THE BRIDGEウェビナーはニュースや新しいトレンドを詳しく解説するウェブセミナーです。
SCiOは食品や薬品などの分子組成を分析できる携帯できるスキャナーで、キックスターターにて2014年8月に公開されるや、大きな話題となりました。
クラウドファンディングでは20万ドルのプレッジゴール(募集予定金額)に対して、10倍以上の約276万ドルを集めて終了しています。今回のセミナーではこちらのプロダクトの可能性について岩淵技術商事の岡島康憲さんに解説してもらいます。
はい、では岡島さんよろしくお願いします。簡単に自己紹介してもらっていいですか?
結構フォーマルな感じで始まるんですね。ええと、みなさん初めまして、岡島です。日本電気(NEC)やNECビッグローブなどでWebサービスとハードウェアビジネスの企画業務を経験してその後独立しました。主にはハードウェアの試作案件やハードウェアベンチャーの支援プログラムなどに関わっています。最近ではDMM.make AKIBAなどで活動してることが多いですね。
一言でいうとネット接続型のハードウェアに詳しい人、でよろしいですか?
Image Credit : SCiO
はい、では今日のお題目の「SCiO」ですが、これってもう話題になったの1年前とかになるんですね。本誌でも軽く取り上げてました。
すごくざっくり言うと飲み物に塩がどれくらいはいってるか、とか自分のからだに合わないものが入ってないか、とかが非接触でわかるスマホ連動スキャナです。
Image Credit : SCiO
例えばこんな感じで果物とか液体とかにスキャナの光を当てると「その果物がどれくらい甘いか?」「その液体に塩分がどれくらい含まれるか?」がスマホのアプリに表示されると。
なるほど、でもこれ、よく考えたらレストランとかで食べ物オーダーして出てきたものをスキャンして「何この高カロリー!変えてちょうだい!」とかやり出したらただのクレーマーですね。
クラウドファンディングで約276万ドルを提供した約1万3000人の人たちは多分、そういうことには使わないと思います。
Image Credit : Kickstarter
お、この二人が開発者ですね。分析しまくってるんでしょうね。食べたり飲んだりする前に。
彼らはイスラエルのスタートアップのConsumer physicsで、代表のDror Sharonは元OPGAL Optronicsの代表をやってた方です。OPGAL Optronicsっていうのはセキュリティや軍用の赤外線カメラの開発をやってる会社で、だから赤外線関係の人材や生産については詳しいんでしょうね。
Image Credit : SCiO
モノに含まれる成分(塩とか砂糖とかミネラルとか、いわゆる化学物質)はどれもこれも特定の波長の光を吸収する性質があるんですね。
SCiOはモノの表面に「近赤外線光」を当てて、跳ね返ってきた光を分析することで「どの波長の光がどれくらい吸収されたか」を計測して、この吸収された光を分析することでどういう物質が含まれているかがわかる、という仕組みなんです。
Image Credit : SCiO
でも、彼らの説明ムービーだとこの分光器っていうんですか、光を分析する機械ってかなり大きいみたいなんですが、どうやってこんな小さくできたんですか。
そこでクラウドですよ。デバイスが行うのは「跳ね返ってきた光の性質」を計測するだけで、あとはその情報をスマホ経由でクラウドに送信し、跳ね返ってきた光、吸収された光を分析して結果を出す。
そういうIoTという言葉の使い方はやめてください。雑すぎます。
はい…すみません…バズワードなのでつい。ところでこれって人間の分析とかもできるんですか?あなた悪い人とか。
Image Credit : SCiO
多分無理ですね。SCiOは定期的に「肉分析用」「野菜分析用」「ドレッシング分析用」と分析する対象物ごとにアプリをリリースするらしいので、そのアプリがカバーするジャンルの物質の範囲しか分析できません。
今更なんですけど、これって信用できるんですか?ものすごい精度悪くって「このドレッシングは健康!OK!」って使いまくってたら健康診断でD判定とかあるあるじゃないですか。
同じようなロジックを使ったデバイスに「糖度計」があるんですね。SCiOと違って糖分しか測れないものですが、全国の果物市場とかで普通に使われている。しくみの上ではアレと同じ。ただ…
物体に当てる光の生成や跳ね返ってきた光の波長を計測する部分は、光学的に複雑な機構が多いはず。SCIOを開発する会社は「SCiO用に開発した独自の分光器」を使うらしいけど、その分光器が量産に耐えられる設計かどうかが今後のポイント。
Image Credit : SCiO
なるほど。いわゆるキックスターターでの出荷は耐えられたけど、その後の量産で痛い感じになるタイプですね。
ハードウェアの生産についてはまた別の機会にウェブセミナーを開催して小一時間語らせていただきます。
正直これが高いのか安いのかはわからないですね…でもなんか欲しくなってきた…。岡島さん、今日は解説どうもありがとうございました。ではまた次回。

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