HackOsaka 2016: ピッチコンテスト入賞者が決定——金融・建設・物流など既存エコノミーのディスラプターが上位を独占

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2月17日、大阪のスタートアップ・コミュニティ拠点である、大阪イノベーションハブ(OIH)と大阪市経済戦略局は、グランドフロント大阪で年次のスタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2016」を開催した。本稿はその取材の一部だ。

HackOsaka 2016 のクライマックスとなる最後のセッション「International Pitch Contest」では、スタートアップ10社がピッチを行った。ピッチに参加した全スタートアップと、そのサービス内容について紹介したい。

※ これまでに開催された、HackOsaka 2015 の模様HackOsaka 2014 の模様はこちらから。

International Pitch Contest の審査員は、

  • 竹村詠美氏(Peatix.com 共同創業者、Unreasoable Lab Japan 日本事務局長)
  • William Tanuwijaya 氏(Tokopedia 創業者兼CEO)
  • James Riney 氏(500 Startups Japan 代表)
  • Allen Miner 氏(サンブリッジ グローバルベンチャーズ取締役会長)
  • Daniel O’Duffy 氏(WeWork Labs ディレクター)
  • Alex Farcet 氏(Startupbootcamp 共同創業者・最高経営責任者)

…の6人が務めた。(敬称略)

Gold Prize: Pawnhero(フィリピン)

副賞:賞金50万円と、日本航空からマイレージ50万マイルを3人分贈呈

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一般的な質屋は月利6%~10%と高利で、質草も宝石などに限られる。これに対し、PawnHero はモバイルを使った質屋サービスだ。ユーザは質入れしたい商品をスマホで撮影し見積を取得、宅配便でセンターに送ると商品が評価され、現金を手にすることができる。

質草の評価はセンターに集約されているため、利回りも低く宝石以外にも様々な商品が取扱可能だ。ユーザには、ATM で現金が引き出せたり、公共料金の支払、オンラインショッピング、モバイル通話料のトップアップ、他者に送金ができたりするカードが発給される。

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Silver Prize: Podaris(イギリス)

副賞:賞金30万円と、日本航空からマイレージ50万マイルを2人分贈呈

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都市のインフラ建設が複雑化する中で、複数の建設プロジェクトをコラボレーションさせられるプラットフォームを展開。ブランデブルグ空港、カリフォルニア高速鉄道など、世界では着手されながらも突然中止されたり、予算が超過したりするなど、毎日無駄になっている費用は世界で5億ドルを超える。

インフラプロジェクトには、政治家、エンジニア、建築家などとの多くのコーディネイトが必要になるが、Podaris はこれらの作業をオンラインで完結できるプラットフォーム。公共プロジェクトは無料で利用できるフリーミアムモデル。2015年8月に Startupbootcamp から輩出。Autodesk などの建築に関わる他のソフトウェアとも連携する。資金調達中。

Bronze prize: Shipwise(スペイン)

副賞:賞金10万円と、日本航空からマイレージ50万マイルを1人分贈呈

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ほとんどの物流はコンテナで実施されているが、これらは書類による非常に非効率な方法でやりとりされている。Shipwize はこれらやりとりをクラウド化し、可能なプロセスを自動化することで効率的な運送を実現するプラットフォーム。フリクションをなくし、ブロックチェーンを使い、サプライチェーンにつながるすべての情報を一つのプラットフォームの上で管理できるようにする。

AWS Prize: チカク(日本)

副賞:Amazon Web Services 提供 Amazon Fire タブレット

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チカクは 子供の姿をスマホで撮影し、インターネットで遠く離れた家族とをつなぐ IoT デバイス「まごチャンネル」を開発。スマホの操作が不得意な祖父母は「まごチャンネル」をテレビにつなぐだけで、離れて住む孫の成長をテレビで見ることが できるようになる。2030年に65歳以上の人は世界で10億人を超えると言われており、世代間によるデジタルデバイドを解決する。

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Special Prize: meleap(日本)

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meleap が提供するHADOは、空間認識技術に加え、スマートフォンを使ったヘッドマウントディスプレイ(HMD)、腕につけるモーションセンサーなどの技術を組み合わせて、仮想的に空間を生み出す技術を使ったスポーツゲームを提供。10人までが同時にゲームに参加でき、当面はレジャー施設向けの B2B モデルでビジネス展開。IncubateCamp 7th から輩出

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Fabelio(インドネシア)

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Fabelio は南ジャカルタを拠点とし、カスタマイズ可能な家具に特化した Eコマースプラットフォームを展開。中間所得層に向けて、デザイン性の高い高品質の家具を提供する。そのような家具が欲しい中間所得層はこれまで、価格の高いショップ、デザインを作って向上に依頼するか、IKEA のようなショップに行くしかなかった。家具は注文後無料で配達され、2週間以内であれば無料で返品が可能だ。

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Budo Finder(モンテネグロ)

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Budo Finder は合気道、剣道、柔道、空手に関するコミュニティ・マーケットプレイス。剣道の講師として、ヨーロッパの武術の競技大会に参加してきた創業者が設立。ヨーロッパのアクセラレータ One of 11 から2015年5月に輩出された。日本製の武術道具の販売に特化し、グローバルなマーケットに向けて展開する。

ACPAD Creator(ドイツ)

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ギタリストがパーカッションなどの音を出す場合 MIDI コントローラを使うことになるが、通常の MIDI コントローラは結線が大変になる(下の写真)。ACPAD Creator はギターの表面に装着可能なワイヤレスな MIDI コントローラで、Kickstarter でローンチから3週間で1,200件以上の予約注文を獲得した。現在はアコースティック・ギターに特化している。

ACPAD のマネジメント・チームはベルリンに拠点を活動しており、技術チームはインドを拠点に活動している。現在、300万ユーロを資金調達中。

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YesBoss(インドネシア)

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現在の大手Eコマースに共通するのは、対話型コマースだ。アジアのコマースでは特に、チャットが販売者と購入者の間の信頼関係の構築に寄与し、それが販売につながる。一方で、チャットはワントゥワンのコミュニケーションであるため、スケーラブルではない。

YesBoss は人工知能の活用により、人的な労力が必要となる部分の省力化を図り、SMS を使ってのメッセージのやり取りから、各種ベンダーやEコマースプラットフォームへの送客を図る。

これまでに70万件のメッセージをやりとりしており、62,000件に及ぶ取引を仲介した。ベンダやEコマースプラットフォームから成約した取引に対して、2〜20% の手数料を徴収するビジネスモデル。

Play Until Dark(日本)

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MeetMyDog は、犬を飼う気の合う人間同士をマッチングするモバイルアプリ。ユーザ自身と、飼っている犬のプロフィールや写真を登録することで、近隣にする人を検索し、つながり、デートすることができる。有料プロモーションをしない状態で、毎月1,000人の新規ユーザを獲得しており、これまでに25,000人のユーザを獲得している。

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