
スーパーマンになりたいと思ったことがきっとあるだろう。ジェットパック(宇宙飛行士用の生命維持装置)が身近なものになるのはまだ先だが、スーパーヒーローの能力の少なくとも1つが近い将来身近なものとなるかもしれない。
Vayyar は、電波を使って3Dイメージを作ることを発見した会社である。さらにすごいことに、この電波は物体を貫通して、人がその中を通り見ることができるのだ。
私は、このイスラエルのスタートアップの CES 展示ブースを訪問し、稼働中のテクノロジーを拝見した。ビデオを見てほしい。
このテクノロジーは、人命救助からプライバシーに関わるものまで、多くのアプリケーションに応用できそうだ。
ビデオが示すように、建設作業員はこれを使い、壁の中を見てパイプや電線を見つけることができる。
これにより、癌患者の生存率が格段に上がるだろう。同社は、胸に置いて読み取り結果を収集する小型癌発見器に着手している。低価格とポータビリティは、へき地でのスクリーニング導入を改善するだろう。
「チップは小さいので、たくさんの物に組み込むことができます。何百、何千ドルもかかる MRI(磁気共鳴画像診断装置)がありますが、これはずっと安いのです」と Malcolm 氏は語ったが、厳密な価格については明らかにされなかった。
もう1つ素晴らしい点がある。それは、電波は放射性がずっと低いため、何度も検査を行うことができるのだ。
読み取りはこのような感じだ。小さな丸は腫瘍を表している。
Malcolm 氏は、装置はX線検査を補完するものであり、置き換えるものではないと付け加えている。X線検査のほうが解像度は高いが、Vayyar が初期診断をさらに容易にすることでニッチ市場を埋めることは可能だ。
だが、Vayyar のテクノロジーが今後成長するなら、X線検査の代わりはできないと誰が言えるだろう?
Malcolm 氏は、可能性のある使用方法についてさらに話してくれた。液体濃度を計ることで、農場や工場において質の高い管理を改善できる。例えば、汚染された牛乳は純粋な牛乳とは異なる数値を示すといった具合だ。
障害物の後ろにある物をドローンがスキャンできるようにし、都会の密集環境でもっと巧みに方向転換できるようになる。動きや速度を探知し、長さを計り、物の数を数え、デザインやスポーツ、ロジスティクスに役立つだろう。
もちろん、危険なアプリケーションもある。Vayyar は主に企業を顧客に抱えているが、試してみたい人のために消費者版を発売する予定だ。
目新しいアプリケーションを世に出すことのできる一方で、今後不道徳な人がプライバシーの侵害目的にそれを使ったり、強盗に入る前に家の中に人がいるか確認するために使わないだろうか? 軍事にも言及しなければならない。壁の反対側の敵を見つけることは、兵士にとって願ってもないことだ。
だが、これはたいていのテクノロジーに対して言えることだ。ドローンから3D印刷、ブロックチェーンにインターネットに至るまで。
Vayyar のテクノロジーは、必ずしも新しかったり、完全に独自のものではない。そういったものはめったにあるものではない。分析を重ね、2009年にはすでにプロトタイプを開発していた研究者もいた。
それでもなお、電波イメージ化は巨大マーケットの可能性を目指すべきだ。
シリーズBラウンドで調達した2,200万米ドルと、前 Intel 取締役及び前イスラエル防衛主任技術者から成る設立チームによって、今年は大きな躍進を見ることができるかもしれない。
本記事の取材時の交通費は CES が負担しました。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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