Yammerとの給料交渉で、1万5000ドルアップを成功させた方法

著者のAnna Marie Cliftonさんは、Yammerのプロダクトマネージャーです。本稿はMediumに掲載された記事をご本人から許可を得て抄訳したものです。Twitterは、@TweetAnnaMarieでフォローできます。

1-nDn5qua84yLDzZrkpEmUpg

初めてある人をデートに誘ったとき、私はプチパニックに襲われた。正直に言うと、彼がイエスといったのかもよく分からない。電話の向こうで彼がなんと言ったのか聞き取れなかったのだ。「一緒にでかけない?」という言葉を発するやいなや、アドレナリンが放出されて、私は耳に血が上ってくる音と、頭の中に響く「電話を切れ、電話を切れ、電話を切れ。逃げろ!!」という叫びしか聞こえなかった。

こんな感情に襲われたのは自分でも驚きだった。とにかく恐ろしかった。手の震えが止まり、再び普通に思考できるようになると、もうこんな感情を味わうのは止めようと誓った。

どうすればいいか? 練習だ。

翌日から、私は新しい日課を開始した。なにかのソーシャルなイベントに毎日参加し、もっとも興味がもてる男性を選んで、電話番号を聞いて、次の日には一人一人に電話をしてデートに誘ったのだ。

数週間実行すると、十分なデートファネルなるものができあがった。

聞いた電話番号の数 40個/週
実際に教えてもらえた数 10個/週
デートまで実現した数 6回/週

私は忙しかったが、それ以来誰かをデートに誘うことに緊張しなくなった。

恐いと思っていることを乗り越えるための一風変わった方法は、ただそれを実行することだ。

この教訓は何年も私の心に残った。最近の面接で給料の交渉で緊張したときには、その不快感を乗り越えるためにできる限りの努力をして、最高の結果を出すために交渉した。

どんなに大変だったとしても、こうしたことがよりうまく、気負わずにこなせるようになっていった。

月曜日

Yammerでの最終面接の3日後、採用担当者から「条件について話す」ための時間が欲しいというメールがきた。

最高の気分。この部署に加われることに胸が高鳴った。
緊張。話し合いの電話まで2時間しか準備時間がない。
リサーチ。そのポジションの報酬についてリサーチを重ねた。
助言。信頼する友人4名に電話をして、自分が話そうと思っていることを伝えた。
練習。考えられるあらゆるシナリオごとに、回答を練習した。

時刻は3時になり、私はパワーポーズをとった。担当者からの電話がなり、やりとりが始まった。

応募したチームはあなたのことがすごく気に入っている。喜んでオファーを出したいとのこと。すばらしいニュースだ。

彼は質問した。「有利なオファーを出したいので、あなたが求めていることを教えてくれませんか?」

私は意図的かつ正直で、練習をこれ以上ないほど重ねた回答を返した。

「給料は一番の決定要因ではありません。Yammerでの挑戦とチャンスにとてもワクワクしています。きっと、全員が納得する形で話がまとまることと思ってます」

報酬を具体的に言わなかったのはわざとだ。多くの交渉に関するアドバイスが「セカンドスピーカー」になれと説いている。条件を口にした最初の人が、その時点で会話の方向性を決定する。お菓子一箱の取り分について交渉している際に、あなたが半々に分けましょうと言ったとしたら、あなたは私が交渉できる余地のある低いハードルを設定したことになる。

具体的な報酬やその幅を口に出さないことで、私は採用担当者が低いハードルを設定して、私にそれを上げられる余地を与える状況をつくった。担当者は当然、最初に私から話してもらって、上限を設定したいと思っていた。

彼は直接的には質問をしなかったが、その後の30分に感じられたような5分の間に、私に何かを言わせようとした。

警戒を取り除く「Microsoftは過小評価しません。その点は懸念されていないといいのですが。」
有用な情報「ストック・オプションをもつ社員もいます。その点を考慮に入れることはできるでしょう。」
友好的な態度「もちろん、ある程度柔軟に額は動かせますよ。ですが、まずあなたの希望について情報をいただけると助かるのですが。」
などなど。

なにか言われるたびに、私は落ち着きはらって穏やかに、お互いをライバルとみなしていないという安心感を与えながら、具体的な額を言わないという決意を守っていた。

二人の間の緊張感はすさまじく、私は気まずかった。会話の間は階段を上ったり降りたりしながらエネルギーを吐き出し、呼吸を整える必要があるときだけ立ち止まった。この会話は非常に疲れるものだった。

でもやりきった。

会話は無事に終わった。私たちのどちらも具体的な額を言うことなく。彼は部署と具体的な条件について話し合うと言い、翌日また詳細の話をすることになった。

火曜日

遅い午後に担当者から電話が入った。承認を得られた条件が確定したが、自分は今日この後ずっと外出するため、次の日まで情報を伝えられないという。私は問題なかった。

その日、姉と飲みに行って、具体的な報酬を提示されたらどのように回答するかを話し合った。

その額が低いものだったら、大きく上げてもらいたいと求めるだろう。だが、それがある条件を満たしているものだったら、きっと少しだけ上げてもらうことを頼んで、それに対する回答がなんであれ、それを受け入れるだろうと。

だが、そうすると月曜日に交わしたやりとり、自分の期待値に近い高い給料を提示された場合でもより高い給料を交渉するためのやりとりの意味がなくなってしまう。姉は、この過程をやり抜こうと決めた当初の気持ちを思い出させてくれ、強くいるんだと励ましてくれた。

「高い報酬を提示されたら、さらに1万5000ドル多く求めてみるの。練習のためにやるのよ。交渉をしない女性のために、そしてあなた自身のためにも。上がった分をもらうことが気まずいんだったら、その分をMicrosoftのすばらしいチャリティプログラムに寄付すればいいのよ!」

水曜日

担当者から時間通りに電話がきた。短い挨拶のあと、すぐに本題に入った。

彼は条件の詳細を順に述べていった。私は静かに聞いていたが、時間はとてつもなく長く感じられた。全身で落ち着いた態度を保とうと必死になっているとき、わずかな沈黙がどれだけ長く感じられるものか驚いた。

彼は基本給を言ったあと、一息ついた。期待しながら。

その額は、私が期待していた範囲の中でも高い額だった。

さまざまな考えが頭を駆けめぐったが、沈黙をできる限り長く伸ばして、はっきりとしない「うーん……」という相槌を発した。彼は他の条件についての説明へと進み、私は最後まで沈黙を保った。

説明が終わると、私はいくつかの質問をして、こう返事をした。

「繰り返しますが、この部署についてはとてもワクワクしています。A、B、Cに関しては私の期待に沿うもののようですが……基本給の年収に関しては、さらに1万5000ドル高い額を期待していました。」

ぐわーー。耳に血が上ってきた。まさに数年前のあの瞬間のように。だが、期待を保って、なんとか乗り越えようとがんばった。心臓をバクバクさせながら、私は返事を待った。

採用担当者は動じなかった。彼は部署に確認すると言った。また、さらに1万5000ドル高い額を提示すれば、すぐにサインしてくれるか、他の会社と進めている話を打ち切ってYammerにコミットしてくれるかどうかを私に確認した。私はイエスと言った。他に内定もなかったし、もしその条件がかなえばオファーを喜んで受け入れたいと思った。

「すぐに折り返しますね」彼は電話を切って、私の代わりに交渉に入ってくれた。

数時間後、彼は私の希望に合った内容に変更した条件とともに再度電話をかけてくれた。もちろん、多少の変更はあったが。長期的なインセンティブの調整はあったが、それは私にとってまったく問題ないものだった。

ヤッターー!!

怖くて大変なことを無事にやり遂げたのだ。私は給料交渉に不安を感じている他の女性たち(そして男性にも!)に共有できる多くのことを学ぶことができた。

主な学び

ー 沈黙は友なり
話すことを期待されるプレッシャーは気が滅入るものだ。しかし、何も言わないというスキルは、口に出そうと考えていることの多くに比べれば大きなものだ。

ー 決定を引き延ばすための、誠実な方法を見つけること
自分にとってベストな条件を見つけてもらうよう、採用担当者にプレッシャーをかけること。だが、本心から話すことが大事。そうすることで、会話の駆け引きの中でも落ちつきを保てるはずだ。

ー より多くを求めることを恐れないこと
企業があなたにオファーを出すほどあなたのことを気にかけているのであれば、より多くを求めたからといってオファーを撤回することはないはずだ。最悪の場合でも、企業はできる限りのオファーを出したと返答するだけなのだから。

ー BATNAを知って、有利に交渉を進める
BATNA(最も望ましい代替案)というのは、Roger Fisher氏とWilliam Ury氏が1981年の著書『ハーバード流交渉術 』で提案したすばらしいコンセプトだ。

簡単に言うと、最も望ましい代替案が良いものであるほど、会話を有利に進めることができるというものだ。そして、代替案を出すことを恐れないこと。私は他の企業とも話を進めていたため、必要であれば交渉を離れることもできる立場にあった。それによって、期待していた金銭的な条件を得ることができた。あなたのBATNAを知って、時機を見計らって、それをオープンに告げること。あと、『ハーバード流交渉術 』もぜひ読んでみて!

(翻訳: 佐藤ゆき)

----------[AD]----------