カフェで気軽に外国人と語学レッスンができるスマートフォン向けアプリ「フラミンゴ」のベータ版（iOS）がローンチした。語学学習を目的にしたアプリやオンラインサービスは多いが、フラミンゴは「モバイルファーストである」「提供言語、レッスン内容がフレキシブル」といった点が特徴的だ。まずは京都、大阪、滋賀県内限定でサービスを提供する。レッスン料金は、当面一律で1時間2000円とのこと。

講師を探す方法だが、ユーザーがアプリを立ち上げると、まずレッスンを提供する講師の写真と名前、年齢が表示される。その講師が「良さそうだな」と思ったらハートマークをタップし、「違うかも」と思ったら×マークをタップする。気に入った講師とは個別にメッセージを交わして、レッスンの内容やスケジュール、場所などの詳細を二人の間で決めていくことができる。レッスンスケジュールを表示するカレンダーや、レッスンに使うカフェを選べるマップ機能などもついている。

さすがに好みに応じて右左にスワイプするわけではないものの、そのUIは海外を中心に人気のデーティングアプリ「Tinder」に近い。フラミンゴはもちろんデート相手を探すことが目的のアプリではないが、講師というよりも「友達」に近い感覚でレッスンをすることが特徴であるため、講師との相性はやはり重要になる。

「日本には、外国人と長期的な友人関係を築ける機会があまりありません。一般的な語学スクールでは講師との関係はレッスンの時間だけに限られます」と、現在は滋賀に拠点を置くフラミンゴのCEO 金村 容典氏は話す。

国籍や言語が異なるというだけで、差別・区別され、ディスアドバンテージを背負っている人たちがたくさんいます。私もそのひとりです。韓国系家庭で育った私は、自身の生い立ちに負い目を感じながら育ってきました。
　そして次のように思いました。「自分のような想いをする人を減らしたい。これまではディス・アドバンテージとしか捉えることのできなかった自身の生い立ちを逆手に取り、それをアドバンテージとして認識できるようになって欲しい」。このような想いのもと、フラミンゴを経営しています。

このアプリを通じて、外国人と友人関係を築く日本人が増えることによって「多文化共生社会」を実現したい、と金村氏はいう。だからこそ、語学レッスンに限らず、旅の計画や出張の準備などカジュアルな使い方が可能だ。

また、現在日本には約18万人以上の外国人留学生がおり、彼らもまたカジュアルな「日本人とのふれあい」を求めている、アルバイトをする留学生の多くが時給1000円以下で働いているという。金村氏いわく、フラミンゴは彼らに対して労働機会を提供し、同時に日本人との関わりを増やすことができるとのこと。

さて、ユーザー同士によるマッチングであり、かつレッスンのフォーマットが決まっていないカジュアルさがウリではあるものの、逆に安心感や安全性をいかに提供するかという課題が残される。その点については、チャットで常にカスタマーサポートを提供する、講師は過去のレビューに基づいて選べる、Facebookアカウントを紐付ける、外国人講師のビザをしっかりチェックするといった体制を整えているとのことだ。

フラミンゴのチームは、主に立命館大学に在学中の大学生、大学院生を中心に現在はアルバイトも含めて9名体制で、事業の開発に取り組んでいる。CEOの金村氏は現在、立命館大学大学院法学研究科に在学中。同じく立命館大学の情報理工学部に在学中のCOOの高橋一生氏とは、二人がシリコンバレーで別々の企業にインターンをしていた時期にコーワーキングスペースで出会ったそうだ。CTOは、立命館大学情報理工学部の寺田壮輝氏が務める。

モバイルファースト、主に留学生が講師のターゲット、友達と会話するようなカジュアルなレッスンといった特徴は、大学生を中心にした若いチームだからこそのアイデアという印象を受ける。スマートフォンは使い慣れているが、パソコンは触ったことがないという層も10代では増えつつあると聞くが、そういった層にはもはやスカイプ英会話も敷居が高いのかもしれない。そんな中、モバイルファーストで若い感覚を生かしたUIが特徴的なフラミンゴがどれだけ語学学習市場のシェアを伸ばせるか。今後の動きに注目したい。