ビジネスデータ分析コラボレーションの時代が到来したーー成功のために重要な3つのポイント

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Sharmila Mulligan氏はClearStory Dataの設立者兼CEOである。同社はカリフォルニア州メンローパークに拠点を置くビッグデータ分析のスタートアップだ。

Image Credit: ClearStory Data
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現在、データが作られる速度はもはや気が遠くなるほどだ。そして日に日に速度を増している。 IDCによる最新のDigital Universe研究は、2020年までに地球上の全人類一人に対して毎秒およそ1.7メガバイトの新たな情報が作成されるようになると予測している。

現在、世界にあふれる新情報のうち大部分を作り出しているのは消費者である。ソーシャルチャネル、小売POS購入、ネット上の顧客行動と選択のトラッキング、デジタル出力、携帯電話の位置情報など。しかも、IDCによるとそのうちわずか0.5%のデータだけが分析されているにすぎないという。

スタンフォード大学のSocial Data Labで教えるAndreas Weigend氏は、データのソーシャル化がもたらす社会的利益を長年唱えてきた。彼によると、前世紀がX線やレーダーのような物質の相互作用を観察する能力によって特徴づけられるならば、今世紀は作り出され、共有され、消費されるデータを通して人々を観察する能力によって定義されるだろう、という。

社会的また事業的展望の両方において、ビジネスインテリジェンスの考察および外部のデータソース(例えば米国国勢調査、顧客感情的データなど)と混ざり合った、消費者が毎分ごとに作り出す膨大な量のデータは、どんなタイプのビジネスにとっても非常に価値がある。

迅速なサイクルで行われるそれらデータの混合と調和は、企業のリーダーを成功へ導く助けになる。つまり、顧客をよりよく理解できる、対応時間が早まる、重要な点が分かりやすくなる、人々が好むものをより多く提供して嫌いなものを削減する、競合に勝つためにより速くピボットする、採用プロセスを改善する、そして健康面での成果を改善するために患者のデータをライブでモニターするような新たなイノベーションへと導いてくれる。

新たなビジネスデータ分析コラボレーションのモデルが登場

一方で、企業は今膨大な量のデータを統合し分析するスマートマシンを必要としている。最新のハーバードビジネスレビューの研究(PDF)によれば、企業のうち3分の2はすでに5から15のデータソースを統合しようと試みている。そしてエクセル文書による手動の分析をしている大多数は、もはやそのやり方では手に負えないことを理解しているという。

しかし他方では、一度その複雑なデータの統合が行われると、データ分析コラボレーションとも呼ばれる集合知に目覚ましい利益をもたらす。異なる訓練を受けた様々な専門家たちが検証したり、議論に参加できるし、対外的パートナーは共有されたデータ考察に関し協働できる。新たな解決策が、データ分析中のイテレーションを通じて、集団的な思考で検討にかけることができる。

Amazon、Google、IBM、Microsoftのような大手企業の多くは、データ分析コラボレーションとその共有がもたらす利点について検討し始めている。しかし大部分のビジネスパーソンたちはこれにどれほど価値があるのか、本当に意味するところは何なのかわからず困惑している。

消費者によるソーシャルメディア革命を引き金として、ソーシャルビジネスのコラボレーションが続いたように、今やビジネスデータ分析コラボレーションの時代が到来したのだ。本当に到来したのか? 現代のデータ分析においてコラボレーションは本当に重要なのか? だとすれば、誰の、何のために?

3つの重要なポイントーー残りは今のところ話題が盛り上がってるだけ

1. グローバルチームとコンテキスト内のコラボレーション

チームのメンバーが世界各地に散らばっている場合、同じ視覚化と画面上で仕事をし、インサイトを見る能力が求められる。なぜかといえば、主要な利害関係者は太平洋時間帯にいて、ある事業について新たなインサイトを観察しているかもしれない。一方で、他のメンバーは異なるタイムゾーンにいて、そのインサイトを何時間もあとにレビューするかもしれない。すでに見たデータソースも、地球を一周した後には更新されているかもしれないが、グローバルチームが成功するためにはすべてのメンバーが、観察結果を見ることができるかにかかっている。

この考え方は、基本的にコンテキスト内のコラボレーションという概念である。もしそれがコンテキスト内になく、さまざまな人間がさまざまな時間帯に見たり読んだりしていて、さらに彼らが同じ質問に答えようとしている場合、まるで昔の方法に戻ったのと同然だ。つまり、eメールでダッシュボードを送り、スレッドをひたすら展開する、かなりの時間の無駄が生じうる方法である。それはあまりに時間がかかるため、企業はデータに基づいて意義ある決定を下すために効果的な措置がとれないだろう。

2. ビジネスコラボレーションのため、データスチュワード全体のワークフローを追跡する

データチームが、全体的な考察をするために使う必要のある様々なデータソースにアクセスする際、データの各々のオーナーは各データソースに接続して、そのソースから必要なものがなにかを吟味する必要がある。そしてそのデータを、グループ内で事業上の問題の解決策を見つけるために次に追加するべきデータソースが何であるかを分かっているグループの担当者に引き継ぐ。

追跡可能で高品質、そして監査可能なワークフローを目指した、データスチュワード間のコラボレーションと考えてみてほしい。コラボレーションはデータのパイプラインにおいてハンドオフ地点のような働きをする。そして最終的に、もっとも価値の高い結果を得るために的確なデータセットを統合する。

3. 360度の視野を目指す集団の力が、最高の結果をもたらす

データ考察については、企業がどう動き何を重視しているかをよく知っている重要な出資者たちが、最重要事項についての迅速な考察のために、データ分析において協働するのが最善かつ有意義である。特定分野の専門家の力を活用すれば、事業に関してリアルタイムな考察を得るために問うべき問題が何かを理解することができる。

彼らの力が合わされば、彼らはどのデータが最新の情報か、何が無意味で外れ値なのか、明らかになったデータ考察に基づいて何をするべきかを分かっているので、ビジネスにおいては非常に有意義な人材である。どの分野にしろ、事業上の良い決定が単独でなされることはない。それはチームの意見かつ決断である。ビジネスデータコラボレーションを通して得られる360度の視野は、最良かつ大成功を収める結果につながるのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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