スタートアップが勢いづくベルリンの夏の風物詩「Tech Open Air 2015」を振り返る

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toa2015 - 19
スタートアップ都市として近年注目を集めるベルリン。数多くのスタートアップイベントやミートアップが日々開催されているが、中でも特別な存在感を放っているのが「Tech Open Air(以下TOA)」だ。先週7月15、16、17日の3日間にわたって開催されたTOAについて紹介したい。

まずTOAについて特筆すべきは、スタートアップの草の根のコミュニティから誕生したこと。「専門領域を超えた知識の交換、コラボレーションを通して人をつなげ、ともに成長すること」をミッションを掲げ、TOAは始動。2012年にクラウドファンディングキャンペーンで資金を調達し、無事に開催にこぎつけた。

参加者もプログラムも大きく増えたTOA

それから数年が経った今「ベルリンの夏のスタートアップイベントといえばTOA」というイメージはすっかり定着した。筆者は昨年初めてTOAに参加し、今回は二度目の参加となったが、イベントとしてのその成長ぶりには驚かされた。メイン会場でのプログラム期間も昨年の1日から2日に増え、有料のメインプログラムの参加者数に関しても昨年を大幅に上回り、2000名ほどが参加していたように思う。

また、今回はベルリンを代表するスタートアップSoundCloudや最近1億1000万ドルを調達し、IPOも間近と注目されるデリバリーサービスのDelivery Heroなど、レイトステージのスタートアップも数多く参加した。ベルリンに拠点を置くグローバルなビジネスインキュベーターRocket Internetも参加。昨年よりもレイトステージのスタートアップや、Shazamなど国際的に注目を集めるスタートアップが増えていた。加えて、Dubsmashなど内外から注目が高まるベルリンの若いスタートアップも壇上でトークした。

ベルリン中でイベントが開催

また、TOAはベルリン市内の様々な場所(多くはスタートアップのオフィス)で開催される「サテライトイベント」の豊富さでよく知られている。こちらは無料で事前登録をすれば基本的に誰でも参加が可能なため、サテライトイベントに参加した人の数は相当数に上るはずだ。

メインプログラムとサテライトイベントを合わせて計3日間にわたって開催されたTOA。この機会にベルリンのスタートアップシーンを見てみたいとベルリン市以外からイベントに訪れた人に何人も出会ったり、またまだスタートアップに関わっていないけれども興味があるから来てみたという声も何度か聞き、確実にその参加者層は広く厚くなっていると感じた。まさに、ベルリンのスタートアップシーンの勢いが反映されているようだった。

さて、今回のTOAは規模も大きく、筆者が参加できたプログラムは一部であるが、その様子を写真とともに紹介しておきたい。

SoundCloudのコーファウンダーEric Wahlforss氏とNative InstrumentsのCEO Daniel Haver氏が「音楽の未来」をテーマに対談
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最近も1億1000万ドルという大型調達をしIPOも近いと噂されるデリバリーサービス Delivery Hero のCEOにTechCrunchのマイク・ブッチャー氏がインタビュー。単刀直入な質問の嵐に会場がわいた。
最近も1億1000万ドルという大型調達をしIPOも近いと噂されるデリバリーサービス Delivery Hero のCEOにTechCrunchのマイク・ブッチャー氏がインタビュー。単刀直入な質問の嵐に会場がわいた。
世界のアプリランキングで上位に入り、注目を浴びるベルリン発アフレコアプリ Dubsmashのコーファウンダー Roland Grenke氏のトーク。大勢の観客が詰めかけた。
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女性・妊婦用のスマートアクセサリー Bellabeatのコーファウンダー Urska Srsen氏。謙虚さとフォーカスが大事、と起業家精神をシェア。
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アジアから参加した唯一のスピーカーは、IoTスタートアップCerevoのファウンダー / CEO、岩佐 琢磨 氏。日本で設計し、中国で製造することでスピーディーな製造を実現していることを語る。
アジアから参加した唯一のスピーカーは、IoTスタートアップCerevoのファウンダー / CEO、岩佐 琢磨 氏。日本で設計し、中国で製造することでスピーディーな製造を実現していると語る。
屋外スペースでも多くの展示やプログラムが展開された。
屋外スペースでも多くの展示やプログラムが展開された。
ガーデンステージではピッチコンテストも繰り広げられた。
ガーデンステージではピッチコンテストも繰り広げられた。
投資家と起業家の「スピードデーティング」コーナー
投資家と起業家の「スピードデーティング」コーナー
注目を集める起業家に質問することができる「Ask Me Anything」コーナー
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ベルリンのスタートアップオフィスでよく見かける Kicker。気分転換には最適?
ベルリンのスタートアップオフィスでよく見かける Kicker。気分転換には最適?
ランチコーナー
ランチコーナー
ベルリン市内の各地で開催されたサテライトイベントのマップ
ベルリン市内の各地で開催されたサテライトイベントのマップ
写真共有アプリのEyeEmはベルリンをテーマにEyeEm上で共有された写真をピックアップして、展示。
写真共有アプリのEyeEmはベルリンをテーマにEyeEm上で共有された写真をピックアップして、展示。
写真を見ながら会話がはずむ。
写真を見ながら会話がはずむ。

ベルリンのスタートアップシーンに興味のある方は、来年こそはぜひ参加してみてほしい。きっと多くの貴重な出会いを提供してくれるはずだ。

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