自分の中の「変わり者」を謳歌して、クリエイティビティを発揮しよう

企業と優秀なデザイナー&開発者を繋げるJory-MacKay招待制サイト「@Pickcrew」の編集者であるJory MacKayさんによる寄稿記事です。モントリオール、ロンドン、ビクトリアを経由して現在はトロント在住。Twitterアカウントは、@JoryMacKay。本記事は、Mediumに投稿された記事をJoryさんから許可を得て翻訳したものです。元の英語記事もどうぞ。


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この世の中に、「イノベーションと独自性を見極める」能力を上回るクリエイティブ・スキルが存在するだろうか。

Uber、Airbnb、Amazonなど、ここ数十年に現れたテクノロジー業界のディスラプターを思い出してほしい。一見すると、彼らのアイディアは「クレイジー」でしかなかった。

世界でも最大の宿泊施設サービスが、物件を一軒も持っていないだなんて誰が想像しただろう?また最人気の移動手段が、自社で車を保有せず、運転手を雇うこともしないだなんて。

今になってみれば20人中20人が想像つくと答えるだろうが、仮に何年も前に僕がこのアイディアをピッチしていたとしたら、どんな反応が返ってきただろう?きっと人は僕のことを頭のおかしな奴だと決めてかかり、僕に着せるための拘束服のサイズを測っていたに違いない。

君が事業を立ち上げていても、エッセイを書こうとしていても、またはプロダクトをデザインしようとしていても、今の状態のままでいることはイノベーション・キラーでしかない。現状維持はイノベーションを葬ってしまう。だからこそ、仕事に向かう時、物事を「変わった」状態に保ち続ける必要がある。

ルールに従わない。目新しい。ー「変」や「変わっていること」の定義はどれでもいい。でも、それは「一般的に受け入れられているものに歯向かう」ことで機能する。変わっていることは、物事を違う目で見ることを意味する。それはまた、本来繋がらない点と点を繋げてみることでもある。

イラストレーターのJessica Hagyが、「Why weird is wonderful (and bankable)」(なぜ変わっていることが素晴らしく、お金になるのか)で説明しているように、

「今とは違うことがいつでも改善になるとは限らない。でも、改善はいつでも今とは何かが違っていることを意味する」。

「変」が上手くいく理由

目新しい状況に身を置く時、僕たちはその出来事をいつもより容易に記憶することができる。これは、心理学者がだいぶ以前から把握していることだ。

この裏側にある科学を説明しようとすると長くなるが、要はこういうことだ:

「変わった」体験は、脳の中の発見や処理、新しい感覚印象を保管する場所にドーパミン(モチベーションに関連する神経伝達物質)を放出する引き金になる。このドーパミンによって、私たちの探索へのモチベーションが上がるだけでなく、新たな調査によると、それは長期記憶にも強い繋がりをもたらす。

僕たちの脳は、変わった、普通ではないことをよく覚えている。

「想像力は真似をする。それは、創造するために必要不可欠な原動力だ」。

心理的レベルで、僕たちは既知のことを裏付けるアイディアより、不可思議なアイディアをより高く評価する。

著者 Murray S Davis が自身の著名なエッセイ「That’s Interesting!」で説明しているように、

「そのアイディアが常識に挑戦せず、単にそれを確認するに過ぎない時、受け手はその事実を再認識しながらも、その価値を否定するだろう」。

変わったアイディアや要素は、ただ僕たちの印象に残るだけではない。僕たちが既に認知し受け入れていることを確認するだけのアイディアに比べて、僕たちはそれにより高い文化的価値を与える。

少なくとも一定レベルまでは。

では、君は世間に認識してもらうために、あらゆる社会的模範に必死に歯向かうべきなのだろうか。

そんなことはない。そもそも、アイディアや理論が一般的になるのには何らかの理由があるはずだ。

Image from the InVision blog
Image from the InVision blog

僕たちの脳は日々、膨大な量の感覚情報を取り入れている。そのため、僕たちは新しい情報を判断するためのフィルターを形成し、その中から重要なものを特定している。

2012年にGoogleが実施した調査(PDF)によると、Webサイトを訪れた新規訪問者は、そのサイトの機能と美しさを1/20〜1/50分の1秒で判断することがわかった。瞬きをするのと同じくらいの時間で脳は情報を取得し、フィルターをかけ、重要な要素だけを特定するようにできている。

これは、cognitive fluency(物事の考えやすさ)の概念、また僕たちの脳がいかに簡単にタスクを特定するのかに結びついている。一般的な要素をより容易に処理できるのは、僕たちがそれに慣れているからだ。僕たちにとって、それはシンプルに感じられる

普通ではない複雑な要素が多すぎると、脳はそれが難しいタスクである可能性を君に通知し、君がそのタスクを避けて先に進む可能性が高まる。君の仕事を引き立たせ、人の記憶に印象づけるためには、「変わっていること」と「一般的なこと」との間に程よいバランスを見つけることが重要だ。

「変わった」文化をつくる

最近、この「変わっている」ことに注目が集まるようになり、それを謳歌することの重要性を企業が認識し始めている。その例が2つある。

  • 有名な話だが、オンライン小売業者「Zappos」の面接には必ず、「1〜10のスケールで、あなたはどれだけ変わっていますか?」という質問がある。
  • サンフランシスコを拠点とするMethodでは、従業員に「Methodを変わった組織に保つためにあなたなら何をしますか?」という宿題が出される。

同様に、オスカー・ワイルドは、「想像力は真似をする。それは、想像するために必要不可欠な原動力だ」と言っている。

「違うことがいつでも改善になるとは限らないが、改善はいつでも今と違うことを意味する」。

真似するのは安全だ。既に広く受け入れられているアイディアを相手にしていれば済む。でも、それは同時に平凡という罠に陥ることでもある。不可思議で違うものに対してオープンでいることでしか、際立つ仕事を生み出すことはできない。

君がただインスピレーションを求めているのでも、競合の一歩先を行く方法を探しているのでも、変わった文化を育むためにできることを紹介しよう。

1. 君の中にいる「変わり者」を謳歌しよう

心理学者は最近、認知的脱抑制と革新的なクリエイティビティとの相関性を明らかにした。

認知的脱抑制とは、現在のゴールに無関連な情報を無視することに失敗することだ。感覚情報を抽出するためのフィルターを思い出してみてほしい。同時にそれが、僕たちがクリエイティブインサイトを閃く瞬間を邪魔するフィルターでもあることがわかる。

「私たちは、既知のことを裏付けるアイディアより、変わったアイディアのほうを重要視する」。

この中には遺伝学に行き着くものもあるが、明らかに非重要で”変わった”情報を受け入れる方法があることがわかっている。例えば、夢想したり頭をさまよわせたり、また散歩に出かけたりすることだ。

やり方は何でもいい。肝心なのは、僕たちのフィルターがリラックスして気を許し、新しいアイディアを形成できる場所にたどり着くことだ。

2. Lady Gaga 効果を活用する

1930年代に、ドイツの心理学者 Hedwig von Restorff は、「突出して目立っているもの」のほうが僕たちの記憶に残りやすいことを発見した。

例えば、この言葉のリストを見てみてほしい:りんご、車、トマト、犬、石、バナナ、鉛筆、レディ・ガガ、ヘリコプター、猫、チーズ。

この中で君はどれを覚えただろう?きっとトマトではないはずだ。

Image from the InVision blog
Image from the InVision blog

このリストのコンテキストの中でダントツ目立つのは、レディ・ガガだ。明らかに他の言葉から浮いている。変わっているおかしなもののほうが、身近で馴染みがあるコンテキストの中では記憶に残る。

いきなり突拍子もなさすぎる個性的なアイディアを出してしまうと、それは「変」の大きな波の中に埋もれてしまう。でも、「馴染みがあること」と「論議を呼ぶこと」との程よいバランスを見つけることで、人は注意を向けるようになる。

3. 「正反対」にチャンスを与える

ユニークで記憶に残る仕事をすることを阻むハードルに、自主規制がある。

エキサイティングなアイディアに飛び込む代わりに、僕たちはより「普通」に近い思考をしようとする。そして、こう自問する:

僕のアイディアを人は笑うだろうか?

僕の発言は彼らを怒らせるだろうか?

自主規制に従うことは、本当の自分を否定することを意味する。自分ならではの個性や癖を受け入れることは、君のクリエイティブなアウトプットを大幅に高めてくれる。

「変わった理論を受け入れることは、そこから学ぶのではなく、むしろ過去に学んだことを忘れるように努めることだ」。ーアイザック・アシモフ

自分を抑えてしまっていると感じる時、なぜ?と自分に聞いてみよう。そして、それまで自分がやっていたこととは正反対のことをしてみよう。

4.変わったアイディアを共にハックする方法を見つける

革新的なアイディアを発想する方法について聞かれたApple の創業者 Steve Jobsは、ただこう答えた。「クリエイティビティとは、ただ物事を繋げることでしかない」。

真に革新的でクリエイティブなアイディアは、分岐した思考から生まれる。それは、他者がひも付けて考えない点と点を繋げることだ。

君の頭が「変わった」素晴らしい考えを受け入れれば受け入れるほど、君が引っ張り出すことのできる情報源の幅が広がっていく。

「過去最良の仕事を生み出すことは、変わったアイディアを謳歌することだ」。

スタンフォード大学の教授で著者の Robert Suttonのストーリーがある。彼が、とあるソフトウェア企業に対してコンサルティングを行った時のことだ。新しいアイディアを考える時、その企業では2つの束のフラッシュカードを用意する。片方には技術を記載して、もう片方には業界を記載する。

その後、カードの束をシャッフルして、それぞれの束から1枚のカードを抜く。そして、どんなクレイジーな(革新的なポテンシャルを持つ)アイディアが生まれるのかを検討していく。

5. 成功と失敗を表彰する。罰するのは、行動の欠如のみ

作家でジャーナリスト、そして正真正銘の変人だったハンター・S・トンプソンは、有名な格言を残している:

「物事が変わった方向に進み始めた時、人の中にある「変わり者」が開花する」。
(When the going gets tough, the tough gets going をもじったもの)

最良の仕事をすることは、おかしくて変わったアイディアを受け入れて謳歌することを意味する。特に、「一般的」の反対をいくアイディアを。

常に限界に挑み、僕たちが尊敬するものを生み出す人たちは、成功するよりも頻繁に失敗している。彼らは絶え間なく努力している。君の中の変わり者を謳歌すること。それは常に何かを生み出し、上手くいくことといかないことを知るために挑戦し続けることだ。

君の中の変わり者を、君の名刺にしよう。そして忘れないでほしい。すべてのイノベーションやトレンドは、誰かのおかしなアイディアから生まれていることを。

(翻訳:三橋ゆか里)

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