30歳以上で、このデバイスを見て心がときめかない男子は少ないのではないだろうか。1983年7月15日に任天堂より発売された家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」のソフトを彷彿とさせるデザイン。
これは、シロクとBeatroboの二社が共同で開発するスマートフォン向けゲームデバイス「ピコカセット」だ。アプリを起動し、このデバイスをスマートフォンのジャックに差し込むと、デバイスに入っているゲームをプレイすることができる。
アプリの部分はシロクが担当し、ハードの部分はBeatroboが担当する。Beatroboはイヤホンプラグ型デバイス「PlugAir」を開発・提供しており、「ピコカセット」でも同様の技術を用いてデバイスを開発する。
シロクとBeatroboの二社は、過去に名作と言われるゲームを世に送り出してきたゲーム会社と提携し、名作ゲームを「ピコカセット」を通じて提供していく予定だ。シロクはこれまで提供してきたToB向けの事業をメインにしながら、新たな可能性としてピコカセットに取り組み、Beatroboは主力事業に位置づけていく方針だという。

右:シロク取締役CCO 石山貴広氏
シロク取締役CCOの石山貴広氏は、
石山氏「ライセンスの許可が下りたゲーム自体をスマートフォンに最適化する作業をシロクが行います。タッチ操作やスワイプなど、ゲームの性質に合わせてチューニングし、製品開発をしていく予定です。将来的にはオリジナルゲームの開発も視野に入れています」
とコメント。過去のゲームをスマホ用にリメイクしたものは、操作感の違いからゲーム好きから敬遠されることもあったが、スマホに合わせて最適化されることでミスマッチも減りそうだ。
Beatrobo CEOの浅枝大志氏は、
浅枝氏「アプリを通じてゲームを提供しようとすると、App StoreやGoogle Play Store上で、無数のゲームの中から見つけてもらう必要があります。ここだけが販路になってしまうのは厳しい。ピコカセットを通じてゲームを販売することができれば、様々な場所でゲームを販売することができます。また、何かの購入したときの特典としてピコカセットをつけて、体験版をプレイしてもらう、なんてことも可能です。「ピコカセット」を通じた販促が将来的には可能になるかもしれない、と考えています」
とピコカセットのビジョンについて語った。「コミケでピコカセットを使ってゲームが売られても面白いかも」と語る浅枝氏。かつてのCD-Rのような使い方もできそうだ。
「ピコカセット」は、スマホとアプリがあればゲームがプレイできる時代に、あえてゲームソフトのデバイスを開発するという合理性を欠いたアプローチにも見える。だが、石山氏と浅枝氏が目指すのは、ゲームの購入体験のリデザイン。
あえてリアル、あえてハードに取り組む彼らのアプローチがどのような反響を呼ぶのか楽しみだ。
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