
TwitterやFacebookなどがオンライン上の行きつけの場所になったことで、私たちは情報収集にもSNSを活用するようになりました。人間関係が可視化されたSNSに流れてくる情報から、シェアした人物やその人が周囲に対して持つ影響力といった要素と切り離すことはできません。
1日で「東京」がサービス上最大のコミュニティに
そんなSNS時代の情報収集のあり方に対して、正反対のコンセプトで挑むのが「Plag」です。Plagは、友達やフォローといったソーシャルな要素を排除することで、まるでウィルスが広まるようにコンテンツが拡散するプラットフォームです。そのユニークなコンセプトに惹かれて2015年7月に本媒体でPlagを紹介したところ、かなりの反響が集まりました。
最初に記事を書いた当初、Plagの全ユーザーの約60%をヨーロッパが占めました。そのほか、米国が全体の4分の1、そしてアジアは10%未満にとどまりました。ところが、記事をきっかけに日本のユーザーがいっきに集まり、Plagのファウンダーがこんな風につぶやいていたほどです。
In just one day Tokyo local area in @Plag_Network has become bigger than Zurich local area (biggest to the moment). They are crazy <3
— Ilya Zudin (@eliaszudin) 2015, 7月 30
ツイートにあるように、それまでPlag上で最大のネットワークだったチューリッヒを抜いて、たった1日で東京のローカルエリアが最大のコミュニティになりました。
アクティビティと継続率ともに東京がダントツ
あれから半年強が経った今、日本のユーザーがどんな風にPlagを活用しているのかについてチームに確認してみました。取材に応じてくれたのは、同サービスのマーケティングとビジネス開発の責任者であるLaura Inamedinovaさんです。
アクティビティが活発なだけでなく、東京は継続率で見てもダントツです。現在の日本のユーザー数は15,000人ほど。東京のアクティブユーザー数は7,000人を超えており、累計投稿数は16,000件を突破しています。東京に次いでユーザーが多いエリアが、横浜と川崎。大阪、京都、名古屋などの関西地方のユーザーは、まだそれぞれ1,000人ほどにとどまります。
「日本のPlagユーザーについてまず言えることは、彼らがほかのユーザーとは違うということです。そして、私たちは彼らと一瞬にして恋に落ちました。Plag上のどんな地域よりも投稿数が多く、アクティビティが盛んです。Plag上のピクニックやカラオケパーティなどは日本特有で、Plag史上歴史に残るものだと感じています」
一般的なSNSでは、良くも悪くも人間関係から逃れられないため一定の抑止力が生まれます。一方のPlagは人間関係を一切排除し、匿名で利用可能。本来であれば、サービス内を巡回するなどして健全なコミュニティを担保する必要がありますが、日本のコミュニティに関してはその必要がないのだと言います。同じエリア(地域)に所属しているという共通点が後押ししてか、ユーザー間で一体感が生まれ、ユーザー同士が尊重し合う文化が育まれています。
Plagに人格を与える
世の中の情報は、嫌でも政府やメディア、企業などによってコントロールされるもの。Plagでは、情報が純粋に情報として扱われ、それが自然発生的に広まっていきます。情報が拡散されるかされないかは、あくまで個々のユーザーが決めること。この形にすることで、選ばれた情報がだけが伝わるのではなく、本当に大事なことが共有される場になっていくと考えています。
「現在、Plagに人格を持たせる機能を開発しています。Plagに機嫌があるようになって、サービス内でユーザーがとる行動に関心を持つようになります。例えば、悪意のある使い方をすると悲しんだりします。Plagというネットワーク自体が、ユーザーとコミュニケーションをとるようになります」
新機能の概要だけでは、いまいちどんな人格なのかが想像つきませんが、どんなものが出てくるのかが楽しみです。
サービスというものは、作り手にコントロールがあるようで、一度リリースしたらユーザーがその使い方を自由に編み出していくもの。Plagにとって、日本のユーザーはまさにそれで日々新しい発見が尽きないと言います。今後も新種の情報拡散プラットフォームの展開に注目したいと思います。
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