日本のEコマース大手の楽天は、プレスリリースで、シンガポール、マレーシア、インドネシアのマーケットプレイスを閉鎖することを明らかにした。さらに同社は、Tech in Asia に対して、2016年3月までにこれらのマーケットプレイスを閉鎖することを確認した。約150人におよぶスタッフが解雇されることになる。楽天は現地法に従い、解雇対象者への就職支援、退職金支払を実施する。
楽天は2009年に買収したタイのEコマースサイト Tarad についても売却に向けて作業を進めていることを明らかにした。楽天は今回の閉鎖の理由を明らかにしていないが、新しいロードマップに沿った動きだとしている。前出した東南アジアのマーケットプレイスでは、楽天は Rakuma(ラクマ) という C2C モバイルアプリのリリースを計画している。
楽天グループは2015年の連結売上で63.4億ドルを計上しており、昨年売上の53.1億ドルよりも成長を見せている。アジアからの撤退を受けて、調子のよい日本と台湾に注力するようだ。Rakuma の東南アジア市場でのリリース計画は、楽天にとって困難をもたらした。東南アジアには Carousell や Shopee というトップの C2C マーケットプレイスがあり、既にこのゲームに参加するには遅すぎたかもしれないからだ。楽天ベンチャーズは Carousell への投資家であり、この出資は東南アジアで最も成長の速い C2C アプリを、楽天の傘下におさめていることを意味する。
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今回の閉鎖は、楽天が東南アジアから完全撤退することを意味するものではない。楽天の東南アジア地域本部はシンガポールにあり、ここには楽天ベンチャーズや楽天トラベルなどがあり、今後も営業を続ける。
楽天の東南アジアへの進出を時系列で見てみると次の通りだ。
- 2008年 5月 台湾で営業開始
- 2009年10月 タイのEコマースサイト Tarad を買収
- 2010年10月 中国で、Baidu(百度)と共同で、Lekutian(楽酷天)をローンチ
- 2011年 6月 インドネシアで、Rakuten Belanja を開始
- 2012年 4月 中国の Lekutian を閉鎖
- 2012年 5月 マレーシアで、マーケットプレイスを営業開始
- 2013年 3月 インドネシアの Rakuten Belanja が現地 MNC との JV を解消へ
- 2013年 4月 インドネシアの Rakuten Belanja が事業続行を説明
- 2013年 8月 楽天がインドネシアでの JV を解消
- 2013年12月 シンガポールのマーケットプレイスを営業開始
- 2016年 2月 インドネシア、マレーシア、シンガポールのマーケットプレイス閉鎖を発表
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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