フランスのRoboCARE「高齢者の健康維持、フランス人の英語教育にロボットが役立つはず」

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Above: RoboCARE wants to put Milo in nursing homes and schools. Image Credit: RoboCARE
上:老人ホームや学校にMiloを置きたいとRoboCAREは考えている
Image Credit: RoboCARE

フランス、トゥールーズ発―ロボットはまだ感情を感じることはできないが、あるフランスの会社は、医療や教育などのエリアで人と人のつながりを向上させるのにロボットは役立つと信じている。

トゥールーズに拠点を置く企業RoboCARE Labは、国中の老人ホームや学校にロボットを配置するという意欲的なキャンペーンをローンチした。同社の願いは、これらのロボットが、高齢者の記憶を刺激し長期にわたる健康改善や高齢者のやる気を起こさせる助けとなると同時に、高齢者が家族と連絡をより緊密に保つのに役立つことである。

効果的に英語を教えることに苦労することのあるフランスの学校においては、ロボットが教師をサポートし、また生徒のやる気アップにもつながるだろう。自閉症の子供たちが社会的技能や共感を学ぶことをロボットが支援するカリキュラムを開発するという計画もある。

当然、画期的な取り組みには時に異論がはさまれるフランスのような国において、同社のファウンダーは注意を払いながら事業を進めている。しかし長い目で見れば、この新しいテクノロジーは、フランスに、最終的には世界にプラスの効果をもたらす可能性があると彼らは信じている。

「これは、お年寄りにも若い人たちにも活用される使い方が可能なものだと考えています」Dominique Blasco氏と共にRoboCAREを設立したFaissal Houhou氏はそう述べた。「また、フランスはこのようなものを受け入れることのできる段階にあると考えています」

ファウンダーの二人は、会社の今後の計画について話し合うために、ロボットと共に様々な場所をまわっていたので、フランスのメディアから絶大な注目を集めたのは確かだ。

今のところ、RoboCAREは2種類のロボットを使っている。1台目はMiloと呼ばれ、テキサスを拠点とするRoboKindによって開発された。Miloの顔は話す時には生き生きとした表情になり、意思疎通をはかる時には小さなジェスチャーや動きをする。

Posted by Robocare Lab on 2015年9月20日

Miloは、老人ホームに住むお年寄りたちが、様々な会に積極的に参加し続けるようにすることを目的に、記憶クイズなどのグループゲームやグループエクササイズ、歌の活動などをリードするために使われている。

RoboKindの最高責任者Fred Margolin氏曰く、RoboKindはここ数年間Miloに取り組んでいるという。これまでの過程で、同社は元々開発するのに3万5000ドルかかっていたロボットを、そのコストを6000ドルまで抑えることができ、より幅広く普及する必要のある業界にとってより購入しやすくなった。

アメリカでは、RoboKindは、Robots4Autismと呼ばれるプログラムを介して自閉症の子供たちが使用するロボットの開発に焦点を当てていた。同氏はRoboCAREがそのカリキュラムのフランス語版を作成することを望んでいる。そのカリキュラムは、内容とレッスンにおいて大規模なものだ。

RoboKindはアメリカの老人ホームにMiloを送り込む方法がないか模索しており、Margolin氏が言うには、ロボットは初期の認知症の進行を遅らせることに有効かもしれないという。彼は、フランスでRoboCAREはより広い国際マーケットに続く道を築くであろうと楽観視しており、これまでの進捗にも満足している。

「RoboCAREはまさに始まったばかりですよ」とMargolin氏は言う。

Miloは来年から、英語の授業の助けをするためフランスのピカルディにある学校でも利用される予定だ。教師を見つけること、とりわけ小学校のレベルで、英語を効果的に教える資格と能力がある教師を見つけるのは時に難しいとHouhou氏は言う。彼は、教育者がMiloを新たな教育ツールとして受け入れてくれることを望んでいる。

これとは別にRoboCAREが利用しているロボットが、Suitable Technologiesのテレプレゼンスマシンだ。これもまた、トゥールーズ地域にある2つの老人ホームでテストが行われている。

このロボットは、車輪付きのスタンドに乗せられているコンピュータモニターだ。定期的に訪問する余裕のない家族がオンライン上でこのロボットを利用する時間を予約すれば、このロボットを自分のコンピュータを介して制御することができる。

このシステムは、基本的なSkypeビデオチャットや通話において大いに役立つものだとHouhou氏は述べた。実際、ロボットが入居者の後をついて回ることによって、電話ややり取りがより長くなることにつながることも多いのだ。また、多くの場合、入居者は長時間コンピュータを使ったり、電話を持つことができない。

より重要な点は、Miloにしろテレプレゼンスロボットにしろ、ロボットによって人間が近くにいるという感覚がより高まるということだとHouhou氏は述べた。

「このロボットは存在です。あなたはそこにいませんが、本物の人間のように感じるのです」とHouhou氏は語った。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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