国内でも注目集まるHR(ヒューマンリソース)テック「市場成長の理由」を解説します【TBウェビナー】

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Image Credit : A Second City rose from the ashes of the first – Chicago. / 15609463@N03 on Flickr

THE BRIDGEウェビナーはニュースや新しいトレンドを詳しく解説するウェブセミナーです。

定期的にお送りしているエンタープライズ(主にB2B)向けオンラインビジネスの調達ニュースから、特に注目したいビジネスについてその状況などを掘り下げます。今回は国内でもプレーヤーが出現しつつあるHR(ヒューマンリソース)テクノロジー分野の基礎知識について本誌ブロガーでアーキタイプ所属の鈴木大貴さんに解説頂きます。

聞き手の平野
前回に引き続き、エンタープライズ方面の解説はインキュベーションを手がけるアーキタイプ所属、ビジネス系の若手ブロガーとしても活動されている鈴木大貴さんです。
鈴木大貴さん
こんにちは。よろしくお願いします。
聞き手の平野
今回はHR領域ですね。最近では私もビズリーチのスタンバイ・カンパニーやキメラの動きなどをチェックしてますが、国内でも話題が増えてきた印象ありますね。
鈴木大貴さん
そうですね。日頃から海外B2Bスタートアップの資金調達ニュースを眺めてますが、特にここ1年の間、HR領域で調達するスタートアップの数が非常に多いです。ざっとバリューチェーンで俯瞰するとこういうプレーヤーが活躍しています。

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聞き手の平野
市場が動いてる要因はどこにあるとみてますか?
鈴木大貴さん
要因は大きく3つに分かれます。まずはマーケットの環境に変化があったとき、次にベンチマークすべき急成長プレイヤーが出た時、最後は別領域のメソッドや新技術との掛けあわせにより課題の解決手段が増えてきたときです。
聞き手の平野
なるほど。

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鈴木大貴さん
まず環境変化からです。様々なメディアで語られる通りシリコンバレーではここ数年、人材、特にエンジニアの採用競争が激化しており人材採用・戦力化の重要性が年々増しています。そのためエンジニア採用に特化したHackerRankのような求人プラットフォームや、採用候補者が本当にスキルを持っているのかテストするInterviewed、採用した人材を如何に定着させるかを支援するCulture Ampといったプレイヤーが出てきてるんですね。
聞き手の平野
リファラル採用で伸びてきたJobviteもありますね。国内ではWantedlyですかね。
鈴木大貴さん
シェアリングエコノミーやオンデマンド系スタートアップの勃興によって、選考中人材のバックグラウンドチェックを行うCheckrやOnfidoのように、急成長スタートアップにとって多大な工数の掛かる採用業務を如何に効率化するかという観点のサービスも成長してきてます。
聞き手の平野
金鉱周辺でつるはしを売るタイプですね。
鈴木大貴さん
グローバル人材やフリーランサーの登用等、ネットの利便性が上がったことでリモートワークをはじめ多用なワークスタイルを労働者や企業が選択できるようになっています。そのためフリーランサーをマネジメントできるWorkmarketやグローバル拠点の立ち上げ支援を行うMoveGuidesなどもこのタイプですね。

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聞き手の平野
次の市場成長要因は急成長プレーヤーの出現ですか。

鈴木大貴さん
創業2年で40億ドル評価まで上り詰めたZenefitsはHR領域の超急成長SaaSスタートアップとしてよく知られています。中小企業が必要な給与や保険の管理を無料でできるSaaSを提供し保険会社からの成果報酬でマネタイズしているモデルですね。

聞き手の平野
爆伸びですね。
鈴木大貴さん
累計6,000万ドルを調達し直近半年で導入社数が倍増しているというGreenhouseも急成長HRTechスタートアップとして知られています。採用ページの作成、候補者のトラッキング、面接スケジュール管理といわゆるATS領域のサービスを提供しており、PinterestやSlackなどもサービスを利用してる注目株です。
聞き手の平野
こういうわかりやすいプレーヤー出てくると世界的にもコピーキャットが出てきたりして市場の盛り上がりにつながりますよね。

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鈴木大貴さん
最後の市場成長要因は課題解決の手法が多様化です。例えばSlackは開発現場におけるリアルタイムコミュニケーション手段を提供することで一気に成長していますよね。
聞き手の平野
もうこれなしでは仕事考えられないぐらい使ってます。
鈴木大貴さん
HRにおける即時性という観点では普段使うメールや情報共有ツールと連携し、部下や同僚の評価を入力できるRelektiveが直近で資金調達を実施しているんです。
聞き手の平野
リアルタイムコミュニケーションって気持ちいいんですよね。さっさと用事が終わるから。それをHR領域に持ち込んだんですね。
鈴木大貴さん
ビッグデータの活用も進んでいます。求職者側の経歴・希望と企業の募集条件を言語解析しマッチング精度を高めるjobandtalentや、大量のデータから予測分析をかけ候補者の採用後のパフォーマンスを予想するHireVue、財務と職場環境のデータを集約・分析することで最適な人員計画が立案できるVISIERがそれです。
聞き手の平野
では大貴さん、国内では今後どのような動きが予想されるでしょうか?
鈴木大貴さん
まずこのフリップをごらんください。

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聞き手の平野
ずっと言われ続けてきた現役世代の減少ですね。10年後でこんな数字になってるんですか。
鈴木大貴さん
将来の時間軸で考えると特に日本においては、労働人口の減少が喫緊の課題となってくるはずなのです。フリップの通り、リクルートワークス研究所のレポートによると2025年の労働人口をシミュレーションした結果、シナリオによっては2015年と比べ557万人の減少が予想されています。
聞き手の平野
ここを狙ってる事業者は多そうです。
鈴木大貴さん
企業で働く現状の環境が大きく変わっている可能性が高く、解決すべき大きな課題が間違いなく山積しているはずなんですね。前述した通り、チャンスは市場の変化にあります。
聞き手の平野
具体的にはどこがポイントになりそうですか?
鈴木大貴さん
大手企業を中心とした新卒一括採用文化、USと比較すると流動性の低い労働市場、IndeedやMonster、CareerBuilderといったオープンな採用プラットフォームが少ないこともあり、ATSはじめUSで流行りのサービスをそのままタイムマシンで持ってくるだけではマーケットのフィットに時間がかかるのではと予想しています。
聞き手の平野
海外事例を横目で見つつ、日本の文化・商慣習に合うサービスを出せるか、というところですね。
鈴木大貴さん
働く、というのは社会人であれば誰でも直面する問題です。働く側、雇う側、双方のマッチングや労働環境がよくなるサービスがたくさん日本でも出てくるといいなと思います。
聞き手の平野
解説どうもありがとうございました。今後も地味ですがB2B領域の読み解き続けたいと思います。

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