航空運賃比較サイト「Skyscanner」がリリースした「Future of Travel report」というレポート。そこでは、今後、ピアー・ツー・ピアーのコラボレーションが世界を旋風し、この先数十年で世界の5〜10%の人が自宅を旅行者に貸し出すと予測されています。飛行機など移動費用の低下も相まって、これから「旅」は私たちにとってより身近なものになっていくでしょう。
旅する回数が増えれば、最初はガイドブックで紹介されるメジャーな観光地を周って満足していたものが、徐々にそれでは物足りなくなって、もっと現地の人や文化について深く知りたいと思うようになるはず。こうした出会いや交流こそ、まさに旅の醍醐味だと言えます。
会員数500名、旅先で現地の人と交流
そんな旅をすでに味わうことができるのが、旅先で現地の人と交流できる「Holiday Ticket」(ホリデイ・チケット)です。旅先で地元ならではの体験を望む旅行者と、ユニークな時間を提供する現地ホストとを繋ぎます。
2015年6月にβ版をリリースし、その半年後の12月頭には英語版をリリース。10月に日本国内のホスト(旅行者を案内する人)登録を開始したところ、いっきに登録者が増え、会員数は500名を突破しました。
日本国内では、東京、大阪、京都、名古屋の主要都市でサービスを展開。国外では、日本からの渡航者の数、また在留邦人の数を鑑みて、台北、ソウル、上海、バンコクの4都市でも展開しています。時間をシェアするチケットは1時間につき、1,000円からです。日本から海外への旅行者、海外から日本への旅行者、また日本国内の旅行者などさまざまな交流があります。
会員数500名、旅先で現地の人と交流

その会員の70%を女性が占めるというホリデイチケット。大学で外国語を学んだ人、また留学経験者などを中心に、日本へ旅行に来ている外国人と交流する機会を求めて登録する人が多く見受けられます。
実際に発行されているチケットをみてみると、「師範大学 留学センターを現地で案内します」(中国台北市にある大学)や「現役楽天店長と行く秘密のソウル仕入れツアー」など個性的な内容が集まっています。例えば、前者は大学に通う留学生が、キャンパスを案内しながら留学体験や現地での生活について案内してくれるもの。リアルな実体験を知ることができます。
見知らぬ人と繋がったり直接会ったりするピアツーピアのサービスでは、安全面への配慮が欠かせません。安心して参加できるコミュニティを作るため、ホリデイチケットでホストになるには会員登録時に身分証明書の提示が必須。現在のところ、会員の80%が身分証明書を提示しており、任意でFacebookアカウントにも連携することができます。
コミュニケーションが育まれる仕組み
ホリデイチケットの最大の特徴は、現地人と旅行者との「交流」を最重視していることです。単なる観光ガイドに止まらず、ホストは自分の趣味や得意分野などを活かしながら、同じ関心を持つ旅行者と触れ合うことができます。
気になるチケットを見つけたら、まずは旅行者がホストに問い合わせをすることから始まります。効率を考えると、カレンダーで空きを表示してボタン一つで予約が完了するのが理想的かもしれません。でも、旅行者とホストの交流を育むため、ホリデイチケットでは敢えてメッセージで詳細を決める仕組みにしています。
「ホストとゲストには、時間の共有の仕方を話し合ってもらいます。チケットについて質問しても良いですし、日時や待ち合わせ場所などの詳細もメッセージでやり取りしてもらいます。必然的にコミュニケーションが生まれる設計にすることで、やり取りを重ねる中で相手の人となりが見えてきます。」
ソウルのスタートアップ情報を知りたい、でも術がない

ホリデイチケットを運営するのは、名古屋のスタートアップ「レアリスタ」。代表取締役の和田ダイスケさんは、ご自身も大の旅行好き。ふらっと入った現地のレストランで隣り合わせた現地の人と盛り上がって、一緒に二軒目に行くような旅行先でのその場所、その時ならではの交流を大切にしてきました。
最近、仕事でソウルに行く機会があって、現地の人から韓国のスタートアップ事情について情報収集したいと考えましたが、オンライン上にそれを叶える術は見つかりませんでした。どれも観光やオプショナルツアーの延長線上にあるものばかり。また台北では、現地の人と食事をした際に中国語を習いたいと感じたものの、それを気軽に実現する方法もありませんでした。
「自分で必要性を感じて探してみたところ、交流を通じて、観光の域を越えて何かを学んだり新しいヒトやコトと出会うサービスがないことに気がつきました。そこで、観光ガイドやオプショナルツアーの代替えではなく、現地の人との交流を最優先したホリデイチケットを開発しました」
ホリデイチケットが提供するのは、ホストとゲスト間の「時間の共有」です。共有する時間をどれだけ充実したものにするかは、本人たち次第。今後、まずは日本でホストになる利用者の数を増やし、対日本人、対外国人との時間の共有を育んでいくとのことです。
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