
昨今のNokiaは、かつてとは大きく変わった。かつてのモバイル王者がMobile World Congress(MWC)で発表したのは、魅力的なニューモデルのスマートフォンではなく、5Gネットワーク、IoT(モノのインターネット)、およびセキュリティの3つのニュースだった(編集部注:原文掲載2月21日)。
NokiaはMWCの盛り上がりに向けて「何か大きな発表」があることをちらつかせていて、またそれはモバイルネットワークに関わるものであり、消費者向けのおしゃれな新型ハードウェアではないことも示唆していた。今日明らかになった「何か」とは、新規IoTプロジェクト開拓のための、Nokia Growth Venturesの助力による3億5000万米ドルの投資ファンド設立、既存のFlexiベースステーションの代替となる5Gネットワーク対応の携帯電話基地局製品、そしてカナダのネットワークセキュリティ企業Nakina Systemsの買収であった。
MWCで行われたNokiaの発表内容は、同社が最近フランスの通信およびネットワーク機器企業Alcatel-Lucentを166億米ドルで買収したことからの流れであるとも言える。実際Nokiaは以前、この買収により、5GネットワークやIoTといった将来のテクノロジーの開発を加速させられるだろうと語っていた。
「Alcatel-Lucentとの統合はスムーズかつ効果的に進捗しており、組織上の不安要素や衝突といった、従来の買収でよくあった問題は回避できています。」Nokia社長兼CEOのRajeev Suri氏はこう続ける。「NokiaとAlcatel-Lucentが一緒になれば、当社は1410億ユーロにも膨れ上がるであろう市場を攻略できるようになり、以前とはまったく異なるポジションに上がることが可能になります。当社およびAlcatel-Lucentの顧客に提供できる価値は、競合が比肩し得ないものとなります。」
4Gネットワークは現在でも多くの市場に普及している途中であり、5Gについて語ることは時期尚早とも思える。また、5Gは昨年のMWCのトピックでもあった。しかしNokiaは、すべてが5G機能に包含されていくと語る。
「当社は今年、5Gへの投資を大幅に増強し、我々のイノベーションの力を全力で発揮していく予定です。」Suri氏は続けて、「当社はすでに、5G現実化において最前線に立っており、膨大なネットワーク容量と接続性を確保しようとしています。これは当社の大局的なビジョンからくるものです。IoTのユースケース(使い方の実例)は5Gを必要としているのです。5Gの機能が人命を救い、環境を改善し、人々の生活をより良くすることに役立つとわかっているのであれば、私たちは5Gへの移行を早めなければなりません。ゆっくり移行している場合ではないのです。」
5Gネットワークが商業利用可能になるまでにはまだ4年ほどかかるとみられているが、5G対応のベースステーションを今発売することにより、ネットワークオペレータ(携帯電話事業者)は5Gテストを先行して行うことができる。
Nakina Systemsの買収は今春までに完了するとみられているが、これによりNokiaの5GおよびIoT戦略が補強されることになる。5GとIoTの時代では、セキュリティこそが最重要になるためだ。
今回のNokiaの発表は、MWCにおいては、より近い将来に関するその他ニュースに比べれば少し地味に見られるだろう。バルセロナで毎年行われるこのイベントはまさに始まろうとしており、LG、Alcatel、HP、そして王者Samsungの新型スマートフォンがすでに明らかにされている。Nokiaからの新型スマートフォンの発表はそれほど想定されていないが、このフィンランド企業はそのブランドと移動体通信の設計力を将来への投資に向けようとしている。そして、MWCは、他社からの「何か」がなければ、テクノロジー業界でのNokiaの新しいポジションを再認識する場となるであろう。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】
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