2016年、インドのモバイルコマースはどうなる? 「超ローカル化と急速成長」がキーワードに

Sharat Potharaju氏はBeaconstacの共同設立者兼CEOである。Perry Nunes氏はBeaconstacのマーケティングアソシエイトである。Beaconstacは位置情報ビーコンを用いた顧客獲得プラットフォームを提供する、インド、カルナータカ州の企業である。

Image Credit: Flickr/David Gil
Image Credit: Flickr/David Gil

2016年の始まりとともに、インドのモバイルコマースには目覚ましい変化が起こっている。インドでは、モバイルデバイスを通じての日々の購買が著しく増加している。昨年、コンサルティング会社Zinnovが発行した市場レポートでは、インドでのモバイルコマース市場規模を2014年に20億米ドルと推定、そして2019年までに190億米ドルまで成長すると推定している。実際、インドはGoogle Playストアにおけるトップ5地域の1つであり、12億人を超える人口のうち多くの人が、スマートフォンその他のモバイルデバイスを通じて商品の検索やショップへのコンタクト、商品の購入をしている。

インドで最近ネット接続が可能になったユーザの間で、どのモバイルサービスが成功しているのかを探るため、私たちはインドのモバイルコマース状況を表すマップを作成した(下記参照)。このマップはモバイルデバイスを通じ、直接間接を問わず、商品やサービスと引き換えに送金を行うあらゆる事業を含んでいる。また、商品やサービスの検索、支払い、調達といったモバイルデバイスでのカスタマープロセスのうち、少なくとも1つに関わっている企業すべてを含んでいる。とはいえ、多くの企業は2つ以上、または3つすべてに関わっている。

Indian-Mobile-Commerce-Map

インドのモバイルコマース市場はとてつもなく大きく、また変化が速いものの、このマップはいくつかの重要な事柄を示唆している。

1. フィンテックスタートアップは、単なる決済を超えた価値を生み出す可能性を持っている

フィンテック企業は、どこでもキャッシュレスでの決済を可能にすることで、インドのモバイルコマースの土台を築き上げている。タクシー代から映画チケット、公共料金に至るまで、およそすべてのものがシンプルなモバイルアプリで決済可能である。しかしモバイル決済というものは、商品を見つけ、調達するプロセスと結びついてこそ、スムーズなモバイルショッピングを可能にし、さらなる付加価値を生み出すものである。それには、既存のeコマースアプリとの統合や、自らのアプリにその機能を組み込むことのいずれかが必要になる。

Paytmは、音楽ストリーミングアプリSaavnと協業することで、前者のアプローチをとった。それだけでなく、Uber、MakeMyTrip、その他多数とも協業して、アプリ内支払いを可能にしている。しかし同社は独自のeコマースでの商機も追求し始め、モバイル支払いとeコマースを2つの別々のアプリに分けようとしている。モバイル決済のトップ企業である同社はこれにより、アプリ内での優良顧客特典やソーシャルギフトなどの新機能を実験することができ、また、参加するブランドに対して、まったく新しい販売チャネルを提供することができる。

2. アグリゲーターアプリが単一企業のビジネスを大きく凌駕していく

近年見られるのは、リアル店舗のブランドからレストラン、医療サービスに至るまであらゆるものを1つの便利なアプリにまとめあげた「アグリゲーター」アプリの台頭である。いくつかのレストラン(例:ドミノピザ、ケンタッキー)、航空会社(例:インディゴ)、エンターテイメントプロバイダ(例:PVR)などの例外を除けば、ほとんどの大企業や大規模小売店は、モバイルアプリの台頭によりアグリゲーターへの依存を高めている。

一部の企業は自社アプリ戦略を立てようとしてはいるが、まだ望んだ結果を得られてはいない。例えばShoppers Stopは、同社独自のロイヤリティアプリを作成しようとしたが、国内最大級の小売店であるにもかかわらず顧客獲得に成功しているようには見えない。これらの企業の多くにとって、自社アプリを開発して売り込むか、Zomato、MakeMyTrip、BookMyShowのようにすでに地位を確立し、多くのユーザ層を取り込んでいるブランドに依存するのかは、悩ましい問題である。(実のところ、BookMyShowは我々の顧客である。)

しかしながら、自社開発を貫く「フルスタック」スタートアップが、アグリゲーターのビジネスモデルの代替となりうることを立証した成功例もいくつか存在する。これらの企業は商品設計からサプライチェーンマネジメントにわたる、上流から下流まですべてのビジネスを自社で行っており、また興味深いことに、その中の多くはこのチャートの中で超ローカルの列に位置している。定義に従えば、PVRやドミノピザのように自社の製品を地元の自社店舗を通じた自社販路で販売している企業はフルスタックである。その他のフルスタック企業、例えばタクシーのOla、日用品デリバリーのBigbasket、食品デリバリーのFreshMenuといった企業は、超ローカルでビジネスを展開している。

今のところ、こうした「フルスタック」企業が標準であるとはとても言えないが、我々の興味を引くには十分である。例えば Bigbasket は自社スタッフを雇用したり自社倉庫を準備したりして、競争力のある日用品デリバリービジネスを確立することに成功している。的確に実行されていれば、この「フルスタック」ビジネスモデルは、より信頼性の高く、安定したユーザ体験をもたらしてくれる。インドのように、O2Oコマースにおいて予測不可能な要素が多く存在することで知られる国においてはなおさらである。

3. エコシステムは「超ローカルモバイル」コマースに向かう

モバイルコマースのエコシステムは時とともに「超ローカルモバイル」に舵を切っていると思われ、我々のマップの中で左上のエリアに少しずつシフトしていくと考えている。今この動きを後押ししている要素は2つある。1)インドではモバイルが最もメジャーなITデバイスであること、2)特に大都市以外において、大部分の商行為がまだオフラインで行われていること、である。

企業がインドで大きな商機を得たいのであれば、モバイルデバイスを活用してオフラインの世界を便利にする戦略、そしてその逆に、オフラインからモバイルの戦略を立てる必要がある。LenskartやPepperfryの例で言えば、実店舗型の「エクスペリエンスセンター」を立ち上げ、顧客に実体験の場と実店舗ならではの個別のサービスを提供することで、自社のオンラインおよびモバイルショッピングの強化をはかることである。このようにモバイルデバイスをオフライン環境にひもづけることで、オンラインのお気に入りや流れるようなチェックアウトと支払い、ソーシャルメディアへのシェアなどとは一線を画した、顧客ひとりひとりに合った実店舗でのおすすめといった大きな可能性の扉を開くことができる。

しかし、他の多くのケースでは、近場で提供されているオフライン店舗や安売り情報、商品情報をまとめて提供する形が一般的である。これはすでに、位置情報をベースにした安売り情報のアグリゲーター、ソーシャル上での友だち発見、そしてフードテックなどの形で我々のマップの超ローカルの列を埋め尽くしている。この「オフラインのアグリゲート」現象は、既存のオフラインビジネスの仕組みの上にモバイルテクノロジーを加えていくことを可能にし、長期的にはそこから利益を生み出すことを願っているわけである。

買収や資金投入、提携が日常的に起きているようなインドのモバイルコマースエコシステムにおいては、ここ数年のうちに急速な業界再編が起きるであろうことは明らかである。そこで起きるのは大統合なのか、細分化なのか、それともその中間であろうか? 実績のあるeコマース大手が、新世代のモバイル集中型企業に先がけて超ローカルビジネスに転換していくのか、それとも両者は並立するのだろうか? 超ローカルのビジネスは超高収益になりうるのだろうか? これらすべて、そしてさらなる疑問に対する答えは、我々の手に任せられているのである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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