量子コンピュータD-Waveは従来のチップより「1億倍高速」、Googleが発表

by Jordan Novet Jordan Novet on 2015.12.10

Above: The D-Wave 2X quantum computer at NASA Ames Research Lab in Mountain View, California, on December 8. Image Credit: Jordan Novet/VentureBeat
上:カリフォルニア、マウンテンビューにあるNASAエイムズ研究所のD-Wave 2X量子コンピュータ(12月8日)
Image Credit: Jordan Novet/VentureBeat

Googleは、米カリフォルニア州マウンテンビューにあるアメリカ宇宙局のエイムズ研究センターでNASAと共に稼働させている量子コンピュータ D-Wave 2Xの技術性能について、以前よりも確信を得ているようだ。

D-Waveは、量子ビットまたはキュービットを用いて動作する量子コンピューティングにもっとも近い技術だ。量子ビットは従来のビットとは違い、0か1かまたはその両方を重ねた状態をとることができる。このキュービットによって、マシンは大量の情報処理を同時に行うことができるようになるため、特定の処理においては量子コンピュータは理想的な性能を提供することができる。

2つの試験の結果、Googleの量子人工知能研究所は本日、D-Waveのマシンは従来のコンピュータチップによる量子情報処理「シミュレーテッドアニーリング」よりもかなり速く処理することができることを確認したと発表した(編集部注:原文掲載12月8日)。

Googleの技術ディレクター Hartmut Neven氏は、ブログ投稿の中でその試験の結果について次のように説明している。

1000個に近い変数の組み合わせ最適化問題を解いたところ、量子アニーリングは従来の方法を使ったシミュレーテッドアニーリングよりもはるかに機能が上回っていた。1つのコア上で動作するシミュレーテッドアニーリングに比べて1億倍以上の速度を記録した。また、この量子マシンを「量子モンテカルロ法」というまた別のアルゴリズムとも比較した。これは、量子システムの動作を真似て設計されているが、従来のプロセッサー上で動作するものだ。この二つの測定方法における規模基準は同等であるが、またしても最高で1億倍の差が生じた。

Googleは今回の結果について、論文も公開している。

少なくとも、ベンチャーキャピタルから支援を得ているD-Waveにとって、この結果はポジティブなものだ。同社は量子コンピュータをロッキード・マーティンやロスアラモス国立研究所に販売した。NASAエイムズでの本日のイベントでは、レポーターがD-Waveマシンを目にすることができたが、CEOのVern Brownell氏は今回の発見について非常に喜んでいるようだった。1億という数字が大きな印象を与えるものであることは間違いない。IT購買担当者を驚嘆させ、なぜこのテクノロジーがIntelのような従来のチップメーカーをディスラプトできるかもしれないのか語る上で、示すことができる類のものだ。

Googleは引き続き、NASAと共に量子コンピューティングへの取り組みを継続する。同時に、Googleは量子コンピューティングハードウェア研究所ももっている。その取り組みは、まだ初期段階だ。

「量子コンピュータを開発することは、本当に、本当に大変だと言えます。なので、まずはそれが稼働することに力を注ぎ、コストや規模などで悩まないようにしています」Googleのハードウェアプログラムを率いる人物であり、カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校の物理学教授であるJohn Martinis氏はこのように述べた。

このテクノロジーの商用利用はすぐには起こらないかもしれない。だが、最終的には、Googleの多くのサービスで使われている画像認識のようなもののスピードアップにつながる可能性はある。また、このツールが散乱したデータのクリーニングのような従来のものに役立つ可能性もある。Google以外のことについて言えば、量子によるスピードアップは、航空の計画、スケジューリング、管理などの発展に利用できる可能性もある、と大学宇宙研究協会の応用コンピュータ科学の研究機関のディレクターを務め、NASAエイムズでD-Waveマシンへの取り組みもしているDavid Bell氏は話した。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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