Xiaomi(小米)、Lenovo(連想)、Huawei(華為)がAppleから顧客を奪えないのはなぜか?

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via Flickr by Tsahi Levent-Levi.
via Flickr by Tsahi Levent-Levi

2015年は、中国スマートフォンメーカーにとって素晴らしい年だった。確かにいくつかの誤算はあったが、大局的な見方では、やはりとても良い業績である。2015年第4四半期時点で、世界トップ5スマートフォンブランドのうち、3社が中国メーカーである(Xiaomi=小米、Huawei=華為、Lenovo=連想)。つい最近の2012年には世界トップ5に中国ブランドがどれひとつランクインしていなかったことを考えれば、これは目覚ましい成果である。

いまだに、明らかな隔たりが存在する。以下に示すのは、IDC の調査による、世界スマートフォンマーケットシェアの%表示である。Apple との間に険しい崖があるのに気づかない人はいないだろう。

中国の携帯電話メーカーが2015年に素晴らしい業績を収めたのは認めよう。しかし、彼らはこの崖を上りきることができるだろうか?Apple を倒すことは本当に可能だろうか?

答はノーだ。少なくとも、Apple の持つ市場のどこか一部を食うような形では、不可能である。なぜか?

第一に、中国メーカーは、Apple と共通の、明確なターゲット顧客層をもっているわけではない。Apple に読者諸氏がどんな悪口を言おうとも(筆者もつい最近、ネガティブなことを言ったばかりである)、Apple は自社のマーケットを理解している。そして、おそらく誰もが理解している。わかりやすい例として、iPhone のユーザを思い描いてみよう。読者諸氏の頭に浮かぶのはおそらく、若く、都会的なユーザであろう。シンプルなユーザエクスペリエンスを好み、モデルを頻繁に乗り換えたりはしない。優れた工業デザインの価値を認め、そして600~800米ドルのデバイスを買える経済力の持ち主である。

さて、Huawei のユーザを思い描いてみよう。どこにでもいるからこそ、とても難しいはずだ。価格帯は下から上までとても幅広く、同社は両手で数え切れないほどの異なるモデルを販売している。Lenovo もおよそ似たようなものだ。以前はシンプルだった Xiaomi でさえ、3つの主要製品シリーズと、各シリーズにわかりにくいモデル展開をしている(Mi 4、Mi 4i、それとも Mi 4c のどれを買うのがいいのだろう?)。

中国ブランドスマートフォンのどのモデルにも明確なターゲット市場がないというつもりはもちろんないが、iPhone の市場と重なるものは皆無である。3社いずれも低価格デバイスを販売し、戦略の焦点がひとつでないために、iPhone 市場における、Apple の一点に絞られた戦略には太刀打ちできない。中国メーカーは、多地域への展開でユーザを増やし、販売台数を増やすことはできるだろうが、Apple の市場に侵入できるようになる見込みは、3社ともに当分はないだろう。

加えて、Apple と中国メーカーは、同じエコシステムの中で争っているわけではない。技術的なことを言えば、iPhone 上で動いているもので、あまたの Android デバイス上で入手できないものはない。ひとつの例外、iOS を除いて。そして、iOS ネイティブアプリの多くが性能を落としていることを筆者は批判してはいるが、あるエコシステムをユーザが気に入れば、そこから抜け出すのは難しいということは疑いない。したがって、(たとえば)Xiaomi が iPhone のファンを魅惑するような端末を作れたとしても、同社は iPhone ファンに対して、iOS を捨てて Xiaomi の MIUI Android ROM に乗り換えるように説得しなければならないわけだ。

個人的には、筆者は Android が好きで、MIUI を以前試したときにはとても気に入ったが、それでも OS 乗換えを決意させることが困難であることは否定できない。最近の人々は生活すべてをクラウドにつないでおり、Apple ユーザであれば、つながっているのは Apple のクラウドであろう。あるエコシステムから別のものに乗り換えるのは苦痛であり、ユーザがそれを望むかどうかは、Xiaomi、Lenovo、Huawei のような OEM メーカーがコントロールできることでは到底なく、OS の根幹のフィーチャーや、アプリの入手性などによるものである。

もちろん、中国 OEM メーカーが Apple の売り上げを抜けないというわけではない。しかしそれには、異なるターゲット市場を狙うか、アフリカのような発展途上地域で新市場を切り開く必要があるだろう。Apple が売り上げを落とすということは、(たとえば平均点以下の製品を売るなど、)自ら過ちを犯さない限りないであろう。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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