資産運用アドバイスのウェルスナビがグリーベンチャーズほか6社から約6億円を調達

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2015.10.27

WealthNavi_-_世界水準の資産運用とリスク管理をすべての人に

個人資産の運用アドバイスをオンラインで提供する「WealthNavi」を運営するウェルスナビは10月27日、総額約6億円の資金調達を合意したと発表した。第三者割当による増資で、引受先はグリーベンチャーズ、インフィニティ・ベンチャーズ、SMBCキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル及びDBJキャピタル。この増資に伴い、グリーベンチャーズの天野雄介氏が社外取締役に就任している。調達資金で同社は年明け1月に予定しているサービスリリースに向けた人員強化に努めるとしている。

WealthNaviは国内の30代から40代といった現役世代の富裕層を対象にした資産運用サービスを提供するもの。顧客が設定するリスク許容度に合わせた投資先ポートフォリオを推薦し資金を運用する。現時点では投資アドバイスのみの提供だが、金融庁への金融証券取引業の登録が完了すれば、スマートデバイス等を使ってこのサービス内で金融商品を購入することが可能となる。

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資料提供:ウェルスナビ

預かり資金の1%をウェルスナビ側に支払う代わりに手数料は取らない低コストモデルが特徴。同社代表取締役の柴山和久氏によれば、今後のユーザー獲得チャネルとして大手金融機関等にこのサービスのホワイトレーベルを提供することも視野に入れているという。

元財務省官僚が開発した「新たな金融インフラ」

国内にも本格的なFinTech(フィンテック/金融テクノロジー)が現れつつある。先行する米国ではwealth frontやBetterment、Acornsといったオンライン投資プラットフォーム、Personal CapitalやSIGFIGといった金融助言サービスなどが事例としてあるそうだ。国内でも金融アドバイスメディア「ZUU」が先月4.5億円の調達に成功している。

柴山氏の話では、国内の資産運用市場の大多数は60代以上の高齢層がターゲットであり、大手金融機関はここを中心に営業をかけざるを得ないという状況があるのだという。確かに私もウェルスナビのターゲットとする層だが、金融商品についてはそこまで積極的な行動はとっていない。営業する側も日中忙しく働いてる層を獲得するのは困難だろう。

こういった層に対して基本的な知識だけで可能な資産運用をオンラインで提供しようというのが彼らのアプローチになる。

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ウェルスナビはこのようなぽっかりと空いたエア・ポケットのようなゾーンに15兆円から18兆円の運用可能な資産が眠っていると試算し、4年後に2%のシェア獲得を目指すということだった。

柴山氏は東京大学を卒業後、日本と英国の財務省にて9年間予算や税制、金融など幅広い仕組みづくりに携わった経験を持つ。退職後はマッキンゼーにて勤務し機関投資家のサポートやリスク管理、資産運用プロジェクトを手がけた。ウェルスナビは2015年4月に創業している。

「旧大蔵省時代は不良債権処理や査察、現在話題になっているTPPの前身となる交渉などにも参加していました。その後、最低限のフランス語だけ覚えて渡仏し、INSEAD(ビジネススクール)に入って金融工学などについて学びました。周囲の多くはお城で毎晩パーティーしてるような状況でしたが、私は必死に勉強してましたね(笑。マッキンゼー時代は多国籍でしたね。上司はトルコの方で部下はアメリカ人、といった具合ですから、共有するコンテキストが違う中で自分のバリューを証明する必要がありました」(柴山氏)。

柴山氏の取材で印象的だったのが、まるで電車に乗るように誰でも使えるインフラのような金融サービスを作りたい、という考え方だ。

資産運用は高度な知識を求められるし、当然資金がなければ運用はできない。それでもこの現役世代がしっかりと次の時代を見据えて資産運用を考えないといけない時期にきている、というのは私も多いに共感する部分だった。成長経済に乗ったオフェンスに対して、資産運用やリスク管理は人生におけるディフェンスとなる。ここを個人の知識ではなく、テクノロジーで解決するのがフィンテックの本質なのかもしれない。

金融テクノロジー、サービスというのは経済が発展した市場でなければニーズが高まらない。米国や英国で先行する運用サービスが国内でどのような発展を見せるのか。ユーザーの反応も含めて大変興味深い分野だ。

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