
楽天は7月2日、C2C型のアクティビティサイト「Voyagin(ボヤジン)」を運営するVoyagin Pte. Ltd.(以下、Voyagin社)の発行済株式の過半数を取得したことを発表した。取得にかかった費用については非公開。
Voyaginのサービス開始は2012年12月(当時の運営会社名はエンターテイメントキック)。旅先のガイドを現地の個人や事業者に依頼することができるC2C型サービスで、旅行者はホストが企画したアクティビティ(旅の企画)を購入することができる。
英語、日本語、中国語、フランス語で展開しており、アジア中心の50カ国で1800件ほどのアクティビティを提供している。なお、Voyagin側は掲載する内容やホストの面接などを実施して安全性を担保しているのが特徴。2013年5月にはOpen Network Labの6期制としてプログラムを卒業している。
楽天による買収についてVoyagin社の代表取締役、高橋理志氏は今後期待されるインバウンド(訪日外国人向け)事業の拡大を狙うという。
「(オリンピックがやってくる)2020年あたりにインバウンド事業のピークがやってくると考えています。そのタイミングまでに一番早く、最もよいものを作ることを考えた際、楽天さんと一緒に組むのが一番だと判断しました。現在は日本とバリにフォーカスして、それぞれ「都市型」「バケーション型」の成功モデルを作ろうとしています」
楽天トラベルに多くのホテル情報(※リリースでは5月時点で29550件)があり、これとVoyaginの提供するアクティビティを組み合わせれば、シンプルに訪日外国人向けの商品にバリエーションが生まれる。また、高橋氏によれば「2014年の売上は昨年対比で10倍成長しており、年間30,000人の予約が成立している」とのことで、こういった成長も単なる出資にとどまらない一歩踏み込んだ契約に至った理由だろう。
また、C2C型といいつつ、小規模な旅行企画会社などのマーケティングチャネルとしての側面もあり、売り上げ的な貢献度はやはりこういったプロの事業者によるものが大きいという話だった。
Voyagin社のチームはアルバイトなどを含めると約20人ほどで、その半数は外国籍の方なのだそうだ。現在、日本以外にもバリとシンガポールに拠点があり、スカイプなどのオンラインミーティングを駆使して事業運営に当たっているという。利用ユーザーもほぼ海外の方で「海外展開に成功しつつある国内スタートアップ」という印象が強い。
国内では同様にアクティビティ予約の「asoview!」を運営するアソビューがジェイティービーと資本業務提携を発表し、やはりこのインバウンド事業の拡大を狙っている。今回の買収によって生まれる楽天Voyagin連合と今後どのような競争が見られるのか、こちらも興味深い。
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