「Y Combinator もスタートアップみたいなもの」ジェシカ・リビンストン氏が語るYC創業秘話

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 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
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Y Combinator(YC)のことを知らないファウンダーはもはやいないだろう。2005年にポール・グレアム氏、ジェシカ・リビンストン氏、トリヴァー・ブラックウェル氏、ロバート・モリス氏によって設立されたアクセラレータプログラム・シードファンドには、成功を目指す多くの起業家の申し込みが殺到する。

過去10年、940社のスタートアップに出資して、Airbnb、Dropbox、Redditといった成功企業を輩出してきたプログラムであるものの、2004年にリビンストン氏とグレアム氏がそのアイデアを思いついた際には「まさか、これほどまで大きくなるとは思っていなかった」とリビンストン氏は振り返っている。

YCの創業パートナーの一人であり、ポール・グレアム氏の妻、『Founders at Work 33のスタートアップストーリー』の著者であるジェシカ・リビンストン氏は、ネットラジオ番組Startup School Radio でYC創業時のことを話している

その始まり方がスタートアップの立ち上がり方と類似しているという点で「YCもスタートアップみたいなもの」と彼女は言う。そもそもの始まりは、2004年に彼女とポール・グレアム氏がデート中に投資業界の現状について話していたときのことだったという。当時、彼女は投資銀行に勤めていたが、ベンチャーキャピタルファームに入ることを考えており、グレアム氏もまた、エンジェル投資に興味があった。グレアム氏は自身のスタートアップをYahooに売却しており、彼自身が周囲に助けてもらってきたように、他のファウンダーを支援したいと考えていた。

「一気にたくさんのスタートアップに投資して、速く学ぼう」

2004年当時、スタートアップを立ち上げたいと思ったら「お金を貸してくれそうな金持ちの親戚や友人を探すこと」、でなければ「ベンチャーキャピタルから、何百万ドルものお金を出資してもらうこと」だった。

二人が抱いた疑問は「なぜ、VCはより少額の小切手を書かないのか? ソフトウェア企業を立ち上げるのは安価で済む。必要なのはコンピュータとサーバー代ぐらいなのに」というものだ。そのとき、生活と費用の支払い、プロダクトの開発を可能にする程度の少額の資金を得られる場所が欠けていることに気づいたのだという。こうして、プロダクト開発にフォーカスし、またファウンダーを支援するアクセラレータ・プログラム Y Combinatorのアイデアが生まれた。

とはいえ、エンジェル投資について何も知らなかった二人だが「じゃあ、一気にたくさんのスタートアップに投資して、速く学ぼう」と考え、構想を練ってから半年後には実際にプログラムを開始。すばやく行動を起こすことを重視する起業家精神がまさに発揮されたのだった。

リビンストン氏はこのインタビューの中で『Founders at Work 33のスタートアップストーリー』についても語っている。スタートアップの世界を知れば知るほど、「この世界はすごく面白いのに、それに関する情報がほとんどない」と感じ、それが執筆の意欲を高める動機になったそうだ。

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