スタートアップが「職場の厄介者」を採用しないためにするべきこと

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Brad Wiskirchen氏はKountのCEOである。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Heisenberg Media“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

電話の声がうるさかったり、同僚のゴシップ話をしたり、会議で割り込んで話し始めたり、職場の冷蔵庫から人の食べ物を勝手にとったり。

「職場の厄介者」のことだ。

社会に出たことがある人なら、おそらくこうした低EQな人に出会ったことがあるかもしれない。特徴は、自覚の欠如、いじめ、裏切り、そして利己主義だ。どの職場にも嫌な仕事仲間がいるわけではないが、厄介者の存在は必ずビジネスに影響する。結局、企業の良し悪しは社員のそれに比例するのだ。

私がCEOとして学んだことは、職場で好き勝手やる粗悪な社員がもたらすネガティブな影響から、どのように会社を守るか、さらに言えば、会社を始めたばかりのリーダーが職場に信頼や責任感、協調性を育てるにはどのようにしたら良いか、またはすべきかということだ。

厄介者がもたらす悪影響

職場の揉め事が社員の生産性に影響をもたらすのは明らかである。250人のIT技術者を有する企業Connectriaによる最近の研究では、回答者の65%もが、苦手な同僚がいるせいで会社に行くのが嫌だと答えている。同時に、うち40%がそれにより仕事の質が低下すると答えた。ジョージタウン大学のMcDonough School of Businessの研究によると、実験者が被験者である社員をけなした後、アナグラムパズルの結果は33%も悪くなり、また発想力が39%減るという結果になった。

これはスタートアップにとってどんな意味を持つのだろうか。1人の厄介な従業員によって、最終的な収益のみならず、残りのスタッフにも影響を与え、生産性、創造力、そして労働の質が低下してしまう。あまり友好的ではないスタッフを雇っていることにマイナス面があるのは明らかだ。私の解決法は何かといえば、そもそも不愉快なヤツを雇わないように、最大限の努力をすることだ。

シンプルな解決策

私が数年にわたり学んだこととは、人はトレーニングすれば必要な全ての業務ができるようになるが、意地悪でなくなるようにすることはできない、ということだ。私は常々、人事部に口を酸っぱくして言うことがある。人を雇うときは、機転が利いて、知識があって、才能があるだけではダメ。人当たりがよくて、礼儀正しく、控えめでなければならない。

これにより職場モラルと業績の両方に成果をもたらしている。職場で扱いにくい人は、見込み客や既存顧客、メディア、業界の人などすべての人にとって同じように扱いにくい存在である。会社の評判やブランド価値は、人があなたの会社のスタッフと接した経験に基づくものだ。無礼な態度は重要な場面で品位を落とすことにつながってしまう。皆で伝えようと努力するブランドイメージを第一印象に反映させることができないのだ。

隠された強みから、個性を発掘する

採用プロセスにおいて、会社は隠れた才能を見出すために潜在的候補者の個性をより深く追求する機会を設けるべきだ。経営陣はしばしば職場技術や産業専門知識を素早く発掘するよう訓練される。だが、成功を測ることができる本当の指標は、社員の秘められた強みにあるのかもしれない。

品質保証のエンジニアがヨーヨーの名人でチャンピオン(実際このような人物が、我々のスタッフにいる)であることを知り、彼女が忍耐力と様々なチームと一緒に仕事をする柔軟性を持っていることがわかった。大自然の中、5日間のバックパック旅行を難なくこなしてしまうソフトウェアエンジニアは、計画立案能力や予期せぬ変化や困難に対応できる能力を持っていることを示している。

逆に、チェスの名人は高い集中力を発揮し、周りの邪念を無視することができるので、かなり集中が必要なとても専門的な課題を解決する際はきっと頼りになるだろう。時間をかけて常識の枠を超えよう。そうすればそこにあるとはまったく気づかなかった秘密兵器が実際はたくさんあったのだとわかるだろう。

うまく皆と働き、互いに信頼する明るいスタッフで構成された職場は、スタートアップの成功に欠かせない要素だ。このような職場環境では、協調、ブレインストーミング、問題解決をより容易にするのに役立つ。これらはすべてビジネスの肝心な点にはプラスとなる。

もっともな異議への反論

「確かに、不愉快な人が実際にはビジネスにとってはいい場合が多くある」と考えている人がいるかもしれない。頭の回転の早い人の話を読んだことがあるだろう。そして彼らの馬鹿さ加減は同時に素晴らしさも織り交ざっているように見える。しかし、The Energy Projectを経営するTony Schwartz氏が最近The New York Timesで述べたように、従業員は自身のニーズが満たされたと感じるときにこそ、より良い成果を挙げるものだ。Steve Jobs氏の伝記作家であるWalter Lssacson氏はこう書いた。「不愉快さは必要ではない。それは、彼(Jobs)の助けになるどころか妨げだった。」

互いに効率的に働きコミュニケーションを取れるチームを構築することは、長い目で見たときには製品の質にも大きな影響を与える。それは職場のモラルにおいて決定的に重要であり、また人事と経営陣が、組織の成功に貢献するような資質を有する候補者を発掘し、成長させることができるよう、組織文化に対して明確な知見を有することが大切である。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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