2016年のバーチャルリアリティの発展に期待できること

Tipatat Chennavasin氏はThe Venture Reality Fundの共同設立者である。冒頭に紹介したChennavasin氏によるレポート250-plus VR Landscapeはリンク先を参照してほしい。

Above: A Latin American journalist tries out Until Dawn: Rush of Blood in virtual reality on the PlayStation VR at PSX. Image Credit: Dean Takahashi/GamesBeat
上: PSXのPlayStation VRで『Until Dawn: Rush of Blood』をVRで試している南アメリカのジャーナリスト
Image Credit: Dean Takahashi/GamesBeat

バーチャルリアリティ(VR)はついに私たちの手の届くところにあり、それは私たちの想像を超えている。Oculus、Facebook、Samsung、HTC、Valve、ソニー、そして(当然だが)Googleといった大手テック企業が先鞭をつけており、それに続くのが、開発者、デザイナー、その他VRに夢を見る人々などによるエコシステム全体である。皆、VRの明るい未来を夢見ておりその未来では、誰もがヘッドセットを装着していることだろう。

私は250を超える将来有望な企業をこちらのレポートでリストアップしている。これらの企業は40億米ドルの資金を調達し、市場規模を150億米ドルにまで成長させている。

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「できるかできないか」ではなく「いつできるか」

VRのルーツは、80年代、90年代に死んではいなかった。ただ、コンシューマー向けのVRはその頃まだ未成熟であった。しかしVRは、世界中の学術研究、軍事研究の場で成長してきた。今日におけるVRの復活は、コンピュータが実験室の段階を抜け出し、メインフレームからパーソナルコンピュータ(PC)に進化したときと似ている。コンシューマー向けVRはリーズナブルな価格になっており、ユーザエクスペリエンスの質も高くなっている。

20万を超える開発者と、世界中で少なくとも700社はあるスタートアップ、そして前述したような大手テック企業が参画しているVRは、「できるかできないか」の段階を過ぎ、「いつできるか」の段階に来ている。最初は熱心なファンだった人が開発者になり、最終的にはVRに投資するという流れの中で、急速に成長と進化を遂げているVRのエコシステムに焦点を当てることは重要であった。

この記事の目的は、VRで目覚ましい成果を上げている企業を取り上げることと、彼らがVRという新しいメディアで見出している革新的なユースケース(使い方)を取り上げることの両方である。また、ここでは資金を調達できているか、メディアから大きな注目を浴びている企業に絞っており、数え切れない超初期段階のスタートアップやステルス(秘密裏に進めている)スタートアップは意図的に除外している。

ここでの目的は、すでに投資ないしはメディアの関心を集めている例を示すことで、VRで投資する価値があるのは何かを検証することだ。この業界の見通しをよくすることは業界自体のためにも重要であり、それによりパートナーシップが発生するかもしれず、また、業界に参入しようとする者が早期にキャッチアップして参入できるようになるだろう。

本記事ではまた、VR業界のメガトレンドも紹介したい。

VRは驚くべきクオリティになっているが、改善の余地もまた大きい

Oculus、Valve、ソニーはVRを手頃な価格にしただけでなく、デバイスの品質も高めることで、技術的に大きな課題であったシミュレータによる乗り物酔いを商品設計の良さで解決できる問題に変えてきた。もちろん、Retinaディスプレイや触覚フィードバックなど改善できることは山ほどあるが、これらのVRシステムは、最初の世代の(デスクトップコンピュータにワイヤで接続されていた)デバイスの頃から比類なき強力なものであった。

最初にモバイルありき

Image Credit: Samsung
Image Credit: Samsung

パーソナルコンピュータがデスクトップからモバイルに移行するのに数十年かかったのとは異なり、有線とモバイルのVRデバイスは同時に作られている。そしてコンシューマー向けでは、SamsungのGear VRやGoogle Cardboardは、よりパワフルだが取り回しの悪い(有線接続の)VRデバイスより先に登場した。多数派に受け入れられているものといえば、これらの手頃な価格のモバイルVRシステムであり、すでに500万人を超えるユーザが存在している。

モバイルデバイス上で動作するので、モバイルVRはPCや据え置き型のものに対して機能は制限されている。それでも、360度のビデオやカジュアルなゲームはVR初心者としては注目すべきものであり、100米ドルの価格(Cardboardはさらに安い!)は、妥当どころではない。デスクトップVRの価格と比べてみるとよいだろう。Viveは800米ドル、Riftが600米ドル、PlayStation VRが500米ドル。これはコンソールのハードウェアを含まない価格である。そして、Cardboardは技術的にみれば最も簡素なものとして登場しているが、Googleは同社がモバイル上でVRを一般普及させるという意思表示として、今年初めにVRの正式な事業部を発足させている。

ツールが重要

VRのクリエイターが従来の製作ツールやワークフローを踏襲することもあるが、VRが本当に普及するには、従来よりはるかに簡単に効率よく、VRにふさわしいユーザエクスペリエンスを作成できなければならない。だからこそ、VRコンテンツ作成環境をより良くするためのツール、プラットフォームに多額の投資が行われている。「小市民ケーン(映画)」、スーパーマリオブラザーズ、はたまたMicrosoft Officeといったキラーコンテンツを取り入れるために多くの実験と失敗を重ねなければならない新しいメディアであれば、それは特に重要である。

コンテンツ、コンテンツ、コンテンツ

投資家は基本的には、ヒット作に過度に依存するコンテンツビジネスには手をつけないものだが、プラットフォームが移行するとき、その移行が類まれな投資機会を作り出す。VRコンテンツはまだ巷にあふれるようなコモディティ化はしていないため、この業界の競争で勝ち、優れた製品だけでなく新ブランドやIP(知的財産)を築くことも難しくはない。これが、VRゲームやコンテンツのスタジオに投資することは、従来のスタジオに投資するより意義深い理由である。だからといって、VRに転向するだけでベンチャーキャピタルの投資が受けられるわけではない。優れた製品と優秀なチーム、そして過去に製品だけでなく企業として抜きん出た成功の実績が必要である。

ゲームやエンタメのためだけではない

VRがゲームやエンターテイメントだけに向いているというのは、よくある誤解である。VRは確かにゲームや映画などのストーリーにより没入でき、心に訴えてくるが、この没入の深さはまた、教育、ヘルスケア、デザイン、コミュニケーションその他多くのことを革新してくれる。

VRにより真のスケール感や全体像がもたらされることが重要な意味をもつタスクはいくつかある。VRはまた、デジタルの世界に実在感をもたせ、これまでのメディアが不可能であった感情移入も可能になる。ふさわしいユーザエクスペリエンスがあれば、VRは「ゲームチェンジング(業界のルールを変える)」だけでなく、「ライフチェンジング(人々の生活を変える)」となり得るのだ。

VRネイティブのインプット方法はすべてを変える

過去3年間、一般に入手可能なVR開発キットはヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いていたが、VRとして特定の入力デバイスを持っていなかった。数ヶ月前にHTCが発表したViveにVR用のハンドトラックコントローラを付属させ、さらに最近Oculus Touchが発表され、状況は変わった。

ようやく、実際に見ているのと同じように簡単かつ直感的に、バーチャルの世界に触れることができるようになったのだ。真にVR向けといえる入力デバイスを開発者が入手できるようになり、これからさらに多くの企業が、そのクリエイティビティと生産性を持ってVRの世界に参入してくるだろう。

VRは世界各地で根差し始める

サンフランシスコはVR開発活動のハブとなっており、ベイエリアではVRに関するミートアップイベントが月に6回以上開催されている。しかしそれだけでなく、ロサンゼルス、シアトル、東京、パリ、バルセロナ、ソウル、ロンドン、中国の深セン、ニュージーランドのウェリントン、さらにその他の都市に素晴らしい企業が存在し、それぞれの都市にVRの進化をサポートする開発者、熱心なファン、エバンジェリストのコミュニティが存在している。最大の障害のひとつは、一般への普及のためには、実際にVRを体験してもらう必要があることである。

しかし、コミュニティの急速な成長から予想するに、いったんVRに虜になった人はVRを熱心に広めるであろう。必要であれば、ミートアップイベントのたびにデモを開催するくらいに。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】