Skypeの創業エンジニアをアドバイザーに、Karma Venturesが欧州のスタートアップ向けに4000万ユーロのファンドをローンチ

SHARE:
上:Karma Ventures
上:Karma Ventures

欧州ではスタートアップ向けのファンド設立が活発になっている。ルクセンブルクに拠点を置くKarma Ventures もまた、欧州のシリーズAラウンド向けに4000万ユーロのファンドを新たにローンチすることを発表した。

Karma Ventures について特筆すべきは、エストニアとスウェーデンの創業メンバーによって設立されたSkypeとのつながりだ。Karma Ventures の主要投資家であるAmbient Sound Investments(ASI) は2003年にスカイプの4名の創業メンバーのエンジニアによって、スカイプの少数株を管理するために立ち上げられた。2005年末にスカイプがeBayに買収されたあともASIは存続し、アジアや欧米のスタートアップ30社に投資をし、10社がエグジットした。

こうしたASI時代の経験をベースに、欧州のシリーズAラウンドのスタートアップにフォーカスしたファンドが、今回Karma Venturesが新たに立ち上げたファンドである。Karma Ventures の創業パートナーである Margus Uudam氏とKristjan Laanemaa氏は、ASI時代からグローバルなポートフォリオ管理に携わってきた。そして、スカイプの創業エンジニアである Ahti Heinla氏とJaan Tallinn氏が、Karma Venturesの専属アドバイザーを務める。

成長を見せるバルト三国のスタートアップシーン

ラトビアの首都リガで先週2月11日に開催されたスタートアップカンファレンス TechChill で創業パートナーのUudam氏にファンドの目的について伺ったところ、「ASI時代のグローバルな投資経験を生かして、グローバルに展開したいスタートアップを支援したいと考えています。強いテクノロジーを有していれば分野は問わず、フィンテック、ヘルステック、エドテックなど幅広い分野を対象にしています」とのこと。

新ファンドの投資対象のスタートアップは欧州全体と幅広いが、これまでの投資活動やSkypeとのつながりを考えるとバルト三国や北欧地域のスタートアップが投資先候補に挙がる頻度は高くなりそうだ。この地域のスタートアップシーンを10年近く見ているUudam氏によれば、現在のバルト三国のスタートアップの質は全体的に以前よりもかなり成熟しているという。

以前は技術よりの人材ばかりがスタートアップに参加している傾向にありましたが、最近は技術以外の専門知識・経験を有する人材が企業からスタートアップに移る傾向も見られます。こうした変化が起きているのは嬉しいことです。また、スタートアップの数が増えている一方で、資金調達の機会はまだ足りていないと感じているので、今回のファンドによってそのギャップを埋めることができると考えています。

上;
上:ラトビアの首都リガで開催されたスタートアップカンファレンス TechChill

長年の経験を通じてビジネスを深く理解しており、良いネットワークを持っている人材がスタートアップに参加するという傾向は、フィンランドのノキアやエストニアのSkypeの影響が強い。「エストニアでは多くのスタートアップが元Skype社員によって立ち上げられいますが、これはスタートアップのエコシステムが拡大する上でとても健全なことだと思います」とUudam氏は言う。

こうしたファンドの設立によって、スタートアップの資金調達の機会が増している欧州。ベルリンやロンドンだけでなく、バルト三国や東欧のスタートアップエコシステムも確実に成熟しつつあると感じている。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録