
<ピックアップ>5 things U.S. techies need to know about Japan’s social media ecosystem
LINEやFacebook、Twitter…日本でもソーシャルメディアが多くの日本人に日々利用されているが、その使われ方や業界のトレンドは欧米から見ると不思議でユニークな点が多々あるようだ。
東京に拠点を置くコンサルティング企業APEXでテック業界チームのファウンダーを務めるKen Charles氏は、VentureBeatへの投稿で日本のソーシャルメディアを取り巻く状況について5つの特徴を挙げている。以下に、その内容を抄訳で紹介したい。
1. LINEは「日本版Facebook(そしてUber、Apple Payでもある)」
日本の全人口の約4割が毎月使用しているLINEが業界を率いていることは異論の余地がない。LINEが優位にある理由の一つに、スマートフォンの通話やSMSに課金する日本の既存の通信会社のサービス形態に対して、LINEは無料通話を提供している点が挙げられる。
また、通常のメッセージング機能に加えて、スティッカー(高解像度でテーマ性の高いEmojiのこと)を数多く出している。アプリ自体は無料だが、アプリ内でスティッカーを購入することができ、LINEの収益の柱になっている。今年のスタンプ事業の収益の見込みは8億ドルを超える。Apple Payのようなサービス、Spotifyの競合サービス、Uberのようなタクシー機能も最近追加された。
2. Facebookは「日本版LinkedIn」
10代、20代、そして海外在住者・旅行者の日本人を中心に、全人口の17パーセントがFacebookを利用している。しかし、日本におけるFacebookは、欧米人が慣れ親しんでいるFacebookとは違う。その原因の大部分は、公共の場における自慢のようにみえる表現を批判する日本文化にある。さらに、実名アカウントにするべきというFacebookの主張によって、日本人は個人的な意見をソーシャルネットワーク上で表現することを避けている。
その結果、日本人はFacebookをプロフェッショナルな表現の場として使う傾向にある。LinkedInのように仕事の実績やビジネス上のつながりを示す場として。そのため欧米人が、ビジネスシーンの洋服に身を包んだ写真をプロフィールに貼っている若い日本人ユーザーからランダムに友達申請を受け取ることも珍しくない。彼らは友情自体を求めているのではなく、人脈を広げたいと思っている。
LinkedInに関しては、日本に関しては残念な情報がある。
3. LinkedInはローカル企業に太刀打ちできていない
LinkedInは、現在日本で136万人の登録ユーザーを持つ。そのうち25パーセントがアクティブだと仮定すると、全人口の1パーセントにも満たない。なぜ日本でLinkedInは成功できず、一方で、中国では比較的うまくいっているのか。それは、ローンチ時のつまづきによるものが大きい。LinkedInは日本向けローカリゼーションに2-3年もかかった。現在でも、サービス内メッセージの送信で、ユーザーは相手の名字のあとに敬称「さん」を付けることができない。これは、特にビジネス上、文化的に非常に失礼な呼び方だ。同時に、ビジネス向けソーシャルネットワークの市場においては、競合が積極的に攻めている。日本のBizreachは400名の従業員がおり、Wantedlyは50名いる。LinkedInのスタッフは約10名だ。
4. Twitterの成功は提携のおかげ
月間アクティブユーザーが2600万人(全人口の20パーセント)のTwitterは、日本でもっとも成功している欧米のソーシャルネットワークだ。だが、これは地元の競合Mixiとの数年にわたる苦闘の末に到達したものだ。この競争関係に転機が訪れたのは、Twitterが伊藤穰一のデジタルガレージと提携したときだ。デジタルガレージは何年にもわたって、日本でTwitterのオペレーションをしている。
シリコンバレーにとっての大きな教訓は、企業は欧米ではごく普通のバイラルなグロースのようなものを日本で得られると期待するのではなく、提携にエネルギーを注ぐべきだということだ。日本では「グロースハッキング」というのは、プロダクトをバイラルにすることではない。日本におけるそれは従来の形の事業開発と提携であり、契約を結ぶためにはビールとカラオケが必要になることも多い。別の例を挙げれば、モバイルゲーム企業のGREEも、通信キャリアと提携し、そのサイトにGREEのプロダクトを載せることができたあとに、すさまじいグロースを遂げたのだ。
5. ソーシャルネットワークの人気はアップダウンする
Twitterが地元の競合Mixiとの戦いで苦戦したことを書いたが、Mixiには皮肉な結末が訪れている。日本をかつて制覇したものの、Mixiはモバイル戦略で模索しているあいだに、FacebookとLINEにあっという間に追い抜かれてしまった。ソーシャルネットワークとしてのMixiは、かろうじて存在しているだけだ。だが、ゲームデベロッパーとしての勢いは増している。
ソーシャルネットワークの人気の上昇と下降は、日本の消費者市場に広く通じるものだ。強く流行に左右され、気まぐれなことが多く、ある月にあるプロダクトを賞賛していたと思ったら、翌月には急に拒絶するというものだ。そのため、企業の多くは常に変化に対応できるようにしていないと、維持する力を保つのが難しい。
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全文はこちらからご覧いただける。
via. VentureBeat
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