サムライインキュベートは31日、イスラエル・テルアビブを拠点とするスタートアップ yapQ に出資したと発表した。今年初めに組成した「Samurai Incubate Fund 5号投資事業有限責任組合」からの出資で、出資金額は10万ドル。
yapQ は2015年2月にローンチした旅行者向けに観光スポット情報を提供するスタートアップで、モバイルアプリとウェブサイトで、観光スポットへのルートをレコメンドし、12ヶ国語の音声で案内する。YapQ 上の観光スポットに関するコンテンツは Wikipedia から取得しており、Instagram 上で投稿されたチェックイン情報をもとに、どの観光スポットの人気が高いかを自動的にランク付けしている。yapQ のバックエンドでは、独自に開発したエンジンが Instagram で位置情報を伴った投稿と、Wikipedia 上の観光スポットに関する記事を紐付けており、このエンジンに内包されたアルゴリズムこそが yapQ が持つ技術の要のようだ。
ローンチ当初、yapQ は航空会社、レストラン、旅行会社などが提供するウェブサイト向けの SDK の提供からサービスを始めたが、そこからサービスを C 向けに軌道修正し、旅行者が(渡航先でのローミングなど)モバイルデータでアクセスしていなくても、音声ガイドツアーが楽しめる Android / iOS アプリをリリース。8月初めには Google Chrome 向けのプラグインをリリースしており、ユーザがこのプラグインをインストールした状態で Airbnb や Booking.com のウェブサイトを訪れると、宿泊滞在先のページに近隣の観光スポット20カ所に関する詳細情報が表示される。

位置情報に基づいて観光案内を音声で伝えるアプリと聞くと、今年の Tech in Asia Singapore で披露された、ハノイ在住のデンマーク人起業家が立ち上げた「Echoes」というスタートアップのことが記憶にある。yapQ との違いは、Echoes はプラットフォーマーやユーザがコンテンツを作成するコンテンツ重視型であるのに対し、yapQ はコンテンツには関与しておらず、公開された離れ離れの情報を結びつける技術を提供している点だ。これはいかにもイスラエルのスタートアップらしいモデルであり、オンラインとオフラインを結ぶ観光情報以外の分野にも応用できるだろう。
yapQ のユーザ数を国別に見てみると、イスラエル、アメリカに続いて日本が3位につけており、今回、サムライインキュベートから資金調達したのには、そのような事情も影響しているようだ。同社の毎月のユーザ増加率は16%に上っており、今後はイスラエル、ドイツ、ロシア、日本をターゲットに、今年度中にアクティブユーザ数で10万人を目指したいとしている。
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