デモデイはローンチ戦略の場ではないーー製品の検証とユーザー獲得のためにやるべき5つのこと

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Dana Oshiro氏はHeavybitのプログラムディレクターで、開発に注力するスタートアップが製品をローンチする際の支援をしている。Heavybit以前は、Code for Americaのマーケティングマネージャー、NetShelterのシニアメディアアナリスト(Ziff Davisに売却された)、HerokuとSalesforceのコンテンツストラテジストを務めていた。

Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

デモデイはローンチ戦略の場ではない。ステージで成功するよう根をつめて作業し、製品とプレゼンテーションを作りあげる。しかし本当のところは、プレゼンテーションの聴衆であるベンチャーキャピタリストやテック系ジャーナリストは、製品のエンドユーザーではない可能性が高い。一般的に、デモデイに集まるプレスもまた、エンドユーザーではないのだ。

製品開発をしている企業で資金調達を狙っている場合は、デモデイで自社の製品が話題になることもあるので、デモデイは最高の機会となる。しかしそうでなければ、デモデイとプレスへのローンチは、それよりも優先して急いでやるべきことの妨げにしかならないかもしれない。

アーリーステージの製品開発をする企業(およびスタートアップ一般)にとっての最大の問題は資金調達ではなく、トラクションと売上だ。自らの製品を確実に検証し、有機的にユーザーを獲得し、製品とフィットした市場を見つけていれば、時が来てサンドヒルロード(訳注:シリコンバレーのVCが集まる通り)に行っても問題は起きないだろう。デモデイに向けて追い込みをかけていない企業に対しては、一般ローンチが近くなるまではPR向けの作業を保留すべきだというのが私の主張である。

製品の検証と、トラクションの獲得

プレス向けローンチは、よく組み立てられた、エベレストに登頂したセルフィー(自撮り)のようなものだ。最終目的はプレスへのお披露目ではなく、持続可能なビジネスを立ち上げることのはずだ。

実際にするべきことは、山登りにおいて他人より一足先に進むことである。プレスローンチの前に行うべき泥臭い実作業、それが製品の検証だ。それは、潜在的カスタマーとの会話を通して、下記のようなことを洗い出すことを意味する。

ー 自社製品の最初のユーザー、支持者、顧客
ー 彼らが抱える問題と、目の前の要求を解決する製品機能
そして、
ー 現時点での値付けに対する考え

製品の検証とトラクション獲得において、私が最良だと思うアドバイスをSteve Blank氏の名言から盗用させてもらおう。「Get out of the building(ビルの外に出よう)」だ。

以下は、製品を開発する初期の企業がメディア向け資料を作成する前に注力すべき、顧客の発見と製品の検証のための手法である。

技術のインフルエンサーにアプローチする:
自社の分野での技術的なインフルエンサーのリストを作ろう。これには、自社製品の補完となる製品を作った人、自社のカテゴリのカンファレンスでキーノートスピーチをするような人、そして自分の仮説に挑戦してくるような人などだ。この中からできるだけ多くの人と話し、彼らのニーズや困っていることを聞き出し、オフィスやミートアップ、または彼らがそこにいれば、カンファレンスの場でデモをしてみよう。

目的は製品を売ることでなく、製品と市場についての仮説が正しいか正しくないかを検証することである。これらのミーティングで、機能の優先順位付け、ユーザーターゲットの絞込みを行い、それに伴い説明を改善していこう。

紹介を得る:
前述のような技術のインフルエンサーにデモをすることができたら、eメールの受付ページを作成し、招待者にさらに他の人を紹介してほしいと依頼しよう。こうしてネットワークを広げつつ、同時に自分の製品を改良していこう。

少し状況の整理ができたら、自社製品の改良履歴を書類化し、大きなアップデートや機能リリースを初期テスターに知らせよう。こうすることで、彼らの意見を聞いていることを示し、コミュニティでの主導権をさらに高めることができる。

アーリーアダプターを洗い出す:
協業したい顧客企業のリストを作り、ユーザーのリストと対比してそこに重複があるかを確認する。もしあれば、さらに大きい組織が必要かを確認するための質疑応答のフォローアップを考慮してみよう。ここでも、まだ販売はしない。ここではっきりさせるのは、製品の必要最小限の機能と、初期の価格帯である。

広範囲のネットワークへのアナウンスが準備できたら、自社サイトをProductHuntに登録、またはHackerNewsにShowHNとして登録してみよう。オープンアクセスを提供するのではなく、招待ベースでのアクセスにするとよい。これにより、製品の十分な検証の前に多くのジャーナリストがアクセスすることを防げる。新規ユーザーを観察し、興味深い潜在カスタマー、特異なユースケース、サクセスストーリーを洗い出そう。

サクセスストーリーを収集する:
ユーザーの誰かが自社製品を多くの人が目にするコミュニティのプロジェクトに使ってくれたら、そのストーリーを共有させてくれるよう頼んでみよう。サクセスストーリーは製品普及やコンテンツマーケティングをより良くする隠し味である。

自社製品をミートアップやブログ投稿で直接語るより、実在する人の事例として強調することで、製品の実力の根拠を直接示すことが可能になる。多くの企業が、このようなユーザーやプロジェクトをミートアップの場で獲得しようとする。このようなユーザーはときに自社の最初のエバンジェリストとなってくれる。

カスタマーのストーリーを収集する:
あるユーザーが自社製品を広く知られた組織で使ってくれたなら、そのストーリーを共有する許可を求めよう。カスタマー向けのウェブページやプレス向けの作業を始める準備ができたら、そのユーザーの事例の影響を有効利用して、彼らのお墨付きを自社製品のものとして利用しよう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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