欧州のテック業界は予想以上に面白いーー欧州スタートアップに投資した1年で私が学んだこと

Vivek Goyal氏はNokia Growth Partners(NGP)投資メンバーチームの一人であり、GetYourGuide、Cedexis、Digital Lumens、WorkFusion、Indix、RapidminerとZoomCar に対するNGPの投資に携わってきた。この投稿は彼個人の見解を共有したものである。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Rock Cohen“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

昨年、成長ステージのベンチャーキャピタルファンドに従事するため欧州に移り住んだ。インドとアメリカのテック企業に投資した経験から、欧州のテックエコシステムは比較的小規模であろうと思っていた。しかし、昨年は目を見張る1年となった。欧州テック業界は思ったよりも規模が大きく複雑だ。

2015年だけでも、欧州の2400以上のスタートアップに140億米ドル以上が投資された。2009年の投資額50億米ドルの3倍だ。アメリカと中国がイグジット市場で注目を集める中、欧州もそれなりのイグジットシェアを得てきた。この5年間におけるアメリカのIPO(Criteo、KING、Zendeskなど)から欧州IPO(JustEat、Scout24、Zalando、Rocket Internet、Zooplaなど)、アメリカのテック大手による買収(Mojang、Deepmind、Skypeなど)からアジア企業による買収(Viber、Quandooなど)まで、様々な形態のイグジットは450億米ドル相当に上る。

地理的に遠い人々にとっては見えづらい、欧州での投資経験から学んだ重要な洞察をいくつか紹介しよう。

1. 複数のセクターにおいて欧州のイノベーションは進んでいる。
ファッション、音楽、ゲームやフィンテックといったテック部門では欧州がアメリカをリードしているのだ。Spotify、SoundCloud、Shazamといった音楽テックスタートアップはすべて欧州から生まれている。

フィンランドは長らく、世界初のモバイルゲームSnakeをはじめ、Angry Birds、Clash of Clansといったモバイルゲーム企業の温床であり、人口500万人の国からこれほど世界的な成功を収めるゲームが誕生したことは興味深い。世界初P2Pレンディングサイトの一つであるZopaが設立されたロンドンは、今では多くの革新的フィンテックスタートアップのホームとなっている。ファッション業界では、Vente-Privee(フランス)が2011年フラッシュセールサイトコンセプトの先駆けとなった。しかし、企業ソフトウェアイノベーションにおいて欧州はアメリカに遅れをとっている。

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2. 問題は、欧州市場の断片化である。アメリカの投資家の指摘によると、欧州では個々の市場は小さく、国をまたぐのは難しい。欧州内の法律や規制もさらなる足かせとなっている。しかし、こういった問題がある一方で、起業家は欧州全体に向けてアプローチするケースが増えている。これまで見てきた成長ステージの企業数社は、すでに2つ以上の市場で活動しているか、複数の市場征服に向けた明確なプランを持っている。BlaBlaCar、GetYourGuide、GoEuro、Babbelなどは、早い段階でホームグラウンド外に進出している。

3. 欧州では成長ステージで資金不足に直面する。欧州におけるシリーズBとシリーズAラウンド(またはシード)の割合は、アメリカと中国に比べて格段に低い。欧州ではレイトステージでの取引はまれだ。2015年、VCが5000万米ドル以上の出資をしたケースは、米国では約175、中国では75、欧州では35だった。また、欧州の企業は米国に比べると各ラウンドで調達する額は比較的少ない傾向にある。

4. 欧州ではシェアリングエコノミーがより一般的だ。AirBnBはアメリカで設立されたが、同社で事業を行う者の50%以上は欧州を拠点としている。AirBnBのトップ都市10のうち、6都市は欧州で、パリが1位となっている。シェアリングエコノミーが好意的に捉えられるようになる前でも、欧州都市では多くの自転車や車のシェアリング事業が存在した。

自転車シェアのコンセプトは1990年代後半に欧州で始まり、今でも欧州は世界の自転車シェア事業の70%を占めている。同様に、世界のカーシェアリング市場においても車全体の40%が欧州、30%がアメリカのものである。とは言うものの、この好機をつかむために最も多くの投資ラウンドを行ったのはアメリカの起業家たち(AirBnB、Uber、ZipCar)だった。

5. 欧州企業はもっと積極的に動くべきだ。欧州企業がアメリカから学ぶことがあるとすれば、それはグローバル展開をする野心と積極的な行動力である。ほとんどの欧州起業家は、自身の商品がどれほど優れていてもビジネスにおけるピッチは控えめな印象を受ける。インド出身でアメリカで働いていた私は、グローバル展開への意欲をピッチし、最初の段階から大きなビジョンを持つことに慣れている。さらに言えば、VCはもっと多くの欧州企業が世界規模で展開できることを示す役割を果たすべきなのだ。

6. 言語は投資を妨げる理由にはならない。欧州で10ヶ国以上の起業家に会ったが、ほとんどの場合、ファウンダーは通訳を介さずとも流ちょうな英語を話す。ローカルな言語を理解することが欧州における取引に必須というわけではない。例えば、中国では弊社の現地拠点にたびたび通訳を頼まなくてはならないことに比べると、日常的な意思疎通はずっと簡単だ。

7. 資本効率は欧州のDNAに宿っているようだ。2011年と2014年の間で1億米ドルを超える価値のイグジットは少なかったが、これらのイグジットの資本効率は非常に高く(イグジット価値/総資本投下額で計算)、8.1倍のアメリカに対して18.6倍であった。伝統的に、欧州スタートアップは比較的人件費が安く、事務所スペースの賃料も全体的に安い。加えて、欧州では消費者向けインターネット企業の顧客獲得費用はアメリカに比べて低く抑えられる。

8. 労働時間が規制されているというのは早くも神話になりつつある。欧州政府が従業員の勤務時間に上限を設けているのは事実だ。しかし、パリ、ロンドン、ベルリンとストックホルムのスタートアップハブにある事務所を訪れた際、そうした状況は見られなかった。新種の欧州起業家は、時間も曜日も関係なく喜んですべてを捧げている。

欧州のテックエコシステムには予想以上に面白い。そして、欧州のマントラ(私が堂々と大切にしているもの)はシンプルだ。ワインを飲んで型破りなことをしよう!

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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