンチャーキャピタルの数は世界一であるという。日本でも1年前にサムライインキュベートがイスラエルに進出。現地のスタートアップ・インキュベータに出資するなど、イスラエルと日本のスタートアップ、投資家をつなぐ事業に力を入れている。

そんなスタートアップ大国として注目されているイスラエルだが、何がその背景にあるのだろうか。筆者が住むベルリンにもイスラエル人は多くおり、彼らからイスラエルのスタートアップシーンについて話を聞くこともある。とあるイスラエル人のジャーナリストにスタートアップが盛り上がっている理由を尋ねた際には「多くの若者が軍隊で鍛えられるんだ」と言われた。彼らが鍛えられるのは体力面や武器の使用方法だけでなく、通信や信号情報、暗号を解読する「情報・電子戦」だ。

The Next Webの記事では、イスラエルがスタートアップ大国として成功した理由を考察している。ここでもやはり、軍隊での教育について触れられており、「8200部隊」というアラブ諸国の電話の盗聴を含むSIGINTを担当する部隊は「イスラエルで最も影響力をもつインキュベータかもしれない」とまで言及している。

そのほか「自然資源が少なく旱魃に苦しんでいたため、それを解決すべく淡水化技術が発展した」「隣国との関係が悪く孤立しがちなため、できるだけ自立できるような仕組みが発展した」といった点にも触れている。

また、特筆すべきは「移民の力」。1980年後半には当時のソビエトから多くのユダヤ人がイスラエルに移民し、10年で人口が25%も増加。科学や工学、数学に強い人材が各国から入ったことが、テクノロジーの発展に大きな貢献を果たしたという。

多くの要因が重なり合ってスタートアップ大国としての成長を遂げ、世界から注目を集めるイスラエル。日本企業との提携や投資活動も、今後さらに活発になることが期待される。

via The Next Web

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