長時間の手術に臨む医療スタッフの筋肉疲労を軽減、ウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」

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archelis-design

IT業界の人たちは基本的にPCに向かって仕事をするため、長時間の座ったままの状態を避けるように「スタンディングデスク」などと呼ばれるアイテムが人気を集めています。一方、世の中には立ち仕事も多く、その中でも特に過酷だと思われるのが、長時間立ったままで行う外科手術です。

そんな医療スタッフのニーズに応える医療用ウェアラブルチェアが、「archelis(アルケリス)」です。アルケリス(“歩ける椅子”)は、左右の足に容易に装着することができ、長時間の中腰姿勢でも筋肉に負荷を与えずに「歩く・座る」を繰り返すことが可能です。膝及び足首の角度固定と、スネと大腿部の広い面積のサポートで体重を支えることで、術中の筋肉疲労を軽減し、安定した長時間の姿勢保持を行うことができます。

コードレスで電力不使用
コードレスで電力不使用

オペ室での使用を想定し、下肢の姿勢保持のみに特化して設計されたアルケリス。コードレスで電力を使用しないため、ウェアラブル自体が軽量です。正確かつ迅速な動きが求められる外科手術において、医療スタッフはコードに邪魔されることなく、また重みや充電を意識することなく活用することができるのです。

アルケリスは、金型製作を手がける町工場のニットー、千葉大学フロンティア医工学センター、西村拓紀デザイン、日本高分子技研株式会社と、産学・医工の連携チームの強みを活かして誕生した製品です。現在は、2016年夏頃の製品を目指して製品開発と改良が進められています。医療現場におけるニーズを機に開発された製品ですが、特に腰部から下半身の負担が大きい立ち仕事をする人なら誰でも利用者の対象となり得ます。

ウェアラブルチェアというと、記憶に新しいのが昨年話題になったスイスのスタートアップ「Noonee」です。こちらは、長時間の立ち仕事を強いられる工場労働者に向けて開発されたもの。と、いろいろ見ていたら、37年前にアルケリスやNooneeに類似した製品の特許が申請されていたとか(「Core77」参照)。考案者のRober Bonner氏がつけた名前は、まさに「ウェアラブル チェア」でした。

もちろん、この特許の期限はとうの昔の切れていますが、当時まだアイディアや図面上にしか存在しなかったものが、時間を経てこうして製品化されています。その先には、限られた一部の人による利用が、広く一般にも普及するような未来が来るのかもしれません。

アルケリスの紹介動画は以下をご覧ください。

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