日本のVCがインドネシアのスタートアップブームを後押ししている理由〜Tech in Asia Jakarta 2015から

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インドネシアで最も有名なeコマースマーケットプレイスの1社、Tokopedia が自社の社員を「Nakama」と呼ぶのはなぜか?

Tokopedia の設立者である William Tanuwijaya 氏は日本人でもなければ日本で学んだこともない。しかし2009年、まだ Tokopedia が設立して間もない頃、そしてインドネシアのeコマース業界が黎明期でベンチャーキャピタルもほとんどいなかった頃、この Tokopedia に投資したのは日本のeコマース企業 BEENOS であった。

さらなる日本からの資金とメンターシップがサイバーエージェント・ベンチャーズとソフトバンクから送り込まれた。このことにより、Tanuwijaya 氏は Tokopedia に日本的な価値を織り込むことにした。「Nakama」はその影響である。

こういう事情は Tokopedia に限った話ではない。日本の投資家らはインドネシアのデジタルエコノミーに対する投資にいち早く着手し、以来ずっと全面的な資金投入を続けている。

Tech in Asia Jakarta 2015 では、3つのVCがこの状況を注意深く観察していた: BEENEXT(佐藤氏が BEENOS の後に設立した投資会社)の佐藤輝英氏、サイバーエージェント・ベンチャーズの Steven Venada 氏、Softbank-Indosat Fund 代表の Teddy Himler 氏の3名である。

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自然な流れ

佐藤氏(彼はTeruと呼ばれるのを好んでいる)はインドネシアにおけるジャパンマネー現象について簡潔な解答をしてくれた。

私たちにとって中国に投資するには遅すぎますし、次に来るのはインドネシアだとわかっていました。インドネシアの大きなeコマースの成長と若者世代は投資家を惹きつける明確な要素です。

数日前のAlibaba(阿里巴巴)で何が起きたかご存じでしょうか? 1日で140億米ドルの取引があったのです。では、中国の次に来るのはどこでしょう? インドかインドネシアでしょう。私たちはこのチャンスを逃してはいけないと自分たちに言い聞かせました。日本の企業はもはや成長しておらず、キャッシュフローを再配置することは自然なことです。(佐藤氏)

佐藤氏はまた、日本の投資家らは一時のテックブームに乗っているわけでなく、何十年に渡りインドネシアで活発に動いてきていることをオーディエンスに伝えた。

エネルギー、衣料、製造分野への投資などは歴史的に見ても経済的に見ても、何年にも渡り継続してきたことです。

そして投資対象がデジタル産業へと変化し、テックスタートアップへと自然に進行していったことを示唆した。

また、彼の義理の姉(もしくは妹)がインドネシア出身であることが経済的ポテンシャルを学びインドネシアに来る個人的な理由になったとも明かした。インドネシアに対しては、ある程度タイムマシン理論を応用することができたと Himler 氏は述べている。

旅行のオンライン予約やeヘイリング(配車予約サービス)など米国でうまくいったサービスは新興市場でもうまくいくはずです。(Himler氏)

そのため、投資家らは似たようなチャンスを掴むため、他でうまくいったコンセプトでも新市場向けに工夫を凝らす必要があるかもしれないことを念頭に置いて、早めに市場に参入するがそれは理に適っている。

またHimler氏は、市場を良く理解した人たちには他にもチャンスがあると次のように語っている。

インドネシア市場は解決すべき独特な問題を抱えているユニークで魅力的なマーケットです。(Himler氏)

ジャングルのコモドドラゴン

3つのVCすべてが、初期の投資対象として Tokopedia を選んでいる。なぜ彼らはeコマースマーケットプレイスモデルがインドネシアで成功すると信じているのだろうか?

Venada 氏 によると、繰り返しになるが、中国が参考事例になっているようだ。

Taobao(淘宝)が中国でうまくいき、私たちは同じようなものをインドネシアで探していました。Tokpedia には素晴らしいチームがいて、まだ草創期ではありましたがとても期待が持てました。(Venada 氏)

Tokopedia に投資する価値があることを真っ先に納得させたのは設立者たちだったと佐藤氏は語っている。しかし、彼は Tokopedia のマーケットプレイス自体も信頼していると付け加えている。

中小企業に活力を与えることで、社会が繁栄します。同社のマーケットプレイスは単にビジネスモデルとしてすばらしいのではなく、雇用も創出しています。(佐藤氏)

Softbank-Indosat は設立者のマーケットについての深い知識に感心したと Himler 氏は語った。その知識のおかげで、海外企業が Tokopedia の座を奪うことがますます困難になっている。

Leon 氏とWilliam 氏(Tokopediaの2名の共同設立者)は2人ともマーケットのことを熟知しています。もしAlibabaが揚子江のワニなら彼らはジャングルのコモドドラゴンです。

Tokopedia は、使命をとても重要視する企業です。彼らのスローガンは、『インターネットでより良いインドネシアに』です。彼らのもとには月に3万通の履歴書が届きますが、全てがTokopedia で働きたい人たちからものです。これは驚くべきことです。 (Himler 氏)

より良い市場

日本社会の高齢化は急速に進み、経済は低迷している。日本の投資家がインドネシアに注目する理由は、単に日本では選択肢が少ないということだけだろうか?

Venada 氏は人口分布だけが理由ではないという。

日本でやるべきことはまだたくさんあります。オンラインはもとより、オフラインにおいても大きな市場です。既存のサービスの置き換えにビジネスチャンスがある日本に比べ、インドネシアはまだこれから発展していく市場です。隙間市場に参入する必要はありません。インドネシアは大きな問題を抱えてはいますが、衣料、賃金、および物流のような基本的なところを解決しているところです。(Venada 氏)

Venada 氏は、同氏のLP(リミテッドパートナー)たちの一部がインドネシアのような新興成長市場へ投資したのは、単に金銭的見返りのためではないと付け加えた。

彼らは将来を見据えています。次の拡張に足を入れようとしているのです。(Venada 氏)

それでも、高齢化社会は日本人の精神に影響を与えているのかもしれない。

「日本の人々は、彼ら自身の経験から、人口構成が(日本経済の)運命において大きな役割りを果たしていると考えているのかもしれません」と Himler 氏は示唆した。そのことで、日本人は他の場所でチャンスを探すようになっていくのかもしれない。

当然、起業家たちはここに来て会社を始め、その結果、お金が日本から出て成長市場に流れます。それが経済なのです。(Himler氏)

結局のところ、人口統計や経済的機会、国の未来を形作るといった要素がインドネシアのような高成長市場への日本の投資を促進している。ベンチャーキャピタルが言及していない他の要素は何か他にあるだろうか?

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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