香港SCMP紙、Alibaba(阿里巴巴)による買収後に有料購読システムを廃止——収益源は他事業に期待

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Image Credit: SCMP corporate website

中国の大手テック企業は市場シェア拡大のためなら大金を費やすこともいとわない。今回 Alibaba(阿里巴巴)が新たに買収した、香港拠点メディア企業で高級紙の South China Morning Post(SCMP、南華早報)は、サイトの有料購読システムを廃止した。

世界中の新聞社が売上拡大のためにビジネスモデルの改革と課金制度を追求していく中で、SCMP はサイトの有料購読を正式に廃止し、読者数拡大と広告収入増大に賭けた。

Alibaba(阿里巴巴)社長の Jack Ma(馬雲)氏は、SCMP 紙の記事の中でこう述べた。

今私たちが主眼に置いているのは、必ずしも、正しいメディアのビジネスモデルの追及というわけではありません。私たちの優先事項は、読者の皆様の購読習慣によりよく適合していくために、どう変革していくかということです。

SCMPの主筆編集者 Tammy Tan(譚衛兒)氏は、次のように述べた。

有料購読システムの廃止により、SCMPは世界的に読者数を増加させる道筋を整えることができます。

この戦略は、中国テック企業の最近の拡張トレンドと合っている。導入障壁(コスト)を抑えて高い市場シェアを狙うのは、Alibaba が同社のeコマースプラットフォームおよび買収してきた製品、サービスで実行してきたことである。同社は中国のオンデマンド業界を牽引しており、バーンレートの高いスタートアップやサービスに大量の資金を供給してきた。

この戦略が中国で生まれたのには理由がある。巨大市場の飽和と高い割合のモバイル人口が、利益度外視の戦略土台を作っている。中国は、急成長するモバイルユーザ層に対して低コストで買いやすいエントリー機を提供することで、Xiaomi(小米)があっという間に世界で最も企業価値の高いスタートアップのひとつに成長した市場である。

しかし、利益度外視でユーザ数を増やすという Ma 氏の戦略は、紙のメディアの世界で実証されたものではない。Ma氏は有料購読システム廃止について、次のように語った。

無料のサービスは質が低いわけではありません。むしろ、無料かつ高品位のサービスを提供することが、私たちの成功と持続的成長のための手法なのです。

彼は、同社のコンシューマeコマースプラットフォーム TaoBao(淘宝)の成長を引き合いに出しながらそう語った。

SCMP の有料システムを廃止し読者数を拡大することの最大の利点のひとつは、広告のリーチを高め、結果として同社のeコマースプラットフォームにより多くの消費者を呼び込める可能性であろう。Alibaba は同様の目論みでエンターテインメントやその他のIPコンテンツ事業に重点的に拡大してきた。SCMP 以外のアフィリエイト事業からトラフィックを SCMP に誘導していくことで、有料顧客層を同社の急速にグローバル化するプラットフォームに引きつけることができるかもしれない。

SCMP の連結売上高は、他のいくつかの出版事業も含めても2015年に1億6,000万米ドルであり、Alibaba のその他の収益源が123億米ドルを生み出しているのと比べれば、大海の一滴のようなものである。同社は有料システム廃止による売上減を、広告収入や同社eコマースの売上増でいくらかでも取り返すことを狙っている。

Alibaba が SCMP を買収したのは、Amazon 創業者 Jeff Bezos 氏 Washington Post 紙を買収したことといくらか類似しているが、Bezos 氏はアメリカの新聞社のビジネスモデル改革に重点を置いており、紙面の再構成、同社のニュースリーダーアプリなどデジタル専用機能を導入したことは認識しておくべきだろう。Alibabaと Ma 氏は、今後の SCMP で起こり得る変化については固く口を閉ざしている。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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