「ベルギーの税優遇措置は違法」欧州が米テック企業に税金追徴を課す

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 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
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欧州委員会はベルギーにおける税優遇措置が違法であると判断し、35社の多国籍企業に対し7億6,500万米ドルを追徴するよう命じた。

この決定に際し、EC(欧州委員会)は35社の名前を明らかにしなかったが、将来公表する可能性はあると示唆した。さらに、同委員会は詳細を説明し、税制度の恩恵を受けていた企業の大半が欧州を拠点としていたことを明らかにした。

「ベルギーは、特別扱いした一部の多国籍企業に対し、EU国家補助金規則に違反する税優遇措置を提供していました」と、ECで競争政策を担当している委員であるMargrethe Vestager氏は声明の中で述べた。「多国籍企業でない規模の小さいライバル企業を不公平な立場に追いやることで競争を歪めていました。」

とはいえ今回の調査は、アイルランドにおけるApple、ルクセンブルクにおけるAmazonなど、欧州企業に提供されていた様々な税優遇措置に対する広範な審理の一環にすぎない。

どこの企業がベルギーで税制上の問題を直接抱えていたかは明らかにされていない。しかし新たな規則によると、ECは今回のような措置に対しては断固たる取り締まりをする意向で、優遇を受けた企業は10年にも前にさかのぼって税金を支払うよう求めている。

この件は米国でも論争の的になっている。米国議会は、税金の支払いを節約するための国外への利益移転容認を批判してきた。欧州の人々は、各国で財政均衡を目指して取り組みが進む中、大企業が税制を優遇されている現状に苛立ちを感じている。

それでも、雇用が伸び悩む中、多くの国では新たな事業、とりわけ成長著しいテック企業を惹きつけるのに税制面でのインセンティブを提供したいと考えている。EUによる今回の決定は、こうした考え方が今後受け入れられなくなることを明らかにした。

「EU加盟国にとって、企業による投資を補助するための合法的な方法はたくさんありますし、EUに投資すべき理由もたくさんあります」と、Vestager氏は声明の中で述べた。 「しかしながら、実際の利益に対する税金の多くを逃れられるような合法的でない税制優遇措置を加盟国が多国籍企業に認めると、EUにおける公正な競争が著しく阻害され、最終的にはEU市民がそのつけを払うことになってしまうでしょう。」

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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