アプリ・ハード・クラウドの3軸で運送業を支援ーーHacobuは物流業界にイノベーションを起こす

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Hacobu

私たちの日常を支える物流。運送業の世界には、約6万社の企業が存在しており、その9割は中小企業だということをご存知だろうか。そして、この領域においても、仕組みを大きく変えようとアプローチするスタートアップが存在する。

物流業界向けに、アプリケーション、クラウドサービス、ハードウェアの開発をを手掛ける Hacobu が本日より、運送業支援クラウドシステム「MOVO クラウド(ムーボ・クラウド)」の提供を開始した。

「MOVO クラウド」は、運送業における業務システムおよび運行管理システムを、クラウド上で無料で提供するシステム。運送業務においては、案件入力、運賃計算、請求書発行のシステム化を通して、手入力作業の大幅に削減する。

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運行管理においては、運転手が利用するアプリ「MOVO App(ムーボ・アップ)」を通じて、運送トラックの GPS・リアルタイム情報がシステムに送られることで、運送トラックの位置情報・走行状況を把握する動態管理、荷積み・荷下ろしの状況を把握するステータス管理、トラック稼働時間の把握に基づく安全管理をクラウド上で可能にする。

Hacobuは、クラウドとアプリに加えて、デジタコと呼ばれるデジタル運行記録計「MOVO Hub(ムーボ・ハブ)」の開発も行っている。現在、7月に発売を予定して開発を進めているそうだが、このハードウェアを導入することで、さらに運送・運行管理の効率化と低価格化の実現を目指す。

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車の配線と接続するデジタコは、国土交通省が取り付けの義務化を推進しており、その対象となる車両は今後拡大していく見通しだ。

1トン車、2トン車などの小型車は義務の対象になっていない。また、運送業には配送の仕事を下請けする「傭車」というものが存在する。

運送業者は、自社で管理する義務化の対象となるトラックに対してはデジタコを設置し、小型車や傭車に対してはアプリをインストールしてもらうなど、アプリとハードを使い分けて配送の管理を行うことになる。

今後、拡大が予想される領域において、Hacobuはクラウドサービス、アプリ、デジタコを圧倒的な低価格にて提供する。アプリは月額960円、デジタコは既成品の10 万円~20 万円台の価格に対して、3万円程度に。そして、クラウドサービスに関しては無料で提供する。

無料で提供できる大きな理由は、Hacobuが思い描くビジョンが、業務システムおよび運行管理システムの提供に留まらないことが関係している。

Hacobu代表取締役の佐々木 太郎氏は、「まだ情報を公開することはできませんが、ビッグデータを用いた次のフェーズで回収することができると考えています」と語っている。Hacobuは、ベンチャーユナイテッド、YJキャピタル、大阪ガスの子会社であるオージス総研から出資を受けており、その資金で開発を進めている。

次のステージに行かなくとも、Hacobuの広がりは十分に考えられる。同社はリモートでリアルタイムに温度管理をするセンサー「MOVO Sense(ムーボ・センス)」の開発も行っている。こちらも、2万円~4万円台の他社製品に比べて、低価格な6千円程度で2016年7月より販売を開始する予定だ。

Hacobuは、アジアで陸運が盛んなエリアへの展開も見据えているという。アジアではデジタコの義務化は行われていないものの、管理側のニーズは日本と共通しており、アプリとクラウド、そして温度センサーをセットにすることで、利用者を増やすことが可能だと見込んでいる。

佐々木氏は、前職の際、コンサルティングとして森永乳業の卸子会社のプロジェクトに携わっていたそうだ。クライアントの企業は、全国に10の物流子会社があり、いかに物流効率を上げるかが経営課題だったという。このときの経験から「MOVO」が生まれた。

「MOVO」のリリース後、どうプロダクトを広めていくのかに関してだが、佐々木氏が関わっていた森永子会社が代理店として販売を行う。運送業界は横のつながりが強く、このネットワークからユーザ増が見込めるという。

広がりを予感させるHacobuの「MOVO」サービス。同社が物流業界をどう変えていくのか、楽しみだ。

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