Famo.usの失敗から学ぶべきことーーリーンスタートアップも失敗し得る中、本当に重要なこととは?

by VentureBeat ゲストライター VentureBeat ゲストライター on 2015.12.24

Edith Harbaugh氏はLaunchDarklyの共同設立者兼CEO。彼女は、ソフトウェア業界に消費者・企業スタートアップの両側面から15年以上も関わってきた。彼女は継続デリバリーに関するポッドキャスト「To Be Continuous」の共同ホストである。彼女は2つのデプロイメント特許を保有している。

Above: Famo.us founder and chief executive Steve Newcomb at the startup's San Francisco office. Image Credit: Jordan Novet/VentureBeat
上:Famo.usのファウンダー兼CEOのSteve Newcomb氏(サンフランシスコのオフィスにて)
Image Credit: Jordan Novet/VentureBeat

昨年2500万米ドルを調達したFamo.usは、総資金調達額が3000万米ドル超となった。直近の資金調達はその15ヶ月後となるが、ここで同社は「技術担当VPやオープンソース担当責任者および多数のエンジニアを含む巨大なチームを一時解雇」し、3度にわたり方針転換を行った。Famo.usは、人々のランキングシステムBenchRankとしてスタート、その後HTML5開発用のオープンソースプラットフォームとなっている。

さらに、両アイデアを打ち出した後、独自スタイルの「マイクロアプリコンテンツ管理」システムへとピボットした。Famo.usの設立者兼CEOのSteve Newcomb氏がリーンアプローチをけなしていたのは有名な話だ。「リーンスタイルのスタートアップなんて、私は信用しません。」彼はそう宣言しつつ、その証拠にTechCrunchの記者が同社を視察している最中、自身の完璧主義に沿わないデスクを送り返してしまった。

大方の予想通り、Famo.usが失敗したのは浪費癖のあるスタートアップだったからだろうか? いや、違う。Famo.usは実質的に、活動面においてリーン側だったかもしれない。いずれにせよ、同社は2度も再生した上、さらにもう一度再生するほどの資金をもっている。

リーンスタートアップが飢餓状態にあり、コスト意識が高く、何事につけても金を出し渋る、というのは誤解である。全くの間違いだ。リーンスタートアップとは、「ビジネスモデルを追求する企業」のことであり、試行錯誤を繰り返しながら成長し、いったん製品と市場がマッチしたら一気に資金投入へと加速していくのだ。

リーンスタートアップは、当初のビジョンは改善されていくべきということを受け入れる謙虚な姿勢をもっている。弊社TripItメンターのGregg Brockway氏は、「いかなる戦術も、初めて眼前に現れた敵には無力です」と述べている。

何をすべきか知っているのは消費者であり、そしてチェックポイントを満たすまでは無駄(製品、マーケティング、オフィス、人件費など)を最小限にしたいということを熟知してこそのリーンだ。スタートアップをリーンかファットに分けるものは資金調達額などではなく、ビジネスアプローチなのだ。

リーンスタートアップの原則には、イテレーション、カスタマーバリデーション、重要なものに投資すること、必要であればピボットすることなどさまざまなものがあるが、Famo.usはこれらの原則を順守していた。

始動当初のアイデアから方向転換する必要性を認識したのだ。次なるアイデアとは、「美しいアプリ」を作り上げることだった。そして、そのためには、従業員をインスパイアするような美しいオフィスが必要だった。Steve Blank氏も賛同するだろう!

Famo.usはカスタマーバリデーションに重点的に取り組みつつ、アクセス版のウェイティングリストに5万7000人もの開発者が登録していると吹聴した。しかし、これは意味のない指標だということが明らかになった。

実質的なユーザ数を反映するものではないからだ。Famo.usはプロダクトの準備が間に合わなくなることを恐れて、ウェイティングリストの人々が実際にプロダクトを使えるように承認する過程を遅らせていた。どんなプロダクトについても言えることだが、最大のリスクは出来栄えではなく、顧客の真のニーズに合うかどうかだ。もっと迅速にウェイティングリストから移行させれば、Famo.usはプロダクトが真のニーズを満たしているかどうか確かめることができたのだ。

スタートアップの立ち上げ初期に重要なのは、人間だ。そこにいる人々が幸せで、モチベーションをもっていて、生産的かということだ。Steve Blank氏はかつて、エンジニアのソフトドリンク代を削減するという誤った節約法についてエッセイを書いたが、その中で彼は企業の中で最も価値ある資産は従業員であると説いている。

John Kodumal氏(弊社共同設立者)と私がLaunchDarklyを開業した当時、資金は運転資本に回してしまい、貯金を切り崩して人件費を捻出していた。

John氏は前職で使っていたようなセカンドモニターを買いたかったのだが、500米ドルを払うのをためらっていた。私は言った。「500米ドルの一番有効な使い道は、君がもっと生産的になれるようにすることだよ」と。

Famo.usは、オフィススペースと役職手当に資金を使いすぎたように思われるかもしれないが、おそらく、その出費は欲しい人材を手に入れるために必要なものだったのだ。

意外にも、資金調達額が上がるほど直面する問題は増えてくる。Boundary(調達額4000万米ドル)の共同設立者Cliff Moon氏は次のように語っている。

「話がうまければ、それほど魅力がなくても驚くほどの額を調達できますが、いずれ職務遂行を求められるのですから、ハードルが余計に高くなるでしょう」

Heavybitの専務Tom Drummond氏は、「キャピタルというものには、投資家に対して成長目標の達成を約束しなさい、という圧力がつきものです。金額が高すぎると、スタートアップは自信過剰になり、過剰にモノを作る結果になります」と述べている。

Moon氏は、現在Opseeの共同設立者兼CEOとなっており、次のように語っている。

「前回のスタートアップでは、プロダクトローンチ前に400万米ドルを調達しましたが、今回は顧客開発とバリデーションに重点を置くため、計画的に調達額を減らしました」

さらに、過剰に高額な調達のリスクについて、「プロダクト・マーケットフィットができたと証明する前に、顧客獲得のために資金を使い始めるのは簡単なことです」と付け加えた。

リーンであることは、投資家をもつ企業にとって打撃となるだろうか? 必ずしもそうではない。500 StartupsのパートナーであるMatt Guthaus氏はこう言う。

「リーンとは、既存の強いビジョンを中心に最適化する良い方法です。」そしてBloomberg Betaのパートナー、James Cham氏はこう言う。「私は方法論を信奉していません。会社がリーンかどうかなんて、気にしません。私が重視するのはチーム、そして彼らの実行力です」

しかし、中には行き過ぎてリーン信奉主義者になってしまっている企業もある。

Cham氏は「リーンスタートアップアプローチは多くの場合有益なのですが、チームがリーン方法論の特定の条件について、細部に至るまで気にしすぎていたり、ただ進捗を作ることよりも、事業上の進捗についてどのように語るべきかということに執着して時間を費やしすぎてしまうことを懸念しています」と述べている。Guthaus氏も同様、「ただやみくもに反復だけしているような、いわゆるリーン企業は好きになれません」と語る。

おそらくこれが、Famo.usから学べる最大の教訓だ。同社のピボットは、完全な再起と言えるほどの方向転換ではなかった。

結局、スタートアップ企業はどうしたらよいのか? ビジョンを持つことだ。そして、ビジョンの妥当性を検証しよう。必要なだけの資金を調達しよう(多すぎず、少なすぎないように)。顧客を得よう。簡単でしょ?

[情報開示:Bloomberg Betaおよび500 Startupsは、LaunchDarklyの投資家。LaunchDarklyはHeavybitに参加している。私はSteve Newcomb氏が設立した会社、Powersetの資金調達パーティに参加したことがある。Cliff Moon氏と会食した折、彼のTwitterは面白いと思った]

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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