難民と地元市民の部屋をマッチングするベルリンの社会起業スタートアップ「Flüchtlinge Willkommen」

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<ピックアップ> Flüchtlinge Willkommen

著者が滞在する独ベルリンはスタートアップシーンが数年前から活気づいているが、いわゆる「社会起業」のプロジェクト例も目立つ。「Flüchtlinge Willkommen(難民の方、ようこそ)」も注目を集める社会起業の例だ。

Flüchtlinge Willkommenは難民と地元市民の部屋をマッチングするサービス。難民の方に部屋を提供したい人はまずサイトから登録する。すると、提携先の難民支援団体とつながり、部屋を探している難民とマッチングがされる。部屋を提供する人に対しては、寄付やクラウドファンディングのような形で「家賃」の支援がされる。

コファウンダーのJonas Kakoschke氏は、以下のインタビュー動画でこのプロジェクトをスタートさせた動機について次のように語っている。

難民は、都市の中心部から離れた場所にある難民用の集合住宅に住むケースが多いのですが、そうなると彼らは地元社会から孤立してしまいます。現地の社会に溶け込めるきっかけが必要だと思いました。

また、ドイツへの難民申請は多く、2014年には亡命を申請した難民は20万人に上るという背景も、こうしたサービスの立ち上げに当然大きく影響している。

上の動画では、ベルリンに住む63才のバス運転手とパキスタンからきた22才の難民の青年が共同で暮らす例が紹介されているが、「私も昔、東ドイツから西ドイツに逃れてきたのですが、当時の私にとって個人的なつながりを見つけることは非常に重要でした。文化や言語の面で支援を得ることが、新しい国に慣れるためにはとても大切です」というバス運転手のコメントは心に残る。

社会起業はスタートアップシーンの一部になっている

以前、世界のスタートアップシーンを取材旅行していた大学生の松井姉妹にインタビューした際には、松井友里さんがスタートアップコミュニティと社会起業の関係について、海外は日本ほど両者のコミュニティが分断されていないとコメントされていたのを思い出す。

同様のことをベルリンにいても感じており、実際に私もローカルかつグローバルな社会問題に取り組むスタートアップに遭遇することがとても多い。また、今回紹介したFlüchtlinge Willkommenは、ファウンダー3名のバックグラウンドが、コミュニケーションデザイン、ソーシャルワーカー、外国語教育と、典型的なテック領域の分野ではないメンバーが「難民支援」というミッションの元に集まってサービスを作っているのが印象的だ。

なお、Flüchtlinge Willkommenはこれまでに92件の難民と地元市民のマッチングが実現したとのことで、確実に結果も生み出しているようだ。こうしたスタートアップの勢いによって社会がどのように変化していくのか、楽しみである。

via Flüchtlinge Willkommen

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