UberとWeChat(微信)をめぐる事件から見えた、中国での成功の難しさについて

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “DAVID HOLT“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

外国においてしばしば混沌した市場と考えられているのは中国だ、というUberが最近口にした不平はある意味滑稽だが、同時に理解できる内容だ。よくニュースのヘッドラインでも見られるが、タクシー市場で成功するためにUberが多額の資金を費やしているということは明らかである。

要するに、Uberは国内で唯一のライバルDidi Kuaidi(嘀嘀快的)の間接的ではあるが控えめとも言えない単なる犠牲者だと信じているのだ。

間接的な理由になるが、今回のケースではDidi自体は何も悪いことはしていない。その代わり、Didiの最大の出資者であるTencent(騰訊)が、UberをWeChatアプリから締め出し、結果としてUberの6億人ものアクティブユーザも同時にブロックされる事態になった。

アジアや中国の外にいて全くWeChatになじみのない人々にとっては、Andreessen HorowitzのパートナーであるConnie Chan氏がおそらく最も端的にTencentのWeChatアプリの重要性について分析を行っている。

「基本的なコミュニケーション機能に加えて、中国国内のWeChatユーザはあらゆることをたった1つのアプリで行うことができます。つまり、タクシーを呼ぶ、デリバリーを注文する、映画チケットを購入する、カジュアルゲームで遊ぶ、フライトを確認する、友人に送金する、フィットネストラッカーデータにアクセスする、医師の診察予約をする、銀行の残高証明書を入手する、水道料金を支払う、特定地域向けクーポンを見つける、曲を認識する、地元の本屋で本を探す、地域の人と新たに出会う、セレブニュースをフォローする、雑誌を読む、チャリティに寄付する、といったことです」とChan氏はブログに書いている

このようにしてWeChatは国内外(Facebook Messengerのような欧米のアプリが先行している地域では一事例としてであるが)で重要なアプリとなっている。

本日発表されたBloombergとのインタビューで、Uberの営業部長であるEmil Michael氏は、自社が中国で非常に苛烈な競争環境に置かれていると述べた。彼は一連の出来事について、3月16日に広州、17日に北京で発生したWeChatでのUberの顧客情報紛失が発端となったことを指摘している。

そして、Bloombergは中国国内メディアの放送を引用し、TencentがUberをWeChatのポリシー違反で告発し、技術的な問題について訴えたことを報じている。しかし、実際のところはこの報道よりもずっと不穏を呈している。最終的にはどうなるのだろうか? これまでのところ、国内の(実際には世界中の)参入に関しては、成長に伴うこの初期段階での苦労を乗り越えようとしている一方で、中国の裁判所がTencentかDidiに対して、独占禁止法を根拠に活動を制限する方法を模索していくことは全くなさそうである。

結局のところ、中国政府は現状ではきわめて保護主義的な立場をとっているように見える。多くの問題を抱える中国株式市場によってさらに拍車がかかり、自国通貨安へと進んでいる。それが国際競争力の維持と減速する経済を刺激する目的であることは明らかである。

しかしここにこそ、この訴えがある意味滑稽であるとしてこの記事を書いた理由がある。そして、この事態がUberにとってこのような大事件に膨れ上がってしまった理由でもある。それはアメリカ企業が、中国政府によって統制されたプラットフォームに少し依存し過ぎているのは明らかな点だ。事実上、直接の競合先に雇われているようなものである。Uberは、とても好ましいとは言えないWeChatから締め出されるという状況に、自ら飛び込んでいるのである。

これはある意味悲惨な状況だ。Didiはアメリカのような国においてはこの種の行動を容易には許されないかもしれない。とはいえ実際は、Uberは敵地で戦いを挑んでいるのだ。

WeChatからの締め出しを受けることは、どの企業にとっても(外資系であろうが地元であろうが)だんだんと頭痛の種となっていく。ブロックされた企業は、6億以上のハイテクに精通した中国人の消費者を持つ強力なWeChatルートから恩恵を受けたいと思っている。そしてその中国人の消費者の多くは、WeChatアカウントとリンクしているクレジットカードを持っている

しかしUberが中国のDidiから市場シェアを奪うために本格的にやってみたいと思うなら、Uberの現時点の見通しや市場争奪に注ぎ込んでいる限りない資金に基づけば、Uberは本格的な展開に出るべきでないとする理由は私には見当たらない。Uberは、地元の消費者への強大なゲートウェイを取り仕切る受け身的な競合への依存や善意の期待を必要とするようなどんな戦略からも、明らかに遠ざからなければならないだろう。

その競合が中国のように上手く交渉を進め勝ち取るのは外国のハイテク企業とっては難しいことで、各海外企業にとって現地の対応策となっている場合は特にだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
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