Malachy Moynihan氏は、AppleやCiscoで勤務してきたシリコンバレーのベテラン。前職では、「Amazon Echo」のハードウェアとファームウェアを開発するチームを率いていました。
Echoが発売されるよりも前に社を離れた彼が次に挑戦したのは、スマートジューサー「Juicero」。ネスプレッソのようにポーション・パックで野菜ジュースを作ってくれるハードウェアを開発し、7000万ドル(約79億円)調達しています。
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ネスプレッソみたいなポーション・パックで野菜ジュースを作ってくれるスマート・ジューサー「Juicero」が7000万ドル(約79億円)調達
4月の初めに700ドルという価格でJuiceroをリリースしましたが、現在その評価は真っ二つに割れている様子です。
Juiceroは使用後に洗浄不要なのが画期的ですが、8オンスのコールド・プレスジュースを作るたびに4~8ドル近くかかってしまうようです。
ただ、AppleやAmazonで勤務してきただけあります。Moynihan氏がチーフ・プロダクト・オフィサーとして加わる前のプロトタイプのJuiceroにはタッチスクリーンや幾つものボタンやダイヤルが付いていたのですが、それをMoynihan氏はボタン1つのシンプルなデバイスに昇華させました。
「私が加わることで、チームをまとめ、このジューサーを実際に生産可能で安全な製品に仕上げ、製造ラインを整える手伝いを多少は出来たと思います」
とMoynihan氏は語っています。
彼がJuiceroに関わることになったのには幾つか理由があります。まず、2014年にCEOのDoug Evans氏と出会ったこと。Evans氏は以前Organic Avenueというコールドプレス・ジュースやオーガニック・フードのチェーンを経営していました。Moynihan氏自身も、アイルランドに農場を持っており、この分野に詳しいということもありました。
「IoTが普及する中で、電球やスイッチやソケットなどがネットに繋がるようになってきました。でも、それだけでは十分ではないのです。」
とMoynihan氏はRe/codeのインタビューに答えています。
この点、Juiceroはジュースの袋に付いているコードをスキャンすることでまだ新鮮かを判断できたり、野菜や果物の種類に応じてプレスの速度や強さを調節できます。また、新しいレシピのジュースが利用可能になると、ソフトウェアがアップデートされ、そのレシピに合わせたプレスの速度や強さ、時間を自動で調節してくれもします。
配達のロジスティックスさえ上手くいけば、値段だけの価値のある製品だと人々に分かってもらえるかもしれません。
なぜローンチ直前にEchoから離れたのか。Moynihan氏は、
「自分の中のスタートアップ魂とでも言うべきものが顔を出してきたと言えばいいのでしょうか、EchoやFire TVも含めAmazonでの2年でやれることは全てやった気がしてきたのです。」
と答えています。Echoを成功に導いた手腕で、700ドルのジューサーも成功に導けるのか、IoTのひとつのスタンダードを作れるか挑戦になりそうです。
via Re/Code
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