日本から海外、海外から日本を目指すスタートアップを日々追っかけているが、ルーマニアから日本市場を目指そうとするチームは珍しい存在だ。
ルーマニア発の Webサイト CRO(コンバージョンレート最適化)ツール「Maketizator」は、この10月にも日本市場への上陸を目指している。近日中にも日本語版をローンチし、日本のローカルパートナーと戦略的提携、さらには、日本の大企業をファーストクライアントに迎えるというストーリー展開になりそうだ。同社はこれまでに母国ルーマニアに加え、ポーランド、ドイツ、オーストリア、フランス、ブルガリア、セルビアに進出し、各国語版をローンチ。次に目指すのがアジア、その皮切りが日本市場ということになる。
先ごろ、Marketizator の CEO Valentin Radu 氏が東京を訪問していたので、話を聞くことができた。
我々のクライアントは EC サイトだけでなく、ニュースの出版サイト、ソフトウェア企業などさまざまです。一度 Webサイトに来てくれたユーザに、頻繁に訪れてもらうためにはどうすればよいのかを調査できるのです。
Web サイトのスクリプトを1行入れるだけで、どうやってサイトに辿り着いたかをPOP画面で質問できたり、Eコマースなら売上を伸ばす上で何が障害になっているかを分析できたり、エディタを使ってレイアウトを変更し A/B テストしたりできます。
Marketizator は、Web サイトの訪問が1万件までは無料で利用できるフリーミアム・サービス。現在ルーマニアの首都ブカレストのオフィスに16人のメンバーが居るが、ブートストラップ・モードで経営しており、既にビジネスは黒字化しているのだそうだ。今後は特に、日本のほか、インドネシア・韓国・中国などアジア市場への展開を視野に入れており、この観点からアジア進出を支援してくれる投資家からの資金の受け入れを検討しているのだそうだ。
この分野には Optimizely、VWO などいくつかの競合が存在するが、総じて Marketizator への評価は高く、サービス評価サイト G2Crowd が2015年2月に行った調査では、投票者100人に対して95人が Marketizator に票を入れたのだそうだ。果たして東ヨーロッパで生まれた CRO ツールは日本の Web デベロッパ・コミュニティでも受け入れられるだろうか。今後の動向に注目したい。
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