従来の検査の16分の1の価格で、乳がんと卵巣がんの早期発見に貢献する遺伝子検査キット「Color」に取材

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今年の7月、遺伝子解析スタートアップ「23andMe」が資金調達を実施しました。シリーズEのラウンドで7,900万ドルを調達し、評価額が10億ドルを超える「ユニコーン」に仲間入り。わずか99ドルの遺伝子検査キットを使うことで、潜在的な健康のリスクや遺伝による疾患などについて知ることができます。

遺伝子検査は、今注目が高まる分野の一つ。それを、女性特有の乳がんと卵巣がんに関して行ってくれるのが「Color Genomics」です。従来、4,000ドルを下らなかった乳がんの遺伝子検査を、249ドルという手頃な価格で提供しています。

この遺伝子検査キットでは、乳がんと卵巣がんリスクに関連する19種類の遺伝子(乳がん感受性遺伝子1と2を含む)を包括的に分析。ユーザー個人と、その家族の健康状態を分析して教えてくれます。カリフォルニア州バーリンゲームを拠点とするColor Genomicsで、事業開発を担当するFatima Sabarさんにお話を伺いました。

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ー従来、Colorが提供するような遺伝子検査は4,000ドルほどしたと聞きました。一方のColorは約250ドル。どのようにしてこの価格帯を実現しているのでしょう。

遺伝子検査のひとつひとつのプロセスを2年間かけて見直し、そこに現代のソフトウェアにおけるベストプラクティスを用いました。巨大なスケールのソフトウェアシステムと従来の研究室。この2つを上手く繋げて研究室を自動化することで、コストを10分の1に押さえながら、正確さと一貫性に長けた次世代シーケンシングテストを実現しています。

私たちのソフトウェアは、スタンフォード、MIT、Google、Twitterなどを含む世界トップクラスのソフトウェアチームが構築するものです。これを用いることで、科学者や医療専門家は本来最も重要な仕事にだけフォーカスできるのです。

ーColorが提供する遺伝子検査はどの程度正確なのですか。

これまでに、何百ものサンプルを使った遺伝子検査プロセスの検証実験を繰り返し行ってきました。私たちがパートナーシップを組むワシントン大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校と共同で行ったものです。Colorの遺伝子検査は、300以上の多様体を含む500を超える試験体を対象とした盲検試験において100%の正確さをもたらしました。検証実験の方法論や結果については、ホワイトペーパーをご覧ください。

ーColor Genomicsのファウンダーは、生物学とテクノロジーの融合に関心があったと聞きました。その中でも、なぜ乳がんと卵巣がんの遺伝子検査の分野を選んだのでしょうか。

創業チームが、乳がんと卵巣がんの遺伝子検査に共鳴した理由は3つあります。個人的な繋がり、スケールした際のインパクト、そしてアクショナビリティ(具体的に行動可能か)です。

創業メンバーの一人は、BRCAと乳がんに個人的な繋がりがあります。彼自身がBRCA2の突然変異を持っており、また乳がんを患った家族も数人いました。家族が乳がんと闘う姿を目の当たりにしたことで、遺伝子情報によって患者がどれだけ力づけられるかを知ったのです。その他の創業メンバーも、乳がんとその傾向を調べる研究に従事した経験を持っています。

ー乳がんや卵巣がんは、女性にとって切っても切れない病気です。現在、Color検査キットを提供するアメリカではどれくらいの女性が影響を受けているのでしょう?

それが、まさに先ほどお話したスケールした際のインパクトの話です。乳がんは、本当に多くの女性に影響を与えるものです。米国では、8人に1人の女性が乳がんを発症し、毎年25万人にも及ぶ人が影響されています。

乳がんと卵巣がんの10〜15%が、遺伝した遺伝子突然変異に起因するものです。これらの癌リスクを高める遺伝子突然変異にまつわる科学は紐解かれていますが、Colorが登場するまで、癌を発症するリスクを包括的に検査する手頃な手段がありませんでした。

乳がんと卵巣がんのリスクを高める遺伝子変異について知ることで、患者は具体的に行動することができます。こうした傾向を早めに知ることで、自分の医療供給者と共にスクリーニング検査や予防策を立てられる。とある研究結果によると、乳がんを発症した人の5年後の生存率は通常25%ですが、早期発見や治療が可能な段階による診断でそれが98%にまで上がると言われています。

ー今後、遺伝子検査の結果で集まったデータを用いて、女性特有の病気などの研究に役立てる予定はありますか?

集めたデータは、広く癌の先端研究に役立てられると考えています。遺伝子変異体のデータを匿名で集めて、ClinVarなどの科学的データベースに取り入れるのです。これらのデータベースは、医療研究者によって、遺伝子と病気の関連性を紐解くために使われます。遺伝子変異体をもとに個人を特定することはできず、こうした情報へのアクセスを公開することで癌研究を前進させ、病気の集団理解を高めることに繫がります。

Color Testを受ける際に、人々は先端研究にデータを役立てることに協力するかどうかの意思表示をすることができます。もちろん、Colorの全てのデータは、HIPAA法に遵守したセキュアな形で保管され、Color Testを受けた人のプライバシーは守られます。

ーColorの検査キットは、クリニックや医療機関でも使われているのですね。導入する機関の数は増えていますか?

その診療にColor Genomicsの検査を取り入れるクリニックや医療供給者の数には驚かされています。供給者もまた、患者が乳がんと卵巣がんを発症するリスクを知ることができる手頃で高品質な遺伝子検査を求めていることの表れだと思っています。

ー遺伝子検査という分野で挑戦するスタートアップが増えています。特に注目しているスタートアップがあれば教えてください。

遺伝子検査は成長分野で、ここに参入する企業はいくつもいます。その中でも、「Guardant Health」や「uBiome」は興味深い例です。

ーColorの遺伝子検査キットを海外でも提供する予定はありますか?

米国の外からもColorの遺伝子検査キットを受けたいという要望は多数届いています。もちろん、将来的には世界中の人に対して手頃な遺伝子検査キットを提供したいと考えています。
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Color Genomicsは、Khosla VenturesなどのVC、またスティーブ・ジョブスの未亡人であるLaurene Powell Jobsを含む個人投資家などから1,500万ドルを調達しています。冒頭で紹介した23andMeは、今後、集めた遺伝子情報を活用して新薬の開発に挑戦する予定も。同様にColor Genomicsも、乳がんや卵巣がん早期発見の機会を作るだけでなく、さまざまな方法でがん医療を底上げしてくれることに期待したいと思います。

Colorの遺伝子検査のためにサンプルを送る流れを紹介した動画も併せてご覧ください。

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