女性が自分の身を守れるようにーー緊急時にアラートを送れるウェアラブルデバイス「Revolar」

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Above: Revolar's alarm lets a woman tell friends if she needs help. Image Credit: Revolar
上:Revolarでアラームを送れば、女性は助けが必要なことを友人に知らせることができる。
Image Credit: Revolar

最近行われた調査によると、女子大生の4人に1人が大学で性的な暴行を受けた経験があるという。Revolarは、新しいタイプの緊急ボタンを備えたデバイスを女性に身につけてもらうことでこの問題に挑もうとしている。この端末を使えば、女性は助けが必要な時に友人や家族にアラートを送ることができる。

それに伴い、ロケーションと無線テクノロジーのイノベーションから生まれる「ウェアラブルセーフティ」という成長市場に同社は参画したいと考えている。そして、この分野は暴行を受ける女性を助けるという目的を超えたところまで可能性が広がると信じている。Revolarデバイスは服の下かキーチェーンに付けて使用する。

このアイデアは、RevolarのCEO兼設立者である25歳のラテン系起業家Jacqueline Ros氏が考えたものだ。彼女はウェアラブルのテクノロジーによって「レイプカルチャー」に挑みたいと考えている。このデバイスは、2016年のインターナショナルCESにてTechstarsブースで展示される予定だ。

「実を言うと私は妹を助けられるものを作りたかったのです」と、Ros氏はVentureBeatとのインタビューの中で述べた。「プレゼンの後に、若い女性、母親、さらには男性までもが私のところにやって来て、これは使えると言ってくれました。」

助けを必要としている時はデバイスを押せばよい。Revolarには窪みのあるボタンがついているため、デバイスを見なくても親指で押せるようになっている。まず、RevolarとスマホをBluetooth接続でペアリングする。そしてアラートを知らせたい連絡先を設定する。1回ボタンを押すとRevolarは「イエローアラート」を送り、緊急連絡先の人はあなたがいる場所を把握できる。軽い交通事故や突然の体調不良の中でも軽い症状、人と会っている時の気分悪化といった状況を知らせるアラートを出すことが可能だ。助けを求めるメッセージを送ったことを相手に知られないようさりげなくアラートを送ることができるとRos氏は述べた。

Revolarを2回早押しするとレッドアラートが送られるので、お気に入りに入れた連絡先の人が非常事態を察知してあなたの代わりに911の緊急通報をすることができる。緊急で助けを求める人以外にも、Revolarのレッドアラート機能は深刻なアレルギー症状が出た時や転落や怪我で助けを求める人にとって役に立つことだろう。

「聴覚に障害のある人たちのコミュニティからは、これで生活を変えられるというお話を聞きました」とRos氏はコメントした。

間違ってアラートが出るのを防ぐために、同社ではアラートを区別できるようデバイスを設計した。窪みのあるボタン構造により、誤って押してしまうようなことを防げるようになっている。

Above: Revolar’s panic button can be worn on or under your clothing. Image Credit: Revolar
上:Revolarのパニックボタンは、洋服の上にも下にも装着することができる。
Image Credit: Revolar

Ros氏がRevolarを開発した理由は、彼女の妹が17歳になるまでに2回も暴行を受けたためだ。いずれのケースでも、暴行を受ける前にうまく携帯電話で連絡を取ることができなかったという。Ros氏は、それが当初の動機ではあったものの、以降3年もこの取り組みを続けている。多くの人がこの技術を使えると言って彼女に話しかけ、開発を続けるよう促したからである。

「私たちの取り組みを促したのはこうしたコミュニティから幾度となく手を差し伸べられたことです」とRos氏は述べた。

「当初予想したよりもインパクトが大きかったことを実感しています」と、RevolarのCMOであるMegan Espeland氏は述べた。 「例えば、視覚・聴覚に障害がある人たちは、当社のテクノロジーで人生が変わるかもしれないと言って私たちにアプローチしてきてくれました。ストーカーに付きまとわれているのに何も使えないという女性からの話も聞きました。男性、女性に関わらず、暴行から立ち直った人たちは、このデバイスによる助けがあれば、結果が変わっていたかもしれないと言いました。」

デンバーを拠点とするRevolarは、2015年のBoulder Techstarsアクセラレータプログラムに参加した。Ros氏は、ここでの経験により、幅広いビジネスチャンスについて考え、語ることができるようになったと話した。さらに、同社が300万米ドルをFoundry Groupから調達するのにも役立ったという。この企業はFitBit、Sphero、Modular Roboticsといったハードウェア企業にも投資している。Revolarは従業員3人から1年で15人を抱えるまでに成長した。

Revolarは1人でランニングや旅行をする時に使える別のウェアラブルデバイスの開発も計画しており、複数の機能をRevolar本体に追加する予定だ。同社のモットーは、「(時価総額)10億米ドルのユニコーンになれるのに、どうして100万ドルのポニーになろうとするのか?」である。

今ならRevolarを事前予約できるが、このデバイスの出荷は来春に予定されている。ウェアラブルセーフティ市場のライバル企業にはCuffWearsafeがある。

パニックボタンには多くのキーが付いている。しかしEspeland氏は、「当社ではRevolarをただの『パニックボタン』とは考えていません。この製品は、より力の与えられた、自由な生活を送るのに役立つと信じているからです。ユーザの方には、『パニックな状況』になる前にRevolarを使ってもらうよう促しています。Revolarを使うべきタイミングは気分が悪い時、そして友人や家族に気付いてもらいたいという状況です。このような状況はイエローアラートにぴったりです。とはいえ、ユーザーがより深刻な状況を緊急連絡先に伝えられるようレッドアラートも提供しています。」

Above: Revolar’s alarm lets women press a ‘panic button’ when they need it. Image Credit: Revolar
上:Revolarのアラームは、必要なときに女性が「パニックボタン」を押す仕組みになっている。
Image Credit: Revolar

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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