東京とシリコンバレーを拠点とする、クラウド自動化プラットフォームの Mobingi は、500 Startups から12.5万ドルを資金調達したと発表した。あわせて、10月13日から開始された 500 Startups のアクセラレーション・バッチ第15期に参加していることが明らかになった。
Mobingi は AWS(Amazon Web Services)に代表されるクラウドサービスの、運用やメンテナンス作業(いわゆる DevOps)を自動化するプラットフォーム。運用に特化したエンジニアを配置確保しにくい中小企業を対象に展開し、エンジニアらが開発作業などに注力しやすい環境を提供する。
Mobingi CEO の Wayland Zhang(張卓)氏によれば、将来的には AWS 以外にも Microsoft Azure、Softlayer、Google Cloud Platform などのクラウド環境にも対応させるが、当面は AWS に特化し、AWS のユーザコミュニティなどを通じてサービスの浸透を図っていくとのことだ。これまでに、Mobingi は、ヤマダ電機、デジタルガレージ、大学出版センター、CMS 導入コンサルティングのデジタルキューブ、ゲーム開発の G&D など有名企業にも導入実績がある。
Mobingi は、Open Network Lab 第9期から輩出されたスタートアップ。昨年10月に Slush Asia 東京予選に出場した後、今年1月デジタルガレージから200万円のシードラウンド調達に成功している。サービスの開発を進める上でさらなる資金調達を模索していたが、クラウドや SaaS 分野への調達が日本国内では難しいとの判断から、アメリカでの資金調達を決意し Mobingi Inc. を設立した。開発チームの多くは東京のオフィスを拠点に活動している。
Mobingi を構成するメンバーの顔ぶれも豪華だ。CEO の Wayland Zhang はトロント大学を卒業後、カナダ最大のオンライン広告プラットフォーム Clicksor.com に入社。その後、シリアルアントレプレナーに転身し、北京などで複数回の起業を経験している。元 gumi CTO で AWS のエバンジェリストとして知られる堀内康弘氏は、これまで Mobingi のアドバイザーを務めていたが、今回の資金調達とあわせ取締役に就任した。cloudpack のサービスで知られる AWS 導入企業アイレット出身の吉田真吾氏も、シニアアドバイザーとして Mobingi のチームに加わった。
Mobingi の技術チームの説明によれば、Mobingi の機能を特に特徴づけるのは、データベースのクラスタリングの機能なのだそうだ。ウェブアプリのロードバランシングは、クラウドサービスでも比較的に簡単に実装できる一方、データベースのクラスタリングは導入や設定の手順に手間と時間がかかる。Mobingi によってこの作業がかなり簡略化され、エンジニアはサービスの耐障害性やパフォーマンスを確保しやすくなる。
Mobingi では企業向けの Mobingi 以外に、サービスのマーケティングを意図して、個人デベロッパ向けのフリーミアムな PaaS(platform as a service)として、moCloud も展開している。
The AWS Japan Mafia
このところ、AWS Japan 出身のエバンジェリストや技術者による、起業やスタートアップへの転身が目立つ。この機会に、Mobingi をはじめとする、AWS Japan 出身者の去就を以下に簡単にまとめてみた。
情報に協力いただいた堀内氏によれば、クラウド関連のスタートアップに転職したり、大企業内でクラウド関連の部署に転籍したりするなど、クラウド関連人材のエコシステムが回り始めていると言えるのではないか、とのことだ。
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