ヨーロッパーーその投資機会は見落とされている

Marcos Battisti 氏は Intel Capital、西ヨーロッパ・イスラエルのマネージングディレクターで、担当地域における投資活動をリードし、投資委員会のメンバーの1人でもある。

Credit: 佐藤ゆき

最近ヨーロッパでは悪いニュースばかりが続いているが、この地域はベンチャー投資家にとって大きな機会を得られるという事実は見過ごされがちだ。

ギリシャ負債問題、ユーロの現状の話題に押されて語られなかったのは、スタートアップが優れたサイバーセキュリティやクラウド、モバイル技術を開発して堅固な利益を生み出し、見事にエグジットにまで持っていっていることだ。

企業価値評価は、アメリカよりもずっと理にかなったものである。

Skype や Spotify のような会社がヨーロッパからスタートしたことは簡単に忘れ去られる。あるいは、EU がアメリカより大きい事実も同様に。

しかし実際のところ、ヨーロッパは非常に起業に適する場になった。ほとんどのEU加盟国が研究開発税の控除を実施し、ビジネス成長を促している。その多くが継続的な教育投資を通じて、高く洗練された労働力を作り出している。そして西ヨーロッパの国々のほぼ全てがシリコンバレーのように、投資家のための保障を提供する法制度を採用しているのだ。

言い換えるとヨーロッパはビジネスをするには良い場所なのだ。

それはヨーロッパで投資をすると勝ち馬に乗りやすいということなのか。それは違う。大きな見返りのある投資が簡単なものだと誰が言うだろうか。

要するに、ヨーロッパは先端技術や確実な利益の可能性への道を開いており、そしてアメリカよりもずっと合理的な評価を受けている。さらに、思いもしない場所に秘宝が眠っているのだ。ただ知っておくべきなのは、どこを見るかということだ。

変化した起業家精神

世紀の変わり目では、平均的なヨーロッパの起業家精神は小さいものであった。彼らの目標は一国(その国が小国の可能性もある)の中で最も大きな企業になるというのが多かった。こういった起業家精神は大きく、良い方向へと変化してきている。

今日では、ほとんどのヨーロッパ企業は大規模な世界規模の企業になりたいとしており、グローバルスタンダードなビジネス展開をしていこうとしている。こういった心持ちの変化から国外在住者はビジネスを展開し、彼らの経験を持ち込んで、さらにビジネスを促進させるのだ。

それはまた、多くの好条件を生んでいる。

投資先企業のうち、2つの企業を見てみよう。2011年に私たちはクラウドストレージサービスを展開しているベルギーのAmplidataの株を購入し、そして5月には業界を牽引するWestern Digitalがこの会社を買収した。さらに2013年に私たちはモバイルアプリケーションの開発ツールを提供するアイルランドのFeedHenryに投資をし、そして大手のオープンソース企業であるRed Hatが昨年秋にこの会社を買収した。

いずれの場合にせよ、私たちは強固な基盤に基づいて確固たる見返りを獲得し、さらには次世代のクラウドサービスとモバイルテクノロジーの樹立に貢献しているのだ。

政府からの持続的な投資

ほとんどの投資家同様、私たちも政府からの干渉を歓迎しているわけではないが、ヨーロッパにおいて、政府からの2つの投資方法に関しては例外だ。

1つ目は、研究開発税の控除である。これは欧州委員会が挙げた成長のための5つの優先事項の1つに含まれており、スタートアップの大規模な活動を支援し、フランス、ドイツ、またイギリスのようなテクノロジー系産業が活発なエリアを作るのに重要な役割を担ってきた。

2つ目は教育だ。多くのヨーロッパ諸国には、工学プログラムや科学プログラムに資金を出すという長い歴史がある。そいういった地域の企業は、企業の急成長の助けになるハイテク技術を備えた人材が安定して供給されるという、間接的ではあるが、相当な恩恵を受けている。

こうした政府投資は、将来性のある高度成長企業の急増を引き起こし、その多くに私たちは支援してきた。

例えば、スウェーデンには大手視線追跡ソフトウェア会社(Tobii)、またヨーロッパ最大のモバイル支払いプロセッサー(Izette)の本拠地がある。そしてAppleは最近、ドイツの拡張現実会社Metaioを買収した。

より多くの投資家に多種多様な投資の機会が広がっている。特に、アメリカと比較してベンチャー企業への投資競争が少ない地域においては、将来このような企業がさらに現れるであろうと期待している。

隠された宝石

私がヨーロッパには隠れた投資の機会が転がっているというと、誰でもそれがどこにあるのか知りたがる。彼らは私の答えに驚くことが多い。フランスだ。

フランスの市場は、おそらく他のどの国よりもグローバルな取引に対して閉鎖的であるという評判があるからであろう。その気を萎えさせる労働規則と法的構造は、投資家と起業家の間で語り草となっている。

しかし実際には、フランスは根本的な変化を遂げた。特にテクノロジー系のスタートアップについては、規則はよりシンプルになり、費用もかからなくなった。法律制度も、国際規模で展開する企業のためにより簡易に改定されたのだ。

それでもフランスにはまだ法的な煩雑さが残っているのではないか。その通りだ。しかし、それらを理解した上で行えば結果は違ってくるのだ。現地の専門家のアドバイスに沿って行えば、大きな利益を生む可能性もある。

なぜなら、フランスはヨーロッパの中で最も積極的で手厚い研究開発向けの助成金提供プログラムを有しているからだ。そして、Ecole Politechnique や Ecole Centra を含む工業校は一流校であり豊富な資金を持っている。

結果、多くの企業がグローバルな高成長と確実な利益獲得を目指しているのだ。

我々のポートフォリオであるトゥールーズに拠点を置く企業のSigfoxを例にとってみよう。同社は、モノのインターネット(Internet of ThingsあるいはIoT)デバイスを利用する上で非常に重要な低エネルギーかつ低コストのワイヤレスネットワークを構築している。欧州連合加盟国のほぼすべてをカバーするネットワークを軸に、2回の投資ラウンドにおいて十以上の企業から資金調達を行っている。最新の投資ラウンドをもって、アメリカ、ラテンアメリカ、日本、そして韓国への展開が実現化するという。

このような企業そしてその業績により、フランスは思われているよりもビジネスに対しより開放的になっていると断言することができる。

投資家たちの準備も万全に

ベンチャー投資には常に2つの道がある。資本を手に入れるという道と、企業、この場合では地域の準備が万端になっているという道である。

アメリカのバイヤーたちはヨーロッパ企業に投資したり買収したりする際、文化、時差、そしてコンプライアンスといった問題を含め、統合に関する問題に常々頭を悩ませてきた。

それは急激に変化している。現在、統合は容易になり、利益は高く、アメリカといった他の市場での激しい競争がなくなっているため、査定額はそれほど高くなくなっている。

投資家として、申し分ない状況である。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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