マーケターがCES 2016で注目すべき5つのテクノロジー

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Tom Edwards氏は、EpsilonのAgency Businessでチーフデジタルオフィサーを務める。過去15年間、デジタル、モバイル及びソーシャルメディアマーケティングに携わり、2014年にはiMedia Agency Marketer of the Yearのファイナリストに選ばれた。Epsilon以前は、The Marketing Armでデジタル戦略のEVP、その前はRed Urban(DDB Worldwideの一部)でデジタル戦略及びエマージングテクノロジーのSVPであった。また、クラウドベースのソーシャルソリューションプロバイダーINgageネットワークでCMOも務めていた。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Maurizio Pesce“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

The 2016 Consumer Electronics Showが約2、3週間後に始まる(編集部注:原文掲載12月13日)。私たちマーケターは観客とのコミュニケーションに影響をもたらす新技術を目にすることになるだろう。

ここに紹介するのは、今年のエキスポで注目すべき5つのトレンドである。

1. 感情を表すロボット

感情を表すロボットは、人間の行動要素を認識、解釈、処理し、シミュレーションすることができるシステムとデバイスに基づいている。昨年は1つの機能をもつロボットがショーで話題の製品であったが、さらなる学習能力の向上により、2016年は感情を表すロボットの最先端の登場が期待される。

感情を表すロボットの一例はJiboだ。初の「ファミリーロボット」として評価を受けた。Jiboや他の感情を表すロボットはIoTセンサーとなり、家庭の中枢神経系として利用されることになるだろう。

デジタルマーケターにとって、感情を表すロボットは複雑なコンテキストに基づいたコンテンツを届けるという新たな可能性を開き、IoTベースの行動データへのアクセスポイントとして役割を果たすことになる。感情を表すロボットのコンセプトは、消費者の感情的な反応を考慮に入れる能力であり、これらのデバイスと消費者との関わりをよりポジティブでパーソナルなものにしていくことである。

2. ジェスチャーベースインターフェース

CES 2015ではあらゆるタイプのウェアラブルデバイスが人気だったが、これまで大部分が主に受け身のデータ収集装置として使用されてきた。今年はジェスチャーベースインターフェースが目覚しく進歩した。

CES 2015ではLogbarのジェスチャー制御リングが大いに賑わいをみせた。Ring のシンプルさとIoTで動作するスマート住宅も、ジェスチャーベースインターフェースの例である。

ジェスチャーベースインターフェースは、マーケターに対して、現実世界とデジタル世界をつなぐ上で楽しい、よりユーザーを引き込む方法を提供しうる。LogbarのRingのようなインターフェースがあれば、消費者向け家電メーカーは、非接触ジェスチャーベースを活用して消費者にカスタマイズ可能な体験を提供することが可能になる。たとえば、いっさい手で触れることなくテレビやステレオ、コーヒーメーカーを操作できるようになるといった具合だ。

CES 2016では新しいジェスチャーコントロールのプロトタイプが見られることを期待している。ブランドにとってのマーケティングの可能性を明らかにしたいと思う。

3. フレキシブルディスプレイ

フレキシブルディスプレイは常にある種のSF的な魅力をもっている。曲げたり、転がしたり、さまざまな形にできる要素を持つデジタルディスプレイの出現はかなり市場を賑わせてくれている。

SamsungのGalaxy RoundやLGのG Flexといったスマホにフレキシブルディスプレイが搭載されているのに加え、これまで長年にわたってさまざまなスタンドアローンのプロトタイプを目にしてきた。

先を見越すと、消費者ブランドがフレキシブルディスプレイを直接衣類や他の製品に統合することができれば、この種のディスプレイが購買客マーケティングに革命をもたらす可能性もあるだろうし、モバイル機器への消費者の依存を減らす可能性もある。

4. バーチャルリアリティ

最近の業績発表で、Facebookの設立者マーク・ザッカーバーグ氏は、バーチャルリアリティ(VR)をコンピューティングの次なる進化と呼んだ。過去においてもCES EXPOにおけるVRの体験調査を見てきたが、現在ではすぐに楽しみたい人のためにすぐに使えるVRのハードウェアの登場も目前である。

最近では大衆向けの動画形式の360度動画を使用できるものもある。例えば、今ではモバイルFacebookのニュースフィードで360度動画のモバイル動画を見ることができるし、GoogleのCardboardカメラ用アプリは360度動画とサウンドのキャプチャをサポートしている。

New York TimesのGoogle Cardboardの試みやGoProの360度ビデオへの進出といった最近のキャンペーンは、消費者に新しい魅力的な体験をもたらしてくれている。しかし本当に夢中になれるVR体験にはよりハイエンドのヘッドセットが必要で、これがあれば全身どっぷり浸かれる感覚が得られる。

たとえば、複数の企業が各製品を埋め込み、それぞれのブランドコンセプトに沿うような、ユーザーが全身で体験できるコンテンツを共同でつくることができる。2016年のオリンピックでは、ブランドがそういったイベントにおいて消費者を夢中にさせるためにバーチャルリアリティを活用することが期待されている。

他のVRの提供元からFacebookのOculus体験の新たな特色やSixenseのSTEM Systemのようなシステムを探すことになるかもしれない。これは、VRにおいて動きの制限や触覚のフィードバック、さらなる空間認識を提供し、全身に制御された体験を作り出すものである。

5. ホログラフィックコンピューティング

ホログラフィックコンピューティングは複合現実と呼ばれる場合もあるが、ユーザを取り巻く世界に現れるデジタルオーバレイ(ホログラム)とユーザとを空間的に関わらせることができる拡張現実(AR)の一形態である。

最近のCitiアナリスト予想ではVR/AR産業の将来が強調されており、彼らの見方ではおそらくAR技術が主要なデジタル市場に革命をもたらすとされている。多くの企業が複合現実のソリューションを追い求めている。Hololensで多くの注目を集めたのがMicrosoftだ。Hololensは既存の物質界を拡張するインタラクティブホログラムを生み出すものである。ARが現実世界における真白なキャンバスを意味するように、ブランドマーケターにとって、家庭や職場といった日常的な環境で消費者を引き込める可能性の大きさは信じられないほどワクワクするものだ。

たとえば、ある企業は食品リストを提供することで、家庭でARを活用できるかもしれない。ユーザーが食品を切らしている場合は冷蔵庫にそのリストを表示し、おすすめの製品を提供するといったことが可能になるのだ。

展示フロアから学ぶべきこと

今回紹介した5つの分野は、CESで私が見たいと思っている進歩を代表するものだ。この5つがすべてであろうか? もっと探したいと思っている。マーケターが展示フロアで探すべきものは、消費者の行動や消費者とブランドとの関わり方を大幅に変える
可能性を秘めたコネクテッドデバイスだ。エンターテイメントの変化はマーケターに大いに影響を与え、その結果としてデータやコンテンツ、チャネルのすべてが果たすべき役割が変化する。

2016年の重要なポイントは、消費者のデバイスへの接続方法におけるダイナミックな変化について考察を得ることだ。CESは何年か先には実現可能なものに光を投げかけなければならない。

展示会のフロアでこれらのアイテムのいずれかを偶然見つけることがあれば、#CESevolvedに写真やタグでつぶやいてほしい。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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