56の疾患をまたいで500人を超える名医が検索できる「クリンタル」、受診先提案サービスの提供も

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名医検索サイト「Clintal(クリンタル)」

新しく病院にかかる時、先生をどう探せば良いのかわからず、友人など周囲の人に訪ねてみるという人が多いのではないでしょうか。情報を検索しても上位に出てくるのはまとめ系サイトなどが多く、信ぴょう性が定かではない。また、医師や病院にまつわる情報は圧倒的に少ないのが現状です。残念ながら、美味しいレストランを検索するのと同じようにはいきません。

名医検索サイト「クリンタル」

そんな現状を変えようと2015年5月に創業したのが、最適な医師が見つかる“名医検索”サイト「Clintal(クリンタル)」です。2015年10月末時点で、56の疾患をまたいで500人を超える名医の情報が掲載されています。11月には、検索サービスに加えて、医師による受診先提案サービスも開始しました。

クリンタルが対象とする疾患は、「医療の質に差が出やすい病気」。医療の質に差が出やすいというのは、手術が必要だったり、難病で診られる先生が限られるようなもの。差が出にくい病気は、高血圧や糖尿病などガイドラインがしっかりしているため、専門医の先生が診れば治療のクオリティーが保たれるもの。クリンタルでは、医師によって医療の質に差が出やすい疾患治療法を対象にしています。

名医の選定プロセスは3つのステップで行われます。まずは、専門医の資格の有無や学会でのポジションなど第三者機関によって認められた功績などによるスクリーニング。次に、診療科の専門医数名による医師の業界内での評判や評価などが反映されます。専門医の知見に頼ることで、例えば、もう臨床はやっていない先生や論文が多い先生など治療を専門としない医師が除外されます。

「最後に、残った先生たちについて、その手術数や論文数などを詳細に調べて定量的にスクリーニングにします。定性的なデータと客観的データの両方を組み合わせて選定することで、名医を選び抜いています」(CEOの杉田玲夢さん)

データベースの信頼感と紹介までのスピード

クリンタルの競合にあたるのは、各種セカンドオピニオン系のサービスです。クリンタルと他社サービスとの最大の違いは、医師を紹介するまでの期間が短いこと。競合各社では、医師を紹介するまでに早くても2ヶ月、長ければ4ヶ月かかることも珍しくないそう。

「病気にも寄りますが、例えば、癌の患者さんなど4ヶ月も待てない方もいらっしゃいます。クリンタルでは、1週間以内に最適な医師を提案することを目指しています。かかるべき名医と、なぜその先生がいいのかの理由もお伝えします」

また、名医の情報がオープンであることもポイント。既存サービスには、医師の評価がブラックボックス状態で、なぜ特定の医師がいいのかの理由が不明瞭なものも。クリンタルでは名医の選定方法を公開し、また知りたければ、同じ疾患を治療できるその他の名医についても検索サイトで見ることができます。

医師の選定においては、患者の状態や病院への物理的距離も加味されるとのこと。名医の手術を受けるために遠方に出向くことはあっても、週一の経過観察のために通い続けることは現実的ではないかもしれない。また、車椅子や家族の付き添いが必要な状態かどうかなど、医師が患者の状況を理解した上で最適な名医を教えてくれます。

長年感じていた課題と両親の病気がきっかけに創業

クリンタル代表取締役の杉田玲夢さん
クリンタル代表取締役の杉田玲夢さん

眼科医として病院で働くなかで病院の改善について考えるようになり、ヘルスケア業界の課題に広く関心を持っていたという杉田さん。その後、デューク大学のビジネススクールでMBAを取得し、帰国後はボストンコンサルティンググループで病院経営コンサルノティングをしていました。

経営改善のために病院にアドバイスしていたのが、地域でも圧倒的に強い診療科を作ること。そのためには有名な先生や名医に来てもらう必要があり、そのためには患者の数が豊富である必要がある。患者に動いてもらうためには、医療や医師の質を見える化することだと、アメリカなどで普及しているセカンドオピニオンのサービスに着目しました。

「医療業界の課題について考えている最中、両親が網膜剥離と帯状疱疹をわずらい、病院探しにすごく苦労しました。一般の患者さんは尚更大変だろうなと思ったんです。周囲からも、両親が病気にかかっていい医師を知らないかと聞かれることが増えて、クリンタルが一つのソリューションになるのではないかと考えました」

適切な医師による早期治療は、結果として治療期間の短縮に繋がり、医療コストの低下にも貢献します。本気で名医を探す患者に少しでも多くクリンタルを使ってもらうために、健康保険や生命保険などと組むようなことも検討しているとのこと。また今後1年で、現在は首都圏が中心の名医を全国的に網羅していく予定です。

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